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マンション、投資ネタブログ

コロナショックでマンションは値下がりするのか?(1.値下がりする説)

コロナによる経済影響

コロナで経済へのダメージが大きいことはなんとなく見えてきている。政府の月例経済報告でも、2月の緩やかに回復から3月は「コロナによる下押しが強力」と変わった。

 

決算が出ている企業でも、航空、ホテル、旅行などの観光関連、自動車などのメーカー関連、石油開発、商社などの資源関連の決算は見たことないレベルの急激な落ち込み。

 

しかも、2-3月だけの話なので、2021年3月期決算は見たこともないクソ決算になるだろう。その後、耐えきれなくなった会社からリストラを始めるという流れ・・・。

 

一方で、BtoBの産業やピュアインターネットの会社(スマホゲームとか)は無傷か、むしろ追い風のところもある。

 

ただし、企業決算は結局はGDPの水準で決まってくると考えれば、グローバルでGDPがマイナス成長になりそうであるため、全体でみれば大きくマイナスであると考えるのが自然である。

 

ユーロ圏やUSのGDPは四半期ベース年率で2桁マイナスになるとかいう予想もある。比較的コロナの影響が少ないシンガポールでも2020年は通年でマイナス成長になる見通し。リーマンショック以上の経済ダメージとの見込みである。

 

中古マンション価格は値下がりするのか?

経済の先行きがヤバそうなことはわかったけど、マンション価格はどうなるのか?

 

未来のことは分からないから、このテーマはどちらの方向にも結論づけられるし、サポートする材料を集めてそれっぽい根拠をつけることが可能である。

 

そこで、下がる仮説と下がらない(現状維持+上がる)仮説の両方をまとめていくことにする。

 

下がる仮説は言う人が少ないから書くのが楽しい。下がらない方はすでに散々言われていることをまとめるだけの作業になる。

 

タイムスパンを定めない議論にはあまり意味がない。上がると言い続ければいつか必ず当たるし、下がる方も同じである。ここでは、半年から1年後くらいの将来に中古マンション価格がどうなるのかという前提で書いてみる。

 

また、全てのエリアや価格帯で同じ動きをするわけでもないので、あくまでも、一つの仮説群(ストーリー)ということである。

 

どちらがより説得力を持つのかは読者が判断すればよいし、まぁ予想というものは大抵は当たらないから一種のエンターテインメントである。

 

なお、不動産は空売りができないためか、価格が上がってくれないと困る人が多い。このため、ポジショントークをすると、常に上がると言わざるを得ないし、常に買い時と言われる。

 

全くそう思っていないだろうに、常に買い煽りばかりする見苦しい人も多い。

 

つまり、何を言っているのかと同様に、誰が言っているのかに注目するべきだと思う。

 

なお、私はマンション保有者ではあるが、マンション価格が下がったほうが実需層が買える水準になり、住民の新陳代謝が健全化するので中長期的には良いと考えている。

 

賃貸よりも購入の方が保有リスクがある分、金銭的には購入した方が有利になる水準に価格が落ち着くべきだと考えている。

 

そのため、バイアスがかかっている(都合の良い情報を過大評価する傾向がある)ことに留意してほしい。

 

コロナで中古マンション下がる仮説

(1)株価が下がれば中古マンションも下がる

リンク先の図を見てもらえばわかるとおり、日経平均と都心三区の中古マンションの単価には相関関係がありそうだ。ただし、この図は軸を加工して強くリンクしているように見せていることには留意が必要。

「東京」の不動産だけなぜか急騰している事情 | 街・住まい | 東洋経済オンライン | 経済ニュースの新基準

 

プロアマ問わず、株価が暴落して半年~一年後にマンション価格が大きく下落するという経験則を持っている方も多いのではないだろうか。(逆に、株価が暴落したがマンション価格が下落しなかった事例ってあるのだろうか?)

 

日経平均は24000円から一時30%程度下落した。当然、マンション価格も多少は調整するだろう。

 

ただし、過去のデータを見る限り、株価が半分になってもマンション価格は半分にはならないので、この説では株価の下落率の半分くらい下落すると予想される。

 

なぜ株価と都心のマンション価格が連動するのか?専門家がさんざん解説しているからググってもらえば解説が出てくるが、

「実需ではなく投資目的のプレイヤー(プロアマ問わず)が多いから、そもそも価格がボラタイルで、好景気になると急に高くなるし、不景気になると価格が下がる傾向がある」という説がある。

 

また、一般論として、株価が暴落すると高値のマンションの投資魅力がなくなるということもある。アップサイドのない高値マンションを買うより、暴落している株を買った方がリターンが良いだろう。高値マンションが更に値上がりするということは、株価はその2倍以上上昇しているはずである。

 

J-REITについては、50%下落してから戻してきてはいるものの高値には戻っていない。つまり、コロナでディスカウントされている。そんな中でディスカウントなしのマンションを買う人いるだろうか?

