ヒュンダイ(ヒョンデ)がEVとFCVで日本市場に再参入すると発表して界隈がざわざわ。
日本市場は9割以上が国産車が占めており、残りはドイツメーカーを中心とする輸入車が占める外車砂漠市場である。
また、ゼロエミッションカーのシェアは新車の1%以下のスーパー砂漠市場である。
充電インフラも20−50kW(30分制限付き)の低速急速充電器が主流である。この状態で普通は入ってこようとは考えない。
ヒュンダイは世間知らずのおバカではなく、日本市場に合わせてウインカーの向きを変更したり、充電速度を下げたり、補助金が満額受けられるようにしたりと、日本市場を非常によく研究している。価格設定もあえて電池容量を減らしたバージョンを作ってアリアより安くしてきたり、用意周到。
風呂敷を広げすぎず、ネット通販とカーシェアのみというのも現実的な対応のように感じられる。IONIQ5の充電は350kWに対応しているというのが大きな強みだが、独自充電インフラを作らないのでそれは活かせない。充電インフラを維持できるほど売れとは思っていないのだろう。
記者会見の中で、「テスラが売れたことで、日本市場で始まりつつあるEV普及を機会と捉えた」とのことだが、
テスラだって月500台とか1000台しか売れてないのだからヒョンデは当然それ以下ということになる。
それでは、超高額な車を少数販売する狙いなのかなというと、IONIQ5は479万円からと激安路線。どういうことなのか。どの市場を狙ってるのか。
狙いは全くわからないし、充電インフラ砂漠の日本で爆発的に売れるとは思えないけど、一方で、ヒュンダイが持ってきた車は非常に魅力的なものである。
IONIQ5は欧州で高く評価されており、スペックも内装も細かいところに気が配ってあり素晴らしい。(サイズは結構でかい)
テスラと同様にパワフルな加速するモデルもあり、航続距離が長いモデルもあり、テスラモデル3にない後部座席リクライニングがあり、足元の広さもあり、・・・後出しだから当然だが、対テスラで優位な部分がいくつも作られている。ビークルトゥホームに対応したりコンセントがあったり。EV補助金もテスラより多く取れる。
FCVのネッソについても、FCV界待望のSUVだし、航続距離もミライと比較して長い(実測は知らないが)、補助金もミライ以上に取れる。細かいところに気が利いた車である。
個人的にはジェネシスブランドが日本に来ないかなと期待している。
特に、GV60(EV)は日本市場にピッタリフィットした感じで、本来はレクサスからこういうプレミアムな独自路線のEVを出して欲しいなぁと感じていたところ。
しかも、ジェネシスとはいえ、現実的にマーケティングしたら価格で優位に立つしかないので、安く出てくることが期待される。
ヒュンダイに続いて中国メーカーが日本に入ってくるのではとの見方もある。ヒュンダイの動きはその機先を制するものだと。
個人的にはNIOやXpengが入ってきたら嬉しいけど、まぁないと思う。(あったとしてもBYDとかの法人向けの車だけ)
ヒュンダイの車が日本メーカーに比べて圧倒的に優れているかというとそうでもないと思っているが、ジェネシスブランドは米国での評価が高いし、IONIQ5は欧州での評価が高いし、350kW充電へ速攻で対応するなど日本のメーカー(日産以外)よりはEVがなんたるかわかっている感じがある。
マーケットインの色が強く、そういうのが雑なテスラとも異質なものであることは事実で、EVに選択肢が生まれると楽しくなってくる。
自動車メディアはEVが普及するアジア市場の様子をほとんど伝えないが、国内に入ってきてくれれば自分で試すことができるので、情報格差の観点からも望ましい。
テスラの加速はすごいよと聞いていても、実際に体験してみると、うぉぉぉぉぉぉ!!となってしまうのと同じで、実際、体験しないことには理解できない。
また、このタイミングでの参入についてはbz4Xやアリアにぶつけてきたということがあるのだろう。スペックではIONIQ5の方が安くて高性能という感じ。
このヒュンダイの参入を受けて、後出しジャンケンする TOYOTAがいくらに設定してくるのか楽しみである。
また、ID4も日本に来るそうなので、価格破壊(というか、低価格モデルの性能向上)に期待がかかる。
2022年は500万円程度(補助金最大に取れれば実質350万円強程度か)のSUVEVの販売開始バトルがアツい。
2021年は航続距離と価格と充電インフラでテスラ一択だったので、より魅力的なモデルの投入と充電インフラの整備で状況が変わってくれれば嬉しい。