ガソリン車のユーザーはEVの充電時間が数分になれば乗り換えてもいいということを言いがちだが、これはスマホ黎明期に、ガラケーユーザーが、「2週間電池持ちするスマホでたら買うわ」と言っていたのと被る。
これに対して、「ガラケーとスマホは用途が違ったが、車は移動する用途であり、ガソリン車もEVも大して変わらない」
「ガソリン車に比べて価格が高く充電が面倒なEVって、ガソリン車を上回るような魅力があるの?」ということを言う人がいた。
たしかにEVは価格が高く充電は面倒だが、それを上回る魅力があると思う。そこで、ぼくが考えるEVがガソリン車を上回る点をまとめてみた。やや主語大きいが一般的な言えることを中心に。
・加速力に優れる
EVはモーターに電気を流した瞬間にトルクがたち上がり・・・という説明をよく聞くが、体験してみると、とにかくクイックでパワフルな車が多い。
踏んだ瞬間ドーンと飛び出す。これが市街地や合流では非常に便利で、ストレスがない。
これに慣れてしまうと、停止時や低速走行時の加速力が弱い車は危なっかしくて怖くなってしまう。
・操作と加速にディレイがない
ガソリン車の場合はアクセルを踏んでから加速が始まるまでディレイがあるがそれがない。
また、ギヤによる変速がなく、直線的に踏んだら踏んだだけ加速していく。
この操作とスピード変化のズレがないということは運転がしやすいし、気持ち悪さやクセがなくストレスがない。
・静かで排ガスが出ない
ガソリン車の場合、加速の強い車はうるさくて排ガスやエンジン音をもりもり出す車が多い。燃費が良くて排ガスが少ない車はパワーがない車が多い。
EVは排ガスやエンジン音を出さないし、パワーがある。今まで不可能だったものが両立されている。
排ガスが出ないため、車中泊をして1日中、エアコンをつけっぱなしにできる、駐車場でアイドリングストップしなくて良いなどのメリットがある。
都市部の狭い駐車場だはアイドリングがうるさく、排ガスが出る車は迷惑であると感じる。
・コネクテッドが当たり前
EVは車自体に通信機能を持たせることが多い。車がインターネットに常時接続され、あらゆる情報が常に最新化される。
GoogleマップやらYoutubeやらネットフリックスやらさまざまなアプリを使えるし、アプリもコンテンツも常に拡充されていく。
テスラが当然のものとしたOTAを他のメーカーもパクったので、EVでは常にアップデートされるのが当たり前になった。
買った時が最新で、あとは古くなり劣化していくのではなく、買った後に自分の車がどんどん進化していくのは、素晴らしい体験である。
・IoTが当たり前
EVはガソリン車と違ってスマホアプリなどで外から電源を入れることが容易である。
アプリから呼び出して車の状態(充電量など)を見られる機能はどのメーカーも提供しているし、
外部からエアコンをかけておく、充電時間を予約しておく、鍵をかけるあけるなど多様なことができる。
特に夏や冬に車両の温度を最適にしておいてから乗れると言うのは素晴らしい体験である。
・高度運転支援が当たり前
近年はEVは自動運転を目指すプロダクトだという認識がなされており、高度な運転支援機能が標準搭載されることが多い。
また、課金すれば手放し運転、自動追い越しなどのさらに高度な機能を使えるというものも多い。
EVは電気的に制御しやすいと言われ、自動運転の開発は普通はEVで行われる。
アダクティブクルーズコントロール、レーンキーピングアシストなどで長距離移動が楽々になる。
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だいたいこんな感じで、確かにガソリン車でもEVでも「移動する」と言う目的は変わらないが、移動の快適さ(ストレスのなさ)、移動以外に車内で過ごす時間の快適さが大違いであり、ぼくはEVはガソリン車の進化形であると思っている。
充電するという手間が発生するため、充電時間を快適に過ごすため、車にエンタメ機能を盛り込みまくる。モニターも大きいし、室内空間や音響にもこだわる。
ある程度の自動運転が実現すれば、さらに運転よりも車内の過ごし方が重要になってくるだろう。
EVは価格が高いため、それを正当化するためのEVならではの魅力をたくさん盛り込まれる。(そうしなきゃ売れない)
EVは基本的には自宅充電であるため、急速充電の時間を短縮する努力はそこまで意義がない。(長距離移動時や自宅充電ない民にとっては意義があるが)
ガソリン車とEVはさまざまな違いがあり、運用方法も異なるので、「ガソリン給油並みの時間で充電できたらいい」というのはあまり意味がない。