 

マンションの場合、借入金を使えるという特徴があるが、自己資金がある人は株を買った方が明らかに良いだろう。自己資金のない人は割高なマンションでも掴まざるを得ないが、そもそも、自己資金がない状態で買うのは普通はよろしくないのではないか。

 

(2)不況になれば中古マンションは下がる

首都圏のマンション価格の推移をみると、リーマンショック後と震災後に下落している。

tower-ten.jp

このデータを見る限り、正確にはリーマンショック前にミニバブルが崩壊し、ピークアウトしていたところに、リーマンショックで資金繰りにつまるところが出てきて、ストンと落ちたように見える。

 

震災時の下落はエリアによっては大きかった(浦安をはじめ、液状化津波への恐怖から湾岸などから逃げる人が増えた)が、全体でみると大したことはなかった。

 

これは、震災は日本の関東だけの話であって、グローバルでは好景気が継続していたからであろう。このころのマンション価格は、上りも下がりもせず、底値で這ってたという印象。

 

この時期、民主党政権下で、経済の先行きに対する見方は最悪だった。マンションが中長期的に上がるという見通しを持っていた人は少なかった。白川日銀が円高誘導していて株価も最低最悪だった。

 

原発事故によるエネルギー不足、円高などなど悪条件が重なり、X重苦とかいって日本経済の先行きを悲観する向きが多かった。

 

さて、不況になるとなぜマンション価格が下がるのだろうか。賃料や金利が変わらない中で、変わらなくてもいいはずだが、実際には下がっている。これは、日本だけではなくて海外でも同じ。中には、金利が下落する中でも下げていることもある。

 

これは、二つ理由があると思う。

 

まず、不況になってリストラや倒産の話が毎日報道されるようになると、マスコミは喜んでいかに悲惨なのかを増幅する。そうすると、消費者マインドは悪化して、高額の消費が委縮する。

 

アベノミクス下では頭金なし・変動金利でマンションを買う人も増えたが、反動の動きが出てくるだろう。つまり、お金を借りる能力があるのに借りない。保守的に固定金利にする。

 

リスクオフで与信を使わないことにより購買力が落ちる、購買力が落ちるから価格が下がるという流れである。

 

もう一つの理由は、先高観が消えてしまうことである。マンションは価格上昇局面で買うよりも下落局面で買う方が怖い。

 

これは多くの人の実感にあっているだろう。アベノミクスの上昇相場で買えなかった人は下落相場では買えないだろう。恐ろしいから。

 

これは、消費者のみならず投資家だって同じで、短期的とはいえ評価損を抱えるおそれがある資産を買う呑気な人はほとんどいない。他の値上がりしそうな資産を探す。

 

コロナ不景気を乗り越えれば不動産が上がると思っていても、そのように行動する人は少ない。

 

株の世界でも、下がっている株をもって何年も持ち続ける精神力のある人は少ない。いずれ上がるからといっても、それは負け犬の遠吠えなのである。

 

先高観を予想する人が減れば、圧倒的な割安価格以外では買わなくなる。そうなると、高い価格で買ってくれる買い手が消えて自己実現性で価格が下がる。

 

アベノミクス下では、都心以外のマンションも高騰した。坪400万円とか、8000万円、9000万円もするマンションを普通のリーマンが借金全開で買った。

 

先高観が強く、「待っていたらもっと高くなる」という恐怖があったことや、「価格が上がるから自分よりアホな誰かがもっと高い価格で買ってくれる」という期待があったのである。

 

先高観が消えた今、普通の購入者は、今後、価格が下落することも想定しながら借入額を減らすだろう。

 

(3)今回だけは違う説

コロナの特徴として全世界同時の移動制限がある。外務省は史上初めて、全世界への渡航自粛を呼び掛けている。NY、ロンドン、パリは外出禁止である。

 

こんな世界があっただろうか?戦時中の戒厳令のようだ。歴史上初めての事態であり、この影響がどこに出てくるのか全く想像がつかない。

 

各国は巨大な政策パッケージを用意して、企業の資金繰りや雇用を救って危機を乗り越えようとしているが、そういうレベルの話なのだろうか?

 

資源価格暴落や観光客の激減で、国単位で破綻するところがどんどん出てくるのではないか。国レベルでもこうなので、債務危機はあらゆるところで発生する。

 

債務危機に対応するために史上最大の金融緩和が行われるが、緩和の反動に耐えきれなって金利が暴騰したり通貨危機に陥ることもありえる。

 

これはトンデモ話で発生確率は低いが、実際に発生せずとも、「金利がコントロールできなくなるおそれがあるのではないか?」と消費者が疑いはじめたら、保守的な行動となり、無謀な借金に支えられている不動産価格は崩れるのではないか。

 

また、不要不急な外出自粛の中で、モデルルームや中古物件の内見も普通に考えて自粛する方向になっていくだろう。個人の売り出しはともかく、大型のモデルルームでの大々的な販売はK-1と同じく厳しい社会的なバッシングが生じる可能性がある。

 

こうなってくると、そもそも価格がどうとかいうレベルの話ではなく、売買が行われる件数が激減する(流動性が落ちる)ことになる。

 

どうしても売りたい、買いたい人はいるが、流動性が薄い状態で売買すると執行コストが大きくなり、どうしても売りたい人は安くなるし、どうしても買いたい人は高くなる。これは流動性の薄い株も同じである。 

 

 個人的には、「今回だけは違う」というあらゆる言説については信じない。

 

これは良いほうも悪いほうも同じで、「今回はリーマンショックの時と違って、低金利だし、金融システムが健全だし、大手デベの寡占だから、今回だけは違う。」という話はあまり信じていない。歴史は繰り返すと思う。

 

以上は値下がり仮説だが、次は値下がりしない仮説についてまとめてみる。比較して、どちらがより説得力があるのか考えてみてほしい。

 

ただ、こうした予想は当たらないものである。現実には、現時点では考慮さえしていない予想外の要因で、予想よりも大きく動くものなので、 ストーリーであり、エンターテイメントとして捉えていただくのが良いと思う。