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住宅ローン金利が上がるぞ!とマスコミが煽りまくってる件 

マイナス金利の解除

 

日銀は3月19日にマイナス金利政策の解除を決定し、短期金利(の指標である無担保コールレート翌日物)の誘導目標を0〜0.1%に引き上げた。

 

ぼくは日銀ウェブサイトで植田総裁の会見動画を最初から最後まで見たが、「マイナス金利は解除するが金融緩和は維持する」「当面金利引き上げはしないし、将来金利引き上げする際には急には引き上げない」「貸出金利も預金金利も急に上がることはない」とかなり突っ込んだ発言をしていた。

 

会見発言録も出てたけど、日銀の会見は総裁の発言の力の入り方とか表情も見どころなので動画で見るといいと思う。

 

動画

https://www.youtube.com/live/4Rk3QQLRl0U?feature=shared

 

書き起こし

https://www.boj.or.jp/about/press/kaiken_2024/kk240321a.pdf

 

マイナス金利の解除(異常な手段の終了)と金利の継続的な引き上げ(金融引き締め)は別物だが、勘違いされないように何度も何度も説明していた。

 

将来の金利引き上げのタイミングについては「日銀が四半期ごとに出している物価展望レポートで、長期の予想物価上昇率が2%を超えるのが一つの条件」とも言っていた。

 

物価展望レポート

https://www.boj.or.jp/mopo/outlook/gor2401b.pdf

 

また、中長期的な金利引き上げありきではなく、「経済停滞、賃上げ停滞などリスクシナリオの場合は金融緩和拡充もあるよ」とも言っていた。過去の歴史を見ると、日銀が金利を上げ始めると、海外でショックが発生し、金利を下げるというのが繰り返されてきた。今回はないと良いが・・・

 

 

マイナス金利解除で即短期プライムレートが上がる説

 

日銀がマイナス金利を解除することは事前に報じられていた。時期については賃上げのデータが出揃った後だろうという見方があり、実際は拙速感があった(中小企業の賃上げ動向を確認できていないと植田総裁は正直に言っていた)が、3月なのか4月なのか程度の誤差だったと思われる。なら、新しいリスクが生じる前にさっさとやってしまえという話。

 

このマイナス金利解除観測に合わせて一部の自称事情通界隈で、マイナス金利解除と同時に短期プライムレートが引き上がる(=変動金利ローンを借りている人全員の金利が上がる)という説がそれなりに説得力を持っていた。

 

2016年にマイナス金利を導入した際、短期プライムレートは下がっていないのだから、解除されてもすぐには上がらず優遇金利が縮小さされるだけだろうというのが常識的な見方だったが、一方で、銀行の調達コスト上昇を広く薄く客に転嫁したいという説や、ネット銀行は調達力が低いから(本当?)金利上昇に弱いという説があった。

 

ぼくはほとんどの銀行で短期プライムレートは変わらないとしても、いくつかの銀行ではそんな動きもするんかなと思った。

 

ところが、蓋を開けてみたら、短期プライムレートを上げるぞ!と発表した銀行はまだ出てきていない。今の所はマイナス金利解除で即座に短期プライムレートが上がる説はデマだった。

 

金利上昇の不安を煽りまくるマスコミ

 

植田総裁会見でのマスコミの質問は理性的で良い記者会見だったが、各社の報道はひどいものが目立つ。

 

金利がある世界が始まった!長期的にどんどん金利が上がり続けるぞ!という不安煽り

金利は2026年には4.0%になるというみずほなんとかの試算を持ち出して、短期に急激な金利上昇があるぞという不安煽り←植田総裁が否定していた急激な金利引き上げ

金利上昇に備えてローンの返済を急げ!投資はするなよ!という煽り←論理が不明

・固定金利を選択しました!という人をたくさん取材して、みんな固定金利にしてる感を演出

 

植田総裁の会見見てないんじゃないの?と思えるお粗末な報道である。日本のマスコミのダメなところが全開という感じ。

日本人は不安を感じやすい国民性であり、不安煽りが視聴率をとりやすい。

ネットでは冷静な意見、ツッコミが多いように感じたが、中には極端な予想(ハイパーインフレだのなんだの)を前提にしたトンデモ理論も飛び交う状況。

 

 

事実を冷静に受け止めず、将来を不安視する国民性

 

ぼくは日本のマスコミやそれを支持する人たちは、過去のデータや今、まさに発生している事実に目を向けずに、やたらと将来の極端なネガティブシナリオを悲観視、不安視する傾向があると思う。

 

確かに、変動金利はわかりにくいが、調べれば短期プライムレートや優遇金利の解説が出てくるし、過去のデータも見れるし、日銀がどんどん金利を上げようとしているのかは植田総裁の会見動画を見ればわかるのだが、不安な人は不安だ不安だ言う割にはいずれも見ていない。

 

また、金利が上がり続ける世界になった場合、賃金、GDP、株価、不動産価格がどうなるのかという試算前提があるわけだが、それも調べずに金利だけを切り出して不安視している。もちろん、全ての状況を予想することはできないが、金利が安定的に上がり続けるということは、経済が絶好調ということだろう。本当にそんなに楽観しているのか?

 

 

金銭的な損得と安心料

 

変動金利か固定金利かという話の詳細は今回は触れないが、結論だけ言えば、現在の支払い能力が継続すれば破綻リスクを最小化できるのが固定金利、現実的なほとんどのシナリオで金銭的に得をしやすいのが変動金利である。

 

金銭的な損得だけに着目すれば固定金利を選択するのはもったいないが、自分が不安を感じやすい性格で、金利変動が気になってQOLを損なってしまうなら、固定金利金利も有意義だと思う。

 

現時点において、「金銭的に損をしないために固定金利にしろ!」と煽るのはあまりに現実を見ておらず、極端な予想を前提とした過剰な不安煽りでしかない。

 

なお、どちらが得なのか知りたい人はこちらの動画を見ればわかる

https://youtu.be/J0EFEldFJaQ?si=c6fJ11TNg94wvFgY

 

 

エア金利上昇による金融引き締め効果

 

不安煽りの結果、無駄に固定金利を選択したり住宅購入予算を抑えたりする人が発生すると、実際には金利を引き上げていないのに金融引き締め効果が生まれる。

 

日銀は冒頭のとおり、異常な手段は終了するが金融緩和は維持する(必要)という考え方であるのに、金融引き締め効果が出てしまうのであれば本意ではないだろうし、落ち着けよという話だが、Xでクソリプ送ってくる人を見ると、自分が見たいものしか見ない不安を感じやすい人も多いようで、エア金利上昇による金融引き締め効果もバカにならない(=この点でも金融緩和は必要)よねという話である。