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マンション、投資ネタブログ

マンション価格はマネタリーベースと概ね連動している!説

マンション価格については、多くのプロが「バブルだろ」と言っていて、利回りの低下、類似事例の話しかされなくなったこと、新築マンションを転売するだけで儲かる状態など、バブル=実態の裏付けのない持続不可能な価格(ただし、いつクラッシュするのかは不明)という見方が多いのだが、バブルじゃないかも、クラッシュしないかも説を挙げてみる。

 

過去の価格について、後付けでそれっぽい理由をつけてみるということである。バブル期には従来のファンダメンタルでの価格推定方法が使えなくなり、新しいバブル価格を正当化する理論が生まれるものだが・・・・

 

 

(マンション価格の推移)

マンション価格と言っても、いくつかのデータが出されているが、よく使われるのがこの国土交通省の不動産価格指数グラフ。マンションだけえらい上がっている。しかしこれ、全国の30万件のデータから算出しているらしく、東京23区の駅徒歩10分圏内とかだともっと上がってそうな感じ。

 

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都心を除けば、肌感覚としては結構当たっていて、2020年までは右肩上がりに同じくらいのペースで上がっていて、コロナで大判振る舞いした影響でそこから加速した。他のデータを見ても大体この動きは同じ。そして、この動きを後付けだが、マネタリーベースの推移で説明できるんちゃう?というのが今回のお話。

 

 

(マネタリーベース)

マネタリーベースとは、現金通貨(発行高+貨幣流通高)と金融機関が中央銀行に預けた預金(当座預金)の合計値であり、日銀が世の中に供給している金の総量である。世の中に出回っている金の量については、さまざまな測り方があるが、割とシンプルで正確に測ることができるものだろう。

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日本のマネタリーベースは黒田総裁前は100兆円程度だったが、そこから異次元金融緩和を進める中で、国債を買いまくり、コロナ前には500兆円になった。

 

株価も上がったのでETF買い入れはやめたろという話も出てきた頃に、コロナ騒ぎがありコロナオペとしてさらにマネタリーベースを積み増し、直近で680兆円程度になっている。コロナ対策は終了したので、この増額分は徐々に減らす予定だが、それでも500ー600兆円程度は残り続けるだろう。

 

不動産価格とマネタリーベースがセットで語られることはあまりなく、住宅ローン金利、賃金、ペアローン利用率、株価などとの相関関係で説明されることが多い。もちろん、何か1つの要因で全ては説明できないのだが、市場全体としてはこのマネタリーベースが上がれば不動産は上がり、下がれば下がるという方向性は一致するのではないか。

 

マネタリーベースが増加するということは、日銀当座預金が増加するということであり、普通に考えれば金融機関は「絶対融資したいマン」になっていく。それが、住宅ローン変動金利の過当競争、ゆるゆるの提携ローン、売却条件なしローン、セカンドハウスローン、あやしい投資ローンなどの経営努力を生んでいる。つまり、金融機関の貸し出し態度がこれで決まる。個別の金融機関で見れば様々な判断があるが、全体としてみれば日銀当座預金がどんどん積み上がっていき、預貸率が低下し、ついでに収益も低下していったら、株主からキレられるから、とにかくなんとかしないとあかん、お手軽な住宅ローンを増やそうとなるのだろう。

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というより、金融緩和の目的ってまさにそれなわけである。実際には、マネタリーベースを増やしても、法人融資が増えねーぞというのが話題になったわけだが、これは借り手側の要因もあるし与信管理の理由もある。住宅ローンの残高は増加しているし、実際に住宅ローンを借りようとしてみたらわかるが、「頼んでもないのに40年ローンを提案された」「後売り(期限なし)ローンを提案された」「無理な金額でも通った」など、ゆるゆる融資っぷりが目立つ。実際に貸し出されるかどうかはともかく、融資態度はゆるゆるになっている。住宅ローンは延滞率も低く手堅い商品であるので、金融機関としては「儲からないけど、損するわけでもないからどんどん貸したろ」という考えのようだ。

