質問箱に頂いた質問にこちらで回答しようと思う。
質問センキュー!
いただいた質問はこちら。
https://peing.net/ja/q/488312a2-e79c-42b0-8089-3b7e90a388d7
・港南の中古マンションを検討中(←イイね!)だが、中古マンション価格が高騰しているので、10年くらい住んで売却した時に大きく値下がりしていないか心配
・港南でリセール面で優れると思われるマンションはどれ?
というご質問と理解した。
港南の中古マンション相場
昨今、どこのエリアでも中古マンションは高騰している。
港南も同じで、中古マンション相場は、
・中古マンションの相場は平米100万円程度。80平米のマンションは8000万円程度。
・表面利回りは5%程度。80平米のマンションの賃料は35万円程度。
物件によって多少の違いはあるものの、大体こんな感じである。なお、ベイクレストタワー、ラクシア品川、シティタワー品川は価格も賃料も1割から2割程度安い。
ご認識のとおり、港南の中古マンション価格は高騰していて、高値圏にある。
港南エリアのマンション群が開発された2005〜2008年はマンション価格が安い時期だった(ただし、金利は高かった)ので、新築時価格が坪200〜250万円弱程度だった。(なお、シティタワー品川は政策的に安く売られたので話が混乱するため除く)
その後、2008年のリーマンショックや2011年の震災後は低迷したが、2013年以降、アベノミクス(黒田緩和)、オリンピック、新駅効果などで、40〜60%程度値上がりして、その後は高止まりしている。
コロナや羽田新ルートによる悪影響は不透明だが、今のところ大きな価格変動はないように見える。
新築時の価格を調べると、大きく価格が上がっているし、アベノミクス前の成約データを見ても、高騰している。短期間に大きく上がったものは短期間に大きく下がるかもと考えると、高値で買うのは怖い。
これはよく理解できる。私もそうだったし。
なお、新築比で大きく値上がりしたものを買うのは心情的に嫌だという方もいるだろう。
理論的には、そんなこと言ったって今更その時の価格には戻らないから、考えてもしゃーないということになる。
ただし、心情的に嫌なものを買うのは精神衛生上よろしくないので、新築時価格を気にする人は港南のマンションを買うのはやめたほうがよい。感情的な問題なので、それはそれで正しい。
以降は、
・新築時から値上がりしていようが、その後値下がりしなければ実質的な住居費を安くできるので問題ない
・価格が賃料で正当化されていれば問題ない
と考える合理的な方向けの内容である。
中古マンション価格の決まり方
マンションは経年減価するものであり、新築マンションで取得してから、1年あたりの減価率は1〜2%程度である。
マンションの寿命が50年なら1年あたり2%であるが、最初のうちは設備が壊れないので、減価ペースがなだらかである。
しかし、港南の中古マンションは経年減価どころか、経年で価格上昇している。この現象をどう説明するのか?
経年減価の計算は、新築時の価格(原価積算)を正として、そこをベースに計算していくものだが、実際には中古マンション価格は新築時の価格とはあまり関係がない。
中古マンション価格は、賃料とキャップレート(期待収益率)によって決まると考えるのが理論的であると、ツイッターで詳しい方から教えてもらった。
キャップレートはマクロ的な要因(金利やインフレ率など)により変動するが、エリアによっても変わってくる。
誰もが欲しがる(=リスクが低い)都心やブランドエリアはキャップレートが低く、人気がない(=リスクが高い)郊外はキャップレートが高い。
港南エリアは伝統的な都心やブランドエリアではないものの、港区なので各種公的サービスが手厚いことや、品川駅徒歩圏で通勤利便が高いのでキャップレートはまぁまぁ低い(と考える)。
賃料は経年で安くなるのが普通だが、港南では新築供給がないことや、10年後には高輪GW駅や品川駅の再開発、環状道路の開通による高輪へのアクセス改善、リニアの始業などのポジティブな変化があるので、まぁ、そんなに大きく変わらないのではないか。なお、足元では、賃料の値上がりが続いている。
キャップレートの将来的な変化(金利などのマクロ的な変化)を予想するのは難しいが、品川駅の魅力が向上すれば、エリアとしては現在よりも人気(=リスクが低い)となるので、相対的にはキャップレートが低くなるのではないか。
以上のとおり、港南の10年後の中古マンション価格について、私は賃料とキャップレートの観点からは、底堅いのではないかというビューを持っている。
爆発的に上がるとは思わないが、現在の価格から大きく(20%とか)下がることもないだろう。
ただし、長期の予想は当たらないので参考程度のもの。大きな災害が来れば下がるし、インフレになれば上がる。エリアどうこうより、マクロ要因が大きく影響する。
エリア内の物件による騰落率の差
さて、港南エリアの相場は底堅いと予想したが、個別の物件によって騰落率は変わってくるだろうか?
これについて、私は騰落率の差は大きくはないと思っている。
新築時にはそれなりに価格差があったが、10年以上経った現在、各物件で大きな坪単価の差がついてないので、今後いきなり格差が生じるとは考えづらい。
むしろ経年により格差が縮小する方向ではないかと考えている。エリア全体が上げるときはどの物件も同程度上げるし、下げるときは下げる。
エリア内で物件による騰落率の差は大きくないとすれば、気に入った物件(使用価値が高い物件)を選んで買えばよいと考える。
個人的には、ワールドシティタワーズは唯一の魅力がたくさんあるので、中古価格は維持しやすいのではないかと思っているが、現時点で他の物件に比べて坪単価が大きく異なっているわけではない。
賃貸との比較
なお、必ず買う必要があるわけでなく、賃貸するという選択肢もある。
10年間賃貸するケースと購入して売却するケースでは、売却価格によって有利不利が変わってくる。
経年減価、災害、金融マーケットのクラッシュなどで中古マンション価格が大きく下落すると予想すれば、賃貸するのも合理的である。
これについては、前述のとおり港南の中古マンション価格は底堅いと予想しているので、私は購入した方が有利であると予想している。どうなるのかは、実際に売却してみなければ分からない。
価格高騰の中、中古マンションを買うのは恐ろしいかと思うが、少なくとも私は価格は底堅く、買ったほうが有利だと思っているし、購入すればリフォームなども楽しめるから購入をオススメしている。
特に子育て世帯や出張が多い方にとって、港南は住みやすいと思うので、ライフスタイルが合えばぜひ港南へ。歓迎です。
将来の資産価値は正確には分からないけど、賃貸需要もあるし、まぁ多分大丈夫でしょう。