konanタワリーマンブログ

マンション、投資ネタブログ

経団連の賃上げ統計が公表されたのでレビュー

5月19日に、2023年の春闘の結果を含む大手企業の賃上げの統計が公表された。

 

https://www.keidanren.or.jp/policy/2023/036.pdf


今年度はバブル期以来の高インフレとなっていることを踏まえて、過去にないレベルの賃上げをするぞ!ウォォォォォと盛り上がっていたが、結果はどうだったのか。

 

(賃上げの結果)
平均賃上げ額(定期昇給を含む)は、13,110円、アップ率は 3.91%(昨年実績は、+7,794円、アップ率は2.35% )
21業種のうち、従業員500人以上の会社が対象だが、集計対象は製造業85社、非製造業7社の合計92社。つまり、ほとんど製造業。
定期昇給率は2%程度なので、ベースアップ率1.91%、昨年度が0.35%なので昨年度比で見れば大幅アップである。

 

(物価の上昇)
一方で、物価の上昇率はどの程度かというと、2023年4月のデ ータでは、前年同月比3.5~4%程度の上昇となっている。(どの指数と比較すべきか、という議論はあるが)

 

https://www.stat.go.jp/data/cpi/sokuhou/tsuki/pdf/zenkoku.pdf


総合指数:前年同月比+3.5%、生鮮食品を除く総合指数:前年 同月比+3.4%、生鮮食品及びエネルギーを除く総合指数:前年 同月比+4.1%

 

(評価)
2023年の賃上げは定期昇給込み賃上げ率が物価上昇率と概ね一致したが、ベースアップ率は物価上昇率を下回ったという状態である。


物価上昇率を上回る賃上げを行わないと労働者個人で見た購買力が低下する。定期昇給率は人件費が1円も増加しない水準であることが多いので、物価上昇率を上回るベースアップを行わないと労働者全体では購買力が減少することになる。


なお、時点は違うが、2022年の海外の昇給率は、北米3.4% 、南米5.0%、西欧2.9%、東欧6.0%、アジア新興国6. 0%、アジア先進国3.5%程度とのことなので、先進国で3.5 %程度というのは一般的な水準である。もちろん、日本の賃金は先進国では最低のレベルなので、もっと昇給率が高くないと追いつかないのだが。

 

(日本企業の企業業績)
日経によると、上場会社の2023年3月期の決算集計では、純利益の合計が前の期比1%増の39兆881億円と、2期連続で最高益。


商社や空運、鉄道、バスが黒字転換するなど非製造業の業績が改善し、製造業は需要減少で苦戦。


24年3月期の上場会社の業績は過去最高益予想とのことである。


業種によって凸凹あるものの、全体としては過去最高益を毎年更新するヒャッハーという状態である。

 

今賃上げしなかったらもうダメでしょということ。今年ベースアップしなかった会社は電気代の値上げを拒否するようなもの。異常な会社なので、就職するのはやめよう。また、転職を悩んでる人は他にうつろう。


また、電気代が上がるのと同じで、業績がよかろうがわるかろうが物価対応の賃上げはするものだという認識が少しは広がってきたように思われる。そういうもんだよ。業績連動は賞与や。給与は購買力や。

 

(今後の見通し)
将来予想は当たらないが、現時点の状況としては、
・米国の利上げで米国のインフレのピークアウトを示す統計がポロポロ出ているが、すぐに鎮静化して2%インフレに戻るわけでもなさそう。

・日本でも電気代高騰は加速し、遅れて価格へ転嫁されていくコストプッシュインフレは加速しそう。

・植田日銀はハト派で、円安誘導ばかりやって利上げする度胸はなさそう。日本が高インフレになったとしても傾向を見極めるために数年は様子見しそう。
・日本ではインフレへの対応として賃上げされることが多い。好業績でも人手不足でも絶対に賃上げしないマンだが、インフレだとさすがにする。
・日本企業の業績はヒャッハー状態が継続。
ということなので、なんだかんだ、「定期昇給込みで」物価上昇率 2~4%と同程度の賃上げが継続されていくのではないだろうか。たぶんね。