konanタワリーマンブログ

マンション、投資ネタブログ

東日本大震災直後の湾岸タワマン

私は震災前は賃貸で湾岸エリアに住んでいた。震災後のマンション市場がどうなったか思い出しながら書いてみる。

 

 

震災発生後の状況

 

震災発生直後、まず電車が止まった。サラリーマンたちは何時間も歩いて自宅に帰るか会社に泊まった。帰宅困難者が話題になった。当日は電話が通じなかったから、保育園と連絡がとれずに心配した親も多かっただろう。

 

その後、津波福島県が大きな被害をうけ、濁流に飲み込まれる映像をマスコミが繰り返し繰り返し流した。当初は正常性バイアスで浮ついた雰囲気もあったが、多くの日本人がとんでもないことが起きてしまったと気がついた。さらに数日して原発が爆発した。パニックである。

 

放射能が風に乗って首都圏に来るのではないか?

・水が汚染されるのではないか?

・電力不足で都市機能が麻痺するのではないか?

・物流寸断で物資不足が生じるのではないか。

 

電車が減便で猛烈に混雑する中、帰宅困難者は心配しながら通勤していた。今のようにテレワークなんてない。余震が度々発生し、エレベーターが止まった。電力不足が発生して計画停電を行う旨の発表があった。人々は物資を買い占め、ガソリン、水、食料品、トイレットペーパが売り切れた。

 

当時は素人集団の民主党が政権を持っていた。枝野官房長官が「直ちに影響ない」を連呼して、みんなが「タダチニー」と真似をした。菅首相原発に乗り込んで現場を混乱させた。政府の混乱は群衆の不安を増幅させた。

 

震災はリーマンショックから立ち直っていない脆弱な日本経済にとって、最悪のタイミングで発生した。

 

 

震災後の湾岸タワマン(中古)

 

震災後、新浦安で液状化が発生して水道が止まった。友人が住んでいたが大変な思いをしたという。断水は数ヶ月続いた。建物が傾き、修繕を行うことも難しい住宅も増えた。物件の売り出しも増えたが、水の出ない住宅を買う人などいない。売り板だけが厚くなっていく。

 

湾岸タワマンも被害を受けた。深刻な液状化地盤沈下は生じなかったが、コンクリートにヒビが入るなどのダメージを受けた。また、エレベータも止まり、住民は階段で自宅に戻るしかなかった。子供や水のペットボトルを担いで階段を登るのは地獄だった。かといって、余震があるなかでエレベータも怖い。エレベータに閉じ込められても、多くのエレベータが止まったので救助まで時間がかかった。

 

震災後、デマも多く発生した。放射線の危険性、津波の危険性などが増幅して伝えられた。湾岸タワマンは2008年頃に供給された物件が人気で、価格が安かったため、多くの一次取得層が住んでいたが、震災は大きな試練だった。

 

エレベータの関係で高層階の住人は逃げ出す人も多かった。たしかに、余震が頻発するなかで、自分の家に帰るのに数十階も登るのは厳しすぎる。また、低層階は低層階で津波の被害を受けたら死ぬのではないかという恐怖があった。

 

識者は東京は大丈夫というが、晴海でも3メートルの津波が発生した報じられていたし、そもそも識者が「飛行機が墜落しても爆発しない」といっていた原発が爆発している始末である。

 

当時の湾岸の中古マンション市場の状況は、パニック売りであった。まず、タワマンの高層階は売り出しても買う人がいない。エレベータ停止が恐ろしいからだ。板マンの低層階(2、3階)もいない。津波が恐ろしいからだ。

 

投げ売りされた物件は短い間にどんどん値下げされた。私が見ていたタワマンの物件は、5500万円くらいで売り出されたが、売れずに4500万円になり、そのうち3000万円台になった。よほど、このエリアから脱出していきたかったのだろう。実際に、東京から震災被害のない実家に転居した人も増えたらしい。仕事を辞める人もいたし、妻子だけ帰した人もいる。

 

当時のデータを後から見ても、東京の不動産の平均値が大きく下落したわけではないが、少なくとも湾岸エリアは散々な状態だった。リーマンショック後よりもひどい状況だ。これは湾岸エリアで長く不動産仲介を行なっている人に言えば共感してもらえるだろう。買う人がいないため、売ろうとすると大幅に価格が下落する。それが相場価格となり、さらに値下がりするという状態だった。

 

私は賃貸だから気楽なものだったが、当時の湾岸タワマンの中古市場は地獄のような状態だった。とにかく流動性がない。買い手がいない。売り手は多い。

 

この当時の強い印象があるため、コロナ危機で価格が下がらないといった論調は信じてない。今のところパニック売りは生じていないが、売り手も買い手も減って、なんらかの要因で流動性が低い状態で短期で売りたい人が増えれば価格はあっという間に下落するものだ。

 

また、住友不動産の営業マンが言っていた「品川エリアは再開発もあるし、新駅もあるし、リニアもあるから絶対に下がらない」という説も信じていない。首都直下地震が起こってエレベーターが止まれば湾岸タワマンの価格は下がると思う。みんなすぐに忘れてしまうが、また思い出すだろう。

 

 

震災後の湾岸タワマン(新築)

 

当然ながら、新築マンションも全く売れなくなったと聞いた。恐怖というよりも、自粛ムードが大きかった。当時は東京電力の侵入社員が飲み会をやっただけでボロカスに叩かれた。不謹慎厨が大活躍だった。

 

高額商品の販売が低迷した。車雑誌、腕時計雑誌、グラビア雑誌は、休刊するか、「僕たちの存在意義はない。今こんなことをやっている場合ではない。高級時計や車を買うのは恥ずかしい。そんな金があれば福島で苦しんでいる人に寄付をしよう。」という記事を書いた。テレビCMも自粛され、ACばかり流れた。ぽぽぽぽーんってやつだ。

 

こんな調子だから、消費者の購買意欲は完全に萎縮してしまった。マンションなんて買ってる場合じゃない。与信があっても活用しない。政府は頼りない。電力が不足する中で夏がやってくる。今後、社会がどうなってしまうのか不安が蔓延した。会社の業績も最悪だ。リーマンショック後の業績悪化、リストラ地獄が頭をよぎる。

 

そんな超逆風の中で、パークタワー東雲が売り出された。業界からは、こんな時期にタワマンなんて買うやついるのか?と見られていたが、さすが三井不動産で、時代の要請を適確に物件に反映していた。

 

「充実した防災設備、コミュニティの形成支援(絆)、安い価格」である。震災後、華美な設備のあるマンションは嫌われた。プールやらレストランやら、そんなものは必要ない。当時、マンションに必要なのは、命を守る機能、都市部の弱いコミュニティを補完する機能であった。また、消費意欲が減退するなかで、安い価格も絶対的に求められた。中古マンションよりも安いくらいで、これなら買っても大丈夫と思わせる価格だった。

 

結果としてパークタワー東雲は大ヒットした。その後、アベノミクスやオリンピック決定の中で、人々はあっと言う間に震災のことを忘れてしまい、湾岸タワマンの高層階を買い漁り、価格はどんどん高騰した。私は呆れた。なぜ、みんなすぐに忘れてしまえるのだろう?

 

震災後のマンション相場は下方向にオーバーシュートしていたが、今の相場は上方向にオーバーシュートしていると思う。ファンダメンタルズよりも割高に評価されている。実際、賃料との対比で正当化できないような高値で売り出されている新築物件も多い。「他のエリアでも高いから」「今後も上がるから」以外に高い理由を説明できない新築マンションも多い。こんなババを掴んではいけない。

 

私は震災後の新築マンション市場を見た経験から、コロナ後に新築マンション価格が下がらないという説(金利と年収が変わっていないから、銀行の融資態度が変わっていないから、大手デベの寡占で売り急がないから等)については信じていない。それは平時の感覚で、願望、正常性バイアスに過ぎないと思う。

 

消費者は合理的で冷静な存在ではない。これから過去最悪の不況になる恐れがある中で、フルレバで旧価格のマンションを買う人(カモ)は減るだろう。旧価格は、コロナや原油安などない世界、NYダウが連日最高値を更新して、素人投資家がイキり散らしている平和な世界を前提として設定された価格だ。

 

時代の潮流を読むのが上手い三井不動産はアフターコロナの住宅ニーズをどのように読むだろうか。震災後は防災・絆・低価格がキーワードだったが、コロナは私たちにどのような心境変化、行動変化をもたらすのだろうか。

 

現在のところ、住友不動産はあいかわらず高価格でバブリーな物件を売り惜しみしていくコロナ前と同じ戦略のようだが、三井不動産は市場の変化を読んで、色をつけてくると思う。今後出てくる三井不動産の物件がどういうコンセプトを強調するのか大変楽しみである。

 

なお、今回、震災直後の状況についての記事を通じて、私は今後のマンション価格については悲観的なビューを持っていると書いたが、中長期的には湾岸タワマンの価格はまた上がると思っている。

 

人々はネガティブなことはすぐに忘れてしまうし、また、湾岸タワマンの暮らしは快適だし、共働き子育てのインフラでもあるから、ファンダメンタルズ的な価値、利用価値は高いと思う。

 

ただ、マーケットは悲観するときは悲観しすぎるし、楽観するときは楽観しすぎるのだ。これから買う人はファンダメンタルズを見極めて、妥当な価格で買うのが良いと思う。また、物件によって値下がりしづらいものと値下がりが大きいものに分かれるだろう。不況下でも値下がりしない物件こそ、ホンモノである。高くてもホンモノを買うと良いと思う。

 

 

テレワークで都心のオフィス・住宅需要は減るか?

テレワーク

 

小池知事が平日は在宅勤務せよと呼びかけている。多くの大企業が原則在宅勤務に切り替えている。

 

想定どおりネット企業の対応が早かったが、金融、メーカー、不動産などのレガシー産業についてもテレワークが原則とされる動きがあり驚きである。

 

在宅勤務できるビジネスなのに、社内要因で、在宅勤務できない会社というのは恥ずかしい反社会的な会社であるという認識が広がっている。

 

・あの電通でも在宅勤務をやっているのに、当社ではできないのか?社員の健康管理をどう考えるのか?

・オフィスで集団感染が発生したらどうするのか?

・休校になったがどうしろというのか?

・なぜ、満員電車で通勤して在宅でもできる仕事をしなければならないのか?

・同業他社や取引先は在宅勤務なのに、なぜ当社はできないのだろうか?

 

もともと、政府はオリンピック期間中の公共交通機関の混雑を緩和するため、テレワークの普及促進を行ってきた。ただ、イマイチ流行らなかった。

 

SIerなどのテレワーク導入支援を仕事にしている会社やリクルートJALなどの先進的な会社は、テレワークによって昭和の労働文化(紙、対面、長時間労働)を破壊して生産性を向上できる可能性に目をつけて、PDCAを回しながらテレワークに取り組んできたが、レガシー産業は育児中の女性に限るなどのケチな運用をしていた。

 

そもそも、現代の職場環境においてオフィスにいかなければできないという仕事は減っている。人事部や情シスは、一刻もはやくテレワークを導入してPOCやPDCAを開始したいのに、中間管理職層が反発するという構図が多く、要は、テクノロジーと昭和の労働文化との戦いが生じていた。手書きの履歴書やFAXみたいなものだ。

 

テレワークは、まず全社員がやってみることで誤解が解けて組織に浸透する。しかし、人望のない管理職が反対するので日本企業はテレワークのトライアルをできずにいた。

 

ところが、コロナで出社禁止になり強制的に全ての社員が在宅勤務に切り替えられた。これは衝撃的なトライアルとなった。

 

担当者も管理者も有能な人とダメな人がハッキリ分かれた。やることの決まっている担当者は所詮、締め切りまでに仕事を完了させるしかないため、ダメな人でもさほど変わらない。有能な人の生産性がすごく伸びただけだ。

 

巧拙の差が大きくついたのは管理職である。対面による監視やマイクロマネジメントができなくなったが、人望がないので部下が報告をしたがらない。そこで人間不信になってさらにテレワークなのにマイクロマネジメントをしてしまう。

 

結果、チームは個人単位に分断され、バラバラになり生産性が低下した。これは外から見ているとすぐにわかる。上司は成果がでない理由をテレワーク制度や部下のせいにする。ツイッターでも部下がダメだとイキリ散らしてた人がいた。部下からもマイクロマネジメント野郎に対して不平不満が出てくる。大抵の場合、問題は上司側にある。

 

一方で、優れた上司(若くてテクノロジーに精通した人が多い)はテレワークがなんたるかを理解していた。対面ではないため、情報共有や緊密なコミュニケーションがなによりも大切である。

