湾岸タワマンは不動産サイトなどで時価が見える化されているから、自宅がいくらで売れるのか気になる人もいると思う。
沖氏の本を読むと、資産価値ばかりに目が行きがちである。たしかに、資産価値の高い自宅を買えば住宅費を下げることができたり、場合によっては利益を得ることができる。
資産価値の重要性
のらえもん氏が主張しているとおり、
・転勤などがあり、すぐに売ったり貸したりする場合に、時価が高いことは大切である。
・転勤でなくても、移動の自由を確保するためにも、残債割れしないことは大切である。
これらはそのとおりだが、転売屋ではなく実需で1戸だけ保有する前提では、実は資産価値はそこまで気にしなくてもいいと思っている。
そこまで気にしなくてもいい理由(1)保有期間が長いから
まず、実需で買う場合、居住期間は長くなりがちである。
マンションを購入すると数年後に子供が生まれることが多い。保育園に入れたら卒園まで子供を転園させたくないと考えるのが普通だろう。
第二子が生まれたり、上の子は小学校に入れたら転校させたくない。とすると10年くらいは住み続ける。
以前、有明の物件で聞いたところ、湾岸タワマンは転売屋も含めた平均保有期間は10年くらいだそうだが、実需層はもっと長いのではないか。
10年くらいは住み続ける前提では、10年後の売価が多少下がったとしても、ローンの残債減少ペースとの見合いで考えればそこまで気にならない。
のらえ本によると、住宅ローンの残債の減少は10年で25%くらい。(前提など詳細は本を買って読んで欲しい)
10年後に25%以上値下がりしなければいいし、25%以上値下がりしても、預金が潤沢で負担できる範囲(数%とか)であれば気にしなくていい。
つまり、短期(5年とか)で住まいのサーフィンをするような人でなければ、資産価値についてはそこまでシビアに考えなくてもいい。
また、そもそも10年後の売却価値なんて、先のことすぎて予想もできない。
10年前にオリンピックやコロナを予想できる人なんていