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日本にあるすべてのガソリン車をEVに置き換えたら・・・という話には意味がない

意味のない想定

 

「日本にあるすべてのガソリン車(つまり、中古車で10年選手の車も含むすべての車)をEVに置き換えたら、原発45基を新設する必要がある」というツイートを見かけた。

 

計算ミスは無視するとしても、反EV論者はよく「日本にあるすべての車をEVに置き換えたら」と言うのだが、あまりにも非現実的な前提であるので、この話には意味がない。

 

電力需要が時間帯によって一定ではないEVの電力消費量を、出力調整が効かないベース電力である原発で何基と換算するのもチグハグしていて気持ちが悪い。

 

日本にある車をEVに置き換えるのにかかる時間

 

日本の新車販売台数は、448万台である。自動車保有台数は、7,845万台である。(いずれも2021年、自工会データ)

 

つまり、今年から新車をすべてEVにするという極端な前提でも、国内で保有されているすべての自動車をEVに置き換えるのに17年以上かかる。

 

これだけの時間があれば、人口減少や発電や蓄電のイノベーションやら様々な変化が起こっているはずで、今の数値で計算してもほとんど意味がない。

 

さらに、実際には、新車販売に占めるEVの比率は数%程度なので、「今年からすべての新車販売をEVにする」という前提がそもそも非現実的である。

 

つまり、「日本にあるすべてのガソリン車をEVに置き換えたら・・・」という話は、現実的に到底あり得ない極端な前提を置いて、極端に大きな数字を作っているだけの無意味な妄想である。

 

現実的な想定

 

ガソリンで走っていた車をEVに置き換えると、ガソリンを消費しなくなる代わりに電力を追加で使用するはずで、その分の発電どうするのという話はあり得る。

 

この場合の前提の置き方は、「新車販売のX%がガソリン車からEVに置き換えると、ガソリン消費量がXX リットル減る代わりに、XX kWhの電力需要が追加的に生じる」というもの。

 

しかし、これも以前計算したとおり、日本にある「すべての」EVが消費する電力量でも、総発電量対比では誤差レベルの小ささであり、ピーク時間帯の需要量対比でも誤差レベルの小ささである。

 

https://konantower.hatenablog.com/entry/2022/09/01/132816

 

仮に今年からEVの販売台数が倍々で増えていったとしても、数年程度のスパンでは電力需要の総量やピーク時の需要の増減にはほとんど影響がないサイズ感である。

 

現実的に短期的にはEVの普及と電力の問題を結びつけるのは意味がない。短期的な電力の問題は発電の問題であり、需要の問題ではない。

 

計算できるが意味はない

 

自工会の統計や電気事業連合会の統計を使うと、日本にある車をEVに置き換えた際の電力消費量は簡単に計算できるが、前述のとおり、前提があまりにも非現実すぎて、何の意味もない妄想に過ぎない。

 

何らかの前提をおいて計算しましたとなると、その計算過程の確らしさに目がいくか、そもそも、計算以前に、到底あり得ない前提というところにツッコミが入るべきである。