 

そこで、信頼関係、心理的安全性が確保されていなければ、ネガティブな情報が出てくるのに時間がかかってしまう。進捗に問題がある場合に、相談してくれなくなる。テレワークで上司の役割はコマンダーからプロデューサーに変わった。それに理解できずに指示命令を行って報告を求めると失敗してしまう。

 

さて、実際にやってみた方は分かると思うが、テレワークの効用は非常に大きい。通勤時間がないから体の負担が小さい、睡眠時間も伸びる。スーツを着なくていいからリラックスして仕事ができる。静かな図書館に篭って仕事をしているのと同じであるため作業が捗る。作業の中断が入らないのも大きい。こんな恵まれた環境で生産性があがらないわけがない。

 

また、副次的な効果も大きい。通勤時間がないため朝早くから始業できる。帰宅時間が早くなるため家事が捗る。女性社員は時短勤務せずにすむようになる。子供が熱をだしても保育園にすぐに迎えに行ける。病み上がりで出社しなくてもすむなどなど。

 

今回、多くの社員がこのテレワークを体験した。今まで食わず嫌いしていた人も。もちろん課題もたくさん見つかったが、多くの場合、生産性がほとんど変わらないことにきづいたはずだ。

 

コロナが終息してから、すべての社員が週5日、オフィス勤務に戻るかというと戻らないだろう。テレワークとオフィスワークを組み合わせて業務を設計するようになっていくと考えるのが自然だ。

 

BCPの観点からも、いつまたコロナのような事態になっても対応できるようテレワークを日頃から運用しておくことが求められるようになっていくだろう。

 

 

働き方改革とオフィスの姿

 

コロナショック前から、働き方改革の流れを受けてオフィスの移転や改修が流行した。昭和のオフィスから脱却して現代的なオフィスへ。固定席や島型対向レイアウトを廃止して、無線LANフリーアドレスが導入された。

 

働き方を変えたくても昭和のオフィスでは無理である。オフィス移転を機に、業務プロセスを変えようという動きは必然であった。

 

紙を減らし、固定席を減らし、オープンな会議スペースを増やす。近年オフィスを移転した会社は、程度の差はあれ、このような考え方でオフィスを設計されている。

 

昭和のオフィスからの脱却は要は個人のスペースを減らすということになる。この中で一人当たりのオフィススペースを削減することで賃料を減らすことができる。オフィス移転のコンサルは、業務の電子化による生産性向上と賃借面積の削減によるコストダウンを提案する。生産性は測りづらいのでペーパーレス化の程度や社員満足度で判断する。賃借面積や削減した賃料は分かりやすいのでオフィス移転プロジェクトのKGIにされやすい。

 

 

テレワークで都心のオフィス需要は減るか?

 

テレワークの普及は不可逆的なものであり、オフィススペースの削減の流れを加速させる要因だろう。

 

オフィスをフリーアドレス化すれば、全社員の席を確保する必要ない。休暇や外出やテレワークしている人の分の席を減らすことができる。これによって必要なオフィス面積が減る。

 

ただし、オフィスのフリーアドレス化は簡単ではない。基本的にはオフィス移転のタイミングで行う。したがって、あらゆる会社で一気に進むわけではない。昭和のオフィスを使いながら改装するのは大変だ。事例がないわけではないが少ない。

 

今後オフィスを移転する会社から、テレワークとオフィスワークの複合を前提としたフリーアドレスオフィスへ変化してくだろう。この中で、オフィスを置く場所の再考や面積の縮減が続く。

 

これは趨勢的な動きであるため、長い目では職住近接のできない昭和のオフィスエリア(丸の内など)は過去のものになっていくだろう。しかし、前述したように一気に進むわけではない。

 

テクノロジーの発展とともに、オフィスでしかできない仕事はどんどん減っていく。

 

デベロッパーはオフィス街の魅力を維持するには、オフィスでしかできない体験を増やしていけなければいけないだろう。

 

Googleなどが超快適なオフィスを作るのは、出社しなくても仕事ができるが、出社して他の社員と交流して欲しいからである。アメリカではそれでも出社しないエンジニアも多いのだが。

 

 

テレワークで都心の住宅需要は減るか?

 

テレワークは不可逆的な流れで浸透していくだろう。

 

人間、一度便利なものに慣れると元の不便なものには戻れないのだ。テレワークの自由さに比べると、満員電車に乗って、スーツを着て、固定席のオフィスに出社するなど前時代的すぎて苦痛である。たまにならいいが、毎日はもはや無理だ。

 

また、BCPや女性活躍などの反対されづらい意義もある。コロナのおかげでトライアルもして、生産性はほぼ変わらないことが明らかになった。

 

それでは、テレワークがどんどん浸透すると都心の住宅需要は減るか?

 

多少は減るかもしれないが、私は完全なテレワークはさほど普及しないと思っている。

 

週2、3回はオフィスへ出社したり、取引先へ面談に行く必要がある。この場合、都心の住宅の利便性はありがたい。

 

また、午前中はテレワークし、午後取引先に向かうみたいなことも今後は当然可能になる(というか既にやっている)が、この場合移動時間が短くないと正当化しづらいため、オフィスや取引先に近い都心の住宅の価値は残ると考える。

 

テレワークが浸透すると、在宅での勤務環境にこだわる人が増えるだろう。狭い賃貸でのテレワークは地獄である。

 

P&Gの営業マンは在宅勤務するので仕事専用の部屋を用意することを推奨されると聞いたことがある。

 

したがって、通勤アクセスだけが良い都心の狭い住宅の魅力は低下するだろう。駅から多少離れていても良いので広くて快適な環境が求められる。イメージとして、晴海フラッグや晴海三兄弟などは好まれると思う。

 

私もテレワークをするようになって、駅近物件への興味が低下した。週に1、2回しか電車に乗らないのに、駅近の、価格が高いわりに狭くて周辺環境の悪いマンションに住む必要はない。

 

まとめ

・テレワークは不可逆的に普及していくが、完全なテレワークではなく、テレワークとオフィスワークの複合になっていく

・都心のオフィス需要(必要面積)はテレワーク対応(オフィスのフリーアドレス化)とともに緩やかに減少していく

・都心の住宅需要は急減しないが、通勤利便しか魅力のない住宅の人気は緩やかに落ちる

・テレワーク前提で自宅の環境にこだわる人が増える

 

 

 

 

 