 

そして、どんどん貸したろということは、どんどん借りたろという人がいるわけで、買い手の購買力がどんどん強くなっていく。この状態でマンションの供給が減少したり、スミフなどが購買力上限に目をつけた値付けを始めたので、どんどん価格が上がっていくのが自然。

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(マンション価格はバブルではない)

不動産価格がマネタリーベースに連動するものとしたら、オリンピックが終わっても下がらなかった理由、コロナで逆に加速した理由、賃金や株価が変わってもほとんど影響がなかった理由が説明つく。マネタリーベースは減ってないのだから。(というか、後付けだから説明がついて当然)

 

不動産価格について、利回りで説明できないからバブルという話があるが、利回りが低くしても、それを正当化できるゆるゆるの融資がファンダメンタルズとも言えるので、不動産価格はバブルとは言えない。融資のゆるゆる、金融機関の金ジャブが不動産価格に反映されているだけで、実態と乖離しているわけではないということ。(実態とは何なのか次第だが、根拠はあるのだということ)

 

日本はバブル経済の失敗から、金融引き締めに対しては過敏になっているので、一気に金融引き締めを図ることはないし、デフレが続いたことからも、センシティブになっている。従って、現在の株価が賃料や賃金といったしっかりとした裏付けはないものの、金融面でのインチキが続く前提では、実態と乖離しているとは言えないし、持続可能性がないとも言えない。

 

・・・と、現在の価格を正当化する後付け理由を考えてみた。でも、結構当たってるんじゃなかろうか。いわば、土地神話ではなく日銀神話、その中でも特に金融緩和神話、マネタリーベース神話ということだ。日銀がマネタリーベースを大幅に縮小しないことを信じるのだ。

 

 

(マンション価格はどうなるか)

不動産価格は全体としてみれば、マネタリーベースの動きと連動しているとする。現在、コロナオペ終了でマネタリーベースを緩やかに縮小するフェーズにある。不動産価格は一部都心のものを除けばなんとなく上昇率が鈍化しているようにも見える。不動産価格はマネタリーベースの動きに遅行すると考えたら、マンション価格もややピークアウトして、少し調整するんじゃないかと思う。

 

ただし、マネタリーベースはコロナオペ分を縮小した後はさらに縮小されることはなく、500−600兆円で維持されるはず。となれば、不動産価格も高止まりするはずだし、一部希少な立地については今までどおり最高値が更新され続けるのではないか。地方とか郊外でも、金融面に下支えされることで、安くなることはないのではないか。

 

リーマンショック前のリスクテイクバブル)

不動産価格は全体としてみれば高止まりし、一部ではさらに上昇する。史上最高値でも掴んで大丈夫だし、コロナオペのマネタリーベースが縮小されるフェーズで少し安く買えたらラッキーということだが、賃金や賃料を無視して金融面の効果だけで価格が正当化される、値上がりを見て、利益が出ることを期待して投機される・・・より大きなリスクをとったやつが最大の利益を上げる・・・これってリーマンショック前の過剰流動性相場、リスクテイクバブルに似てね?という話を度々聞く。

 

今の価格を正当化する理屈がなくても、価格が実際に上がり続けており、融資がゆるゆるでバブルの音楽が鳴り続けている間は、リスクをとったほうが短期的に報われるわけで、どんどんリスクがとられる。リスクがとられるから価格が上がり、価格が上がるからリスクが取られる。

 

(日銀次第だが、マンション価格は持続可能)

こう考えると、価格の持続可能性がないような気がして気持ち悪いのだが、ぼくは日銀が500−600兆円のマネタリーベースを維持することについては、持続可能性があると思っており、従って、短期金利の過当競争も維持されるし、マンション価格も何だかんだ維持されるのではないか。価格の真の限界である購買力の限界には達してないと思う。

 

まぁ将来の予想は当たらないのと、上がる時も下がる時も想定外の要因で動くので、エンタメということで。