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EVシフトをガラケーとスマホの関係に例えるのは妥当か?

ガソリン車とEVはガラケースマホに例えられることが多いが、これは適当な点とおかしい点があると感じている。

 

・非連続的な進化形

スマホガラケーからの非連続的な進化形であり、新ジャンルの商品として登場した。ガソリン車の性能ををいくら高めてもEVにはならないと思われるので、非連続的な進化形としてEVをスマホに例えるのは適当だと感じる。スマホユーザーで今更ガラケーに戻す人はほとんどいないだろう。一方で、EVユーザーの中にはガソリン車に買い替える人もいる。この点で、スマホは非連続的かつ不可逆的な進化形であるが、EVは今のところそこまでのものではない。

 

・自動運転

自動運転(ハンドル及びアクセルブレーキの自動操作)は体験してみると衝撃的である。イーロンマスクも「優れた技術は魔法のように感じるものだ」と言っているが、まさにそんな感じ。ハンドルが自動で切れていく様を見るのは衝撃だった。今、日本で使える自動運転機能というのは、ちょっとした運転補助に過ぎないが、アメリカや中国では一般道での自動運転タクシーをどんどん実証している。これが日本の車でも使えるようになり、運転時間の8割9割を自動で運転できるようになれば、これはもう不可逆的な進化と言えるだろう。実際、ぼくも渋滞で手動運転はできない体になってしまった。なお、ガソリン車でも自動運転機能をつけることはできるが、EVは自動運転と相性が良いとされており、多くの会社はEVと自動運転はセットで考えているようだ。ガソリン車でも自動運転ができるよという意見は、「ガラケーでも音楽聴けるよ」という話のように、できることはできるけどスマホの方が適しているよねという話なのかなと思っている。

 

・メガトレンド

スマホ登場以降の10年間、モバイル化はグローバルなメガトレンドとして認識されてきた。GAFAなどはトレンドに乗って急成長してきたし、リアル店舗は潰れた。今やモバイルはトレンドではなく常識として定着し、スマホの次のメガトレンドは何か?というのを皆が気にしている。現在、EVと自動運転はグローバルなメガトレンドであると認識されている。この点ではEVはスマホと似ており、世界を大きく変えるトレンドであると期待されている。2030年頃を目指して欧州、米国、中国という巨大自動車市場がEV化を加速させるとしている以上、グローバルにEVが普及することはある程度確度の高い未来だと思われる。もちろん、普及を妨げる要因はたくさんあり、リスクシナリオとしては微増に留まるかもしれないが、メインシナリオは2030年頃までにグローバルにEVシフトが一気に進む(新車販売台数の30%から50%程度以上のシェアを占める)というものだろう。

 

・利用目的

スマホガラケーは利用目的が異なる。スマホSNSやらストリーミングやらオンラインゲームやらWebサービスの利用がメインで電話としては使わない人も多いが、ガラケーはメールが主目的で、次に電話であった。ゲームなどはおまけの機能であった。EVもガソリン車も移動するための手段が主であり、エンタメなどは副であることには違いがない。この点では、さほど大きな違いはない。最も、自動運転が実現されたら、移動自体は大した目的でもなくなるのかもしれないが、今のところはあくまでも移動が主である。テスラもDレンジに入れるとネットフリックスやYouTubeは強制終了される。

 

・ユーザー体験

スマホを初めて触った時はデザインのミニマルさやタッチスクリーンの気持ち良さに驚いたものだが、EVについては車種によって体験が異なる。テスラのようにミニマルデザインなものもあるし、メルセデスのようにガソリン車以上にゴテゴテしたものもある。また、アクセルを踏んでドーンと加速する車もあれば、あえてガソリン車よりもマイルドに加速するものもある。一般的にはEVは低重心で加速力があるが、似たようなガソリン車もあるはずである。この点では、大した違いがないと言えるかもしれない。

 

・テスラの特殊性

テスラはEVの中でも特殊である。そうでなければ実績のない会社がトップシェアにはなれない。テスラ車はユーザー体験から未来を感じる。あえて彼らが未来を感じるように、ガソリン車との違いを感じるようにあらゆるものをデザインしているからであろう。オンラインアップデート、スマホキー、自動で電源オンオフ、外部からのエアコン操作など、どれも便利でガソリン車との違いを感じる。よく練り上げられていて、チグハグさがない。ハードとソフトがうまく統合されていてiPhoneっぽさを感じる。この点ではEVがスマホなのではなく、テスラ車がスマホであると考えると実体に近い。よく、「車には興味がないがテスラは欲しい」「EVが欲しいのではなくテスラが欲しい」という声を聞くが、これはEVの特性を活かしてガソリン車との違いを感じさせてくれる車ということで差別化ができているということであろう。ただ、テスラは車ではなく走るスマホだ(車としての性能はさほど重要ではない)というのはまだちょっと大袈裟な話である。まだ自動運転は実現できていないのだから、まだ主機能は車である。

 

結論

EVをスマホに例えて、「ガソリン車はガラケーのように絶滅するぞ」という話は現時点ではちょっと違うのではないかと思う。ただ、米中で猛烈に開発されている一般道での自動運転がある程度実用化されたら、普通に考えて自動運転がついてない車は選ばれなくなっていくので、EV+自動運転をガラケースマホの関係に例えるのは妥当になってくると思う。自動運転+人は、人オンリーよりも安全性がダントツに上がるので、合理的に考えたら絶対にあった方がよく、自動運転はシートベルトみたいな存在になる。

 

そして、自動運転と相性がいいのがEVであるので、さっさとEVに取り組んで欲しいというのがぼくの意見。自動車メーカーのポジショントークとして、「EVはスマホではない(ここは同意)ので、そんなに急いで取り組まなくてもいい」というものがあるのだが、テスラのオートパイロットを体験してからものを言った方がいいと思う。その上で、「自動運転はガソリン車でも実現できるので問題ない」ということなら構わないが、ぼくは実際に体験してみて、「ガソリン車と全然違うじゃん、未来の車はこういうのが当たり前になっていくだろうな」と感じた。

 

車詳しいマンに言わせると、「EVの特性はバッテリーとモーターによる低重心と強力な加速で、自動車としての基本性能が高いので次世代の自動車だ」と言うのだが、これもズレていて、一般道での自動運転が実現すると、自動車としての性能はもはや重要でなくなってくる。(自動運転は法定速度以下でゆっくりと安全に走る)それよりも、内装の心地よさやエンターテイメント性能などが注目されるようになるだろう。

 

まぁ、未来のことはどうなるのかわからないし、自動車メーカーがどう判断するのかはその会社次第なのだが、消費者として未来を感られる商品いうのはワクワクするものであり、黎明期(日本では)のタイミングでその商品を試すことができるのは幸運だと思う。興味ある人は是非試乗してみて欲しい。ぼくと同じく、「未来の車はこうなっていくだろう」と感じる人はポチればいいし、そうではないならガソリン車の方が便利なことが多いのでそれでいいだろう。