高配当株投資の悲劇

高配当株投資

コロナショック前は米国株を中心とする高配当株投資が人気で、「配当金で生活費を稼ごう」とか「配当年収300万円を達成してセミリタしよう」とかそんな感じのブログやツイートが流行していた。

 

高配当投資は自ら銘柄選定やタイミング選定を行うアクティブ投資の一種であり、米国の投資家に人気が出ていた。ファンドがリリースされた時期がよく、インデックスにアウトパフォームしたからである。

 

私は株価が高騰してインデックスの投資魅力が低下していく中で、「配当利回りを見て株を買っていくことは、高値づかみしないので有効なのではないか」と感じた。ただし、実際にヒストリカルデータを調べてみると、都合の悪いファクトがたくさん見つかった。

 

・高配当株投資は再投資が前提。再投資しなければインデックス投資にリターンで勝てない。(再投資してもほぼ勝てない)

・高配当銘柄は高配当しなければ買ってもらえない(株価を維持できない)ダメな銘柄が多い。

・成長企業は配当せずに事業へ投資をするため、高配当銘柄は成熟した会社が多い。大きな成長は期待できない。

 

これらを確認して私は高配当投資を行うのはやめた。自動的に利益確定されるから楽だという説もあったが、短期的にお金を引き出す必要がない以上、毎月配当金をもらっても再投資するのが面倒なだけだし、お金が必要ならインデックスファンドを売却すればよい。

 

 

イキり出す素人投資家

 

コロナショック前の高配当株投資家のイキり具合はどんどん加速していた。減税と好業績で配当はどんどん増えるし、配当を支払っても株価が下がらないで上がり続けるからである。

 

なぜこんなことが起きたかというと、金融緩和で株価がバブルになっていたことに加えて、リスクを取れば取るほどリターンがあったからである。

 

個人投資家は、バランスファンドを売って株式インデックスファンドを買い、株式インデックスファンドを売って日本の個別株を買い、それでもあきたらず、外株の個別株(高配当株だのGAFAだの)を買ったり、レバレッジ投信(3倍3分法とかそんなやつ)を買っていた。そして、それが円安株高局面で、大成功していた。

 

こうした投資家は大抵、リーマンショックの後から投資を始めている。上昇相場の中でどんな株を買っても儲かったので、投資を始めた時期が良かっただけ、運が良かっただけなのだが、運を実力と勘違いしてブログを始めたり、Twitterで資産残高を公開したりしていた。

 

高配当株投資は本来、長期間の株式のリターンとインカムを見て判断するべきものだと思うが、米株が史上最高値を更新すれば、ポートフォリオをアップしてイキリまくりだった。

 

リーマンショック前からインデックス投資をしている古老達はイキった素人投資家達を苦々しく感じており、彼らの投資手法の論理的な矛盾や弱点を指摘したが、有頂天で全能感のある素人にそんなものは届かない。だって、実際に儲かってるんだから。

 

「誰でも簡単に儲けられれる米国高配当投資」みたいな本が出たり、米株投資ブログが乱立したりしていた。私はこうした傾向は危険な兆候だと感じていた。

 

素人がイキリだすとマーケットは天井である。マーケットの神様はイキった素人を決して見逃さない。暴落につぐ暴落で精神的に追い詰めて、「もう二度と投資はしない」と泣きながら退場するまで、徹底的に追い込むのである。そして、彼らが全て退場した後に株価は底打ちして上昇に転じる。

 

これは、イキった素人のリスク許容度が低く、相場が反転するまで精神的にも投資余力的にも持ちこたえられないためである。巨額の評価損に向き合うのは辛い。早く損切りして楽になりたいと考えるのである。

 

実際には株価は上がったり下がったりするものだし、先進国の債務は常に過去最大(つまり、カネの価値がどんどん下がっている)だから、株であれ不動産であれ、自分が買った価格まで永遠に戻らないといういことはほぼない。

 

個別株には倒産リスクはあるが、インデックスならそれもない。したがって、5年か10年くらい放っておけばプラ転する。精神的にそれまで耐えられるのか?という話である。

 

 

リーマンショックの思い出

 

私はリーマンショックの時に同じような動きを見ていた。当時はバリュー投資が全盛であり、個人投資家四季報CDーROMを買って財務スクリーニングをして、誰もが割安な会社を探していた。実際にリターンもよく、多くの投資家が儲かって、バリュー投資ブログを開設していた。

(当時は誰も気付いていなかったが、アメリカ経済がサブプライムローンを使って膨らんでおり、当時の個人投資家も運が良かっただけだった。)

 

バリュー投資とは、市場で割安に放置されている株を買って、長い時間耐えて、妥当な水準に株価が収れんした際に売却するという手法である。

 

これ自体はプロも行うものだ。個人投資家に分析力があるのかは置いておいて、短期的なリターンを求められない個人投資家が有利な点もあった。

 

バリュー投資は長い時間軸の投資のはずが、なぜか資産残高を毎日公開してイキる奴が現れた。それもたくさん現れた。

 

当時はなんとも思わなかったが、今思えば、高配当ブログがどんどん出てくるのと同じで、相場が天井で暴落が近いサインだった。

 

そこにリーマンショックが起こった。リーマンショック発生後の日本は、「そうはいってもすぐに戻るだろ。サブプライムローンは日本経済関係ないし。アメリカは大変だよな。」という対岸の火事モードだった。

 

リーマンショック後、2009年卒の新卒採用も多くの会社が普通に行っていた。最後の大量採用だ。

 

それからどんどん株価が下落して、さらに下落して、さらに下落して、ようやく日本人もヤバさに気がついた。

 

マーケットはオーバーシュートするが、基本的に間違えない。間違えるのはいつだって我々である。

 

バリュー投資家は株価下落に対して買い向かった。バリューの観点からは暴落は絶好の買い場である。

 

ブログには「株価は短期的には下がっていますが、長い目で見ればバーゲンセールですから、バリュー投資のチャンス到来です」とみんなが強気だった。

 

高配当株投資家が「配当利回りが上がってます、バーゲンセールです」と言っているのと同じである。

 

暴落相場や暴騰相場で逆張りは一発退場となる恐れがあり、非常に危険なのだが、過去の成功体験が邪魔して目が曇っている。そのうち戻るはずだ、押し目だと考えてしまう。

 

それから、上場会社がほぼ全社赤字となり、PERが計算できなくなり、バリュー投資している人の資産は半分以下になった。3分の1になったかもしれない。信用をやってる人は追証地獄になった。そうして、バリュー投資ブログはほぼ全て閉鎖された。

 

個人投資家のリスク許容度は本人が考えるよりも低い。バリュー投資家だって、10年持ち続ければ損失を出さずに逃げ切れたのだが、そこまで精神力が持たないのである。

 

今回の下落も同じで、高配当株投資家はほとんどが退場するが、何人かは生き残るはずだ。自分の手法を信じ切れるかどうかだ。そういう意味で、自分の手法が通用しなくなる局面で、手法を信じ切れるのかどうか興味がある。

 

高配当投資ブログを書いている人はリターンの状況と心情をぜひ綴ってほしい。個人投資家が投資手法が通用しなくなり、評価損を抱えたときにどのような行動に出るのか、価値がある研究になるはずだ。儲かったときにだけイキる奴はダサいし恥ずかしい。損したときにこそ真価が問われる。

 

 

最近の動向

 

3月27日、欧州中央銀行はユーロ圏の銀行に対して2020年10月までは配当を実施しないように要請した。また、自社株買いについては中止することを要請した。株主還元を行っていた銀行が今後のコロナ経済の中で倒産の危機に陥り、救済する際に、世間からの反発を防ぐためである。

 

この流れは、欧州だけではなく、また、銀行だけではなく、救済する必要がある大企業(いわゆる大きすぎて潰せない企業)において同じであろう。

 

コロナ後の経済では、まずは企業を存続させることが最優先だ。株主還元だのESGなんていうのは平時のものだ。

 

多くの会社が潰れないようにキャッシュをかき集めている。資金に窮すれば大幅な希薄化を伴う増資もするだろう。株主還元は停止するだろう。

 

さて、こうなってくると高配当投資家は非常に厳しい状態になる。ただでさえ株価暴落局面で高配当株の下落はインデックスよりも大きかったのに、インカムも激減する。

 

ある高配当株投資家は「暴落局面では、株価は下がっても配当はそんなに下がらないはずだから、心の支えになる」と言っていたが、実際にはそうはならないだろう。減配、無配、増資、上場廃止は当たり前の世界になる。

 

暴落局面においては、今まで順調に機能していた投資手法が機能しなくなる。いわゆるモメンタムクラッシュである。そこで強い心で同じ投資手法を5年、10年継続できるか、心折れて退場するか、投資家は岐路に立たされている。

 

コロナショックでマンションは値下がりするのか?(2.値下がりしない説)

さて、下がらない方の仮説についてもまとめてみる。

 

下がらない説を言う人はデベロッパーの中の人だったり、デベロッパーからお小遣いをもらってる人だったりなので、ポジショントーク全開で全く信頼できない。

 

どんな環境でも常に下がらない、常に買い時しか言わない。常に消費増税しか言わない財務省のように壊れたオモチャである。

 

御用専門家というものは、消費者の味方をしているような顔で、徹底してデベロッパーのことしか考えておらず、不誠実であり、もはや、マンションクラスタでも誰もまともに取り合わなくなった。こうはなりたくないものだ。

 

diamond-fudosan.jp

 

以下は、悲観論者である私が見ても、説得力があると思う説をまとめてみた。

 

1.新築が下がらないから中古も下がらない

新築マンションについては、原価積算で販売価格が決定されているため、価格が下落しづらい。大手デべは体力があるため売れるまで粘る。

 

所沢の物件のようにあきらかに市場から乖離した価格をつけると下げざるを得ないが、あきらかにエリアナンバーワンの物件であれば、何年かかっても値下げせずに売り切れるのではないか。

 

新築が売り惜しみしている限り、そのエリアの中古は下がらない。これはある程度、事実であると思う。新築が高値で出ていれば中古相場が底上げされることはよくある。

 

豊洲や晴海では後から出てくる物件がどんどん単価を釣り上げたため、新築が中古相場を吊り上げたという感覚がある。

 

ただこれは上昇相場での出来事なので、下落相場でも同じなのかはデータを見てみないと分からない。新築だけ高値で中古が値下がりすることはないのか?また、新築がないエリアはどうなるかだが、今回は価格下がらない説なので考えない。

 

新築が下がらなければ、エリア内の中古も下がらない。で、新築は下がらない可能性が高い。今のところは。これはありそうだ。

 

2.価格が下がると売る人がいなくなるから下がらない

価格が下がると、売り主は損してまで売らないので売り出しを止める。個人的にはこの説は全く信じてない(実需の場合、価格とか関係なく必要な時に売るだけ)のだが、特定の条件下ではこれが成立するのではないかと思っている。

 

コロナショックでは、消費者心理が最悪な状態になる。そうなると、ある物件を売りたい人と買いたい人がいたとして、まず売りたい人が消える。どうせ高く売れないなら売らないとなる。

 

一方で、買う人も消える。価格が下がりそうなものを買うのは怖い。つまり、売り手も買い手も消えるのだが、良い物件については買い手は消えない。または、もともと売り手がほとんどいないため、売り手優位な状態が維持される。

 

つまり、指名買いされるような物件、売り出しが少ない物件であれば、不況になっても、他の物件が値下がりしても、売り手優位の状態が維持されるため、価格は下がらないのではないか。これはありそうだ。

 

3.金融システムが健全だから下がらない

リーマンショックではマンション価格は下落したが、不況と同時に金融システムが危機に陥った。このため、デベロッパーは資金調達が難しくなった。

 

コロナショックは今のところ金融機関の破産はないし、金融システムはCCPの利用や自己資本規制の強化で、リーマンショック時よりも遥かに強固になった。

 

また、住宅ローンや投資ローンを借りる側から見ても、特に環境は変わっていない。このため、与信枠は減少していない。

 

賃金や金利が変わらなければ、買い手の資金調達力(購買力)は変わらない。したがって、買い手が経済的なダメージを受けない層のマンションは価格は下がらないのではないか。

 

コロナショックでは、外資系などの高所得層と工場やリテールの従業員のような低所得層がダメージをうけるとすれば、中間層向けのマンションは価格が変わらない可能性がある。

 

この説はありそうだ。ただ、前回書いたように実需層が今までどおり与信枠をフル活用するかどうかはわからない。フル活用しても安心できる良いマンションでは状況は変わらないのかもしれない。

 

4.資産インフレになるから下がらない

これはトンデモ論に近いのだが、最近の株価を見ているとこういうこともありえるんじゃないかと思えてくる。

 

世界中の中央銀行が株価を支えたり、企業の資金繰りを支援するために史上最大の金融緩和をしている。

 

金融緩和でコロナの患者を救うことはできないが、株価や不動産価格を押し上げる可能性はある。

 

コロナで実体経済は最悪な状態になる可能性が高い。しかし、実体経済と乖離して株価や不動産価格が形成されることはあり得る。

 

上場会社がクソ決算となり、失業者が急増しても、株価や不動産価格、資産価格が高騰する。いわゆるスタグフレーションである。

 

普通はこいういうことが起こらないように中央銀行がバブルをつぶすのだが、政府と中央銀行が一体化してバブルを起こそうとしている現代では、こういうこともあり得るのではないかと思っている。

 

その場合、短期的に資産価格が跳ね上がり、いずれそれを維持できなくなり、実体経済に収束すると思う。つまり、バブルがはじける前には大きく価格が跳ね上がることがあり得る。

 

バブルがはじける過程で、ハイパーインフレになるとか通貨危機が起こるおそれもあるだろうが、ここまでくると想像できないので考えない。

 

ともかく、中央銀行のおかげで不動産価格が下がらない又は上がる可能性がある。

 

結局どうなるのか?

さて、前回は価格下がる論、今回は価格下がらない論をまとめてみた。これらは現時点の仮説群だが、どちらが説得力があるように感じただろうか。繰り返しだが、私には悲観的なバイアスがかかっていることを差し引いて読んでほしい。

 

現時点では、業界のプロは価格下がらない論が多いように思う。ただ、彼らもあらゆるマンションがすべて下がらないと言っているわけではなく、特定のエリアとか価格帯とかの「新築」に限るとか、そういう条件があるように思える。

 

今回のコロナを契機に、モデルルームのオンライン化などが進めば業界にとって良いことではないか。

 

今後のマンション市場がどうなるのかわからないが、マンションファンとしては、半年から一年後の状況が楽しみである。

 

私は短期的には大きな落ち込みを予想するが、長い目(何年か知らないが)でみれば楽観的なビューを持っている。

 

以上、値下がりする説、値下がりしない説のうち、私が説得力があると考えるものをまとめてみた。エンターテインメントとして楽しんでもらえれば幸いである。

コロナショックでマンションは値下がりするのか?(1.値下がりする説)

コロナによる経済影響

コロナで経済へのダメージが大きいことはなんとなく見えてきている。政府の月例経済報告でも、2月の緩やかに回復から3月は「コロナによる下押しが強力」と変わった。

 

決算が出ている企業でも、航空、ホテル、旅行などの観光関連、自動車などのメーカー関連、石油開発、商社などの資源関連の決算は見たことないレベルの急激な落ち込み。

 

しかも、2-3月だけの話なので、2021年3月期決算は見たこともないクソ決算になるだろう。その後、耐えきれなくなった会社からリストラを始めるという流れ・・・。

 

一方で、BtoBの産業やピュアインターネットの会社(スマホゲームとか)は無傷か、むしろ追い風のところもある。

 

ただし、企業決算は結局はGDPの水準で決まってくると考えれば、グローバルでGDPがマイナス成長になりそうであるため、全体でみれば大きくマイナスであると考えるのが自然である。

 

ユーロ圏やUSのGDPは四半期ベース年率で2桁マイナスになるとかいう予想もある。比較的コロナの影響が少ないシンガポールでも2020年は通年でマイナス成長になる見通し。リーマンショック以上の経済ダメージとの見込みである。

 

中古マンション価格は値下がりするのか?

経済の先行きがヤバそうなことはわかったけど、マンション価格はどうなるのか?

 

未来のことは分からないから、このテーマはどちらの方向にも結論づけられるし、サポートする材料を集めてそれっぽい根拠をつけることが可能である。

 

そこで、下がる仮説と下がらない(現状維持+上がる)仮説の両方をまとめていくことにする。

 

下がる仮説は言う人が少ないから書くのが楽しい。下がらない方はすでに散々言われていることをまとめるだけの作業になる。

 

タイムスパンを定めない議論にはあまり意味がない。上がると言い続ければいつか必ず当たるし、下がる方も同じである。ここでは、半年から1年後くらいの将来に中古マンション価格がどうなるのかという前提で書いてみる。

 

また、全てのエリアや価格帯で同じ動きをするわけでもないので、あくまでも、一つの仮説群(ストーリー)ということである。

 

どちらがより説得力を持つのかは読者が判断すればよいし、まぁ予想というものは大抵は当たらないから一種のエンターテインメントである。

 

なお、不動産は空売りができないためか、価格が上がってくれないと困る人が多い。このため、ポジショントークをすると、常に上がると言わざるを得ないし、常に買い時と言われる。

 

全くそう思っていないだろうに、常に買い煽りばかりする見苦しい人も多い。

 

つまり、何を言っているのかと同様に、誰が言っているのかに注目するべきだと思う。

 

なお、私はマンション保有者ではあるが、マンション価格が下がったほうが実需層が買える水準になり、住民の新陳代謝が健全化するので中長期的には良いと考えている。

 

賃貸よりも購入の方が保有リスクがある分、金銭的には購入した方が有利になる水準に価格が落ち着くべきだと考えている。

 

そのため、バイアスがかかっている(都合の良い情報を過大評価する傾向がある)ことに留意してほしい。

 

コロナで中古マンション下がる仮説

(1)株価が下がれば中古マンションも下がる

リンク先の図を見てもらえばわかるとおり、日経平均と都心三区の中古マンションの単価には相関関係がありそうだ。ただし、この図は軸を加工して強くリンクしているように見せていることには留意が必要。

「東京」の不動産だけなぜか急騰している事情 | 街・住まい | 東洋経済オンライン | 経済ニュースの新基準

 

プロアマ問わず、株価が暴落して半年~一年後にマンション価格が大きく下落するという経験則を持っている方も多いのではないだろうか。(逆に、株価が暴落したがマンション価格が下落しなかった事例ってあるのだろうか?)

 

日経平均は24000円から一時30%程度下落した。当然、マンション価格も多少は調整するだろう。

 

ただし、過去のデータを見る限り、株価が半分になってもマンション価格は半分にはならないので、この説では株価の下落率の半分くらい下落すると予想される。

 

なぜ株価と都心のマンション価格が連動するのか?専門家がさんざん解説しているからググってもらえば解説が出てくるが、

「実需ではなく投資目的のプレイヤー(プロアマ問わず)が多いから、そもそも価格がボラタイルで、好景気になると急に高くなるし、不景気になると価格が下がる傾向がある」という説がある。

 

また、一般論として、株価が暴落すると高値のマンションの投資魅力がなくなるということもある。アップサイドのない高値マンションを買うより、暴落している株を買った方がリターンが良いだろう。高値マンションが更に値上がりするということは、株価はその2倍以上上昇しているはずである。

 

J-REITについては、50%下落してから戻してきてはいるものの高値には戻っていない。つまり、コロナでディスカウントされている。そんな中でディスカウントなしのマンションを買う人いるだろうか?

 

マンションの場合、借入金を使えるという特徴があるが、自己資金がある人は株を買った方が明らかに良いだろう。自己資金のない人は割高なマンションでも掴まざるを得ないが、そもそも、自己資金がない状態で買うのは普通はよろしくないのではないか。

 

(2)不況になれば中古マンションは下がる

首都圏のマンション価格の推移をみると、リーマンショック後と震災後に下落している。

tower-ten.jp

このデータを見る限り、正確にはリーマンショック前にミニバブルが崩壊し、ピークアウトしていたところに、リーマンショックで資金繰りにつまるところが出てきて、ストンと落ちたように見える。

 

震災時の下落はエリアによっては大きかった(浦安をはじめ、液状化津波への恐怖から湾岸などから逃げる人が増えた)が、全体でみると大したことはなかった。

 

これは、震災は日本の関東だけの話であって、グローバルでは好景気が継続していたからであろう。このころのマンション価格は、上りも下がりもせず、底値で這ってたという印象。

 

この時期、民主党政権下で、経済の先行きに対する見方は最悪だった。マンションが中長期的に上がるという見通しを持っていた人は少なかった。白川日銀が円高誘導していて株価も最低最悪だった。

 

原発事故によるエネルギー不足、円高などなど悪条件が重なり、X重苦とかいって日本経済の先行きを悲観する向きが多かった。

 

さて、不況になるとなぜマンション価格が下がるのだろうか。賃料や金利が変わらない中で、変わらなくてもいいはずだが、実際には下がっている。これは、日本だけではなくて海外でも同じ。中には、金利が下落する中でも下げていることもある。

 

これは、二つ理由があると思う。

 

まず、不況になってリストラや倒産の話が毎日報道されるようになると、マスコミは喜んでいかに悲惨なのかを増幅する。そうすると、消費者マインドは悪化して、高額の消費が委縮する。

 

アベノミクス下では頭金なし・変動金利でマンションを買う人も増えたが、反動の動きが出てくるだろう。つまり、お金を借りる能力があるのに借りない。保守的に固定金利にする。

 

リスクオフで与信を使わないことにより購買力が落ちる、購買力が落ちるから価格が下がるという流れである。

 

もう一つの理由は、先高観が消えてしまうことである。マンションは価格上昇局面で買うよりも下落局面で買う方が怖い。

 

これは多くの人の実感にあっているだろう。アベノミクスの上昇相場で買えなかった人は下落相場では買えないだろう。恐ろしいから。

 

これは、消費者のみならず投資家だって同じで、短期的とはいえ評価損を抱えるおそれがある資産を買う呑気な人はほとんどいない。他の値上がりしそうな資産を探す。

 

コロナ不景気を乗り越えれば不動産が上がると思っていても、そのように行動する人は少ない。

 

株の世界でも、下がっている株をもって何年も持ち続ける精神力のある人は少ない。いずれ上がるからといっても、それは負け犬の遠吠えなのである。

 

先高観を予想する人が減れば、圧倒的な割安価格以外では買わなくなる。そうなると、高い価格で買ってくれる買い手が消えて自己実現性で価格が下がる。

 

アベノミクス下では、都心以外のマンションも高騰した。坪400万円とか、8000万円、9000万円もするマンションを普通のリーマンが借金全開で買った。

 

先高観が強く、「待っていたらもっと高くなる」という恐怖があったことや、「価格が上がるから自分よりアホな誰かがもっと高い価格で買ってくれる」という期待があったのである。

 

先高観が消えた今、普通の購入者は、今後、価格が下落することも想定しながら借入額を減らすだろう。

 

(3)今回だけは違う説

コロナの特徴として全世界同時の移動制限がある。外務省は史上初めて、全世界への渡航自粛を呼び掛けている。NY、ロンドン、パリは外出禁止である。

 

こんな世界があっただろうか?戦時中の戒厳令のようだ。歴史上初めての事態であり、この影響がどこに出てくるのか全く想像がつかない。

 

各国は巨大な政策パッケージを用意して、企業の資金繰りや雇用を救って危機を乗り越えようとしているが、そういうレベルの話なのだろか?

 

資源価格暴落や観光客の激減で、国単位で破綻するところがどんどん出てくるのではないか。国レベルでもこうなので、債務危機はあらゆるところで発生する。

 

債務危機に対応するために史上最大の金融緩和が行われるが、緩和の反動に耐えきれなって金利が暴騰したり通貨危機に陥ることもありえる。

 

これはトンデモ話で発生確率は低いが、実際に発生せずとも、「金利がコントロールできなくなるおそれがあるのではないか?」と消費者が疑いはじめたら、保守的な行動となり、無謀な借金に支えられている不動産価格は崩れるのではないか。

 

また、不要不急な外出自粛の中で、モデルルームや中古物件の内見も普通に考えて自粛する方向になっていくだろう。個人の売り出しはともかく、大型のモデルルームでの大々的な販売はK-1と同じく厳しい社会的なバッシングが生じる可能性がある。

 

こうなってくると、そもそも価格がどうとかいうレベルの話ではなく、売買が行われる件数が激減する(流動性が落ちる)ことになる。

 

どうしても売りたい、買いたい人はいるが、流動性が薄い状態で売買すると執行コストが大きくなり、どうしても売りたい人は安くなるし、どうしても買いたい人は高くなる。これは流動性の薄い株も同じである。 

 

 個人的には、「今回だけは違う」というあらゆる言説については信じない。

 

これは良いほうも悪いほうも同じで、「今回はリーマンショックの時と違って、低金利だし、金融システムが健全だし、大手デベの寡占だから、今回だけは違う。」という話はあまり信じていない。歴史は繰り返すと思う。

 

以上は値下がり仮説だが、次は値下がりしない仮説についてまとめてみる。比較して、どちらがより説得力があるのか考えてみてほしい。

 

ただ、こうした予想は当たらないものである。現実には、現時点では考慮さえしていない予想外の要因で、予想よりも大きく動くものなので、 ストーリーであり、エンターテイメントとして捉えていただくのが良いと思う。

私の購入体験談(新築マンション検討5.シティテラス品川イースト)

第一期から見られるマンションが港南の近くにはなく、しばらく検討を中断していたが、なんと天王洲アイルの近く品川ふ頭に住友不動産がマンションを開発するという情報が出た。

 

場所はモノレールの天王洲アイル駅から徒歩3分。クルーズの船着き場があったところだが、現在は何もない埠頭であったため、安くないと売れないのではないかという下馬評だった。

 

かくしてまた住友不動産の田町マンションギャラリーに行くことになった。

 

このマンションは非常にシンプルな作りで、ほぼ全部が同じ67平米の効率的な3LDKの間取りで、全戸が運河に面していた。

 

肝心の価格は、想定していたより高く5880万円~だった。周辺には何もないが、モノレールの天王洲駅から近く浜松町へのアクセスに優れる。また、朝は確実に座れるので快適である。

 

低層階が最も安く、低層の運河沿いは魅力があるので、2~3階でも十分だと思った。

 

品川ふ頭は何もなかったり、目の前の道路の交通量が多かったりするのは気になったが、色々と調べてみることにした。

 

すると、バスで品川駅までのアクセスが便利だと分かった。マンションの目の前から出るバスは品川ふ頭をぐるっと回るので無駄に時間がかかるが、天王洲アイル駅まで歩けばすぐに着く。交通の便は良さそうだった。

 

一方で、ここでもやはり保育園が懸念された。認可保育園はだいぶ遠く、歴史があるのは良いがかなり古い。認証保育園はできたばかりで運用がこなれていなそうだった。問い合わせても入れるのか入れないのかもはっきりしない。

 

また、このマンションは品川区にあるのだが、港区と保育料の補助がだいぶ違うことに気が付いた。港区は、認証保育所との差額助成や二人目保育料無料などの画期的な取り組みを行っていた。品川区は二人目保育料半額をやっていた。

 

仕方ないのだが、同じような保育サービスを受けるのに、港区か品川区かの違いで月3~8万円(二人目)くらい負担が多くなる。となると、あまり乗り気がしない。

 

検討の結果、シティテラス品川イーストは、交通利便性や眺望には優れるし、間取りも必要十分ではあるが、やはり子育てという前提では少し尖りすぎているという結論になった。

 

ここまで見てきて、新築マンションは我が家のニーズを満たさないということに気が付いた。必要なエリアに出てこない分にはどうしようもないし、気に入った物件でも保育園がなければ買えない。

 

そこで、新築マンション検討は中断することにした。まぁ無理して気に入らないものを買っても仕方ないと考えた。

 

タラレバだが、グローバルフロントタワーを一期から見たら買っていたかもしれない。また、晴海の保育園がゼロ歳児4月入園で全入なら、ティアロを買ってかもしれない。しかし、こればっかりは巡りあわせである。

私の購入体験談(新築マンション検討4.東京ベイシティタワー・ハーバーテラス品川)

※タイトルは購入体験談ですが、見送った理由を書いている購入してない体験談なので、ご了解の上でどうぞ。

 

 

さて、ベイシティタワーとハーバーテラス品川は港南に近く、生活に大きな変化をさせなくてすむ本命のマンションであった。

 

これらは住友不動産の田町マンションギャラリーで販売されていた。

 

ハーバーテラスは全戸が運河向き、両面バルコニーのユニークな間取りで、50戸くらいのマンションだった。ベイシティタワーはいわゆるペンシルタワーである。

 

まず、ベイシティタワーを見に行ったが、ちょうど泉岳寺の新駅発表があったタイミングで、住友不動産は一回販売を中止して、2週間後に値上げして再販売開始した。

 

モデルルームに行くまで知らなかったのだが、5000万円~7000万円程度で売っていた物件を、7000万円~1億円程度に値上げしたとのことだった。

 

住友の営業マンは値上げを正当化するために、品川エリアがいかに有望なのか説明し、品川付近のマンション価格は今後絶対に上がる!上がる!上がりまくる!!下がる要素がない!とまくしたてた。

 

私は震災後から港南エリアに住んでいて、港南エリアのマンションが投げ売りされていた時期も知っていたから、営業の言ってることは全く響かなかった。いや、地震が来てエレベーターが止まったら下げるでしょうよと。

 

泉岳寺に新駅ができるという噂は以前からあったし、実現もだいぶ先の話。リニアは更に先の話。品川駅や新駅の再開発エリアは高輪口の話で遠い。

 

また、マンション価格は株価と連動していることを知っていたし、株価は海外要因で上がったり下がったりするものであるため、絶対に上がるということはない。

 

新駅やオリンピックで価格を乗せたと言っていたが、マンションを実用品として捉える私としては、それでQOLが上がるのか?と考えると、QOL関係なく相場要因で値上げされた価格で買う気にはならなかった。

 

ベイシティタワーは値上げが特にキツかったので、営業マンはどうせ買わないだろうと思ったのか、ハーバーテラス品川を説明しだした。

 

ハーバーテラスは物件としてはなかなか気に入った。が、値上げ後の価格と利用価値が見合っていないように感じた。

 

ベイシティタワーもハーバーテラス品川も、大規模タワーマンションではなく、ゴミ捨て場やディスポーザーなど気になる点があり、値上げ後の価格で買う気にはならなかった。

 

また、営業マンの説明の不誠実さが気になった。「絶対に上がる」など、不確実な情報に対する断定的な物言いは、金融界なら即アウトであろう。

 

物件情報も全体像を見せてくれないため、判断がしづらく、透明性が低かった。なぜ、物件の質と顧客体験の質が合わないのか。なぜこれで供給戸数ナンバーワンなのだろうか。

 

結果的に、我が家の要件には合わなかったが、ベイシティタワーもハーバーテラス品川も、(値上げ後の価格以外は)良い物件であると思う。

 

特に、港南エリアで最も新しいマンションであるハーバーテラス品川は、戸数が少ないとはいえ、賃貸や売買でもほとんど出てこない。気に入っている方が多いということだと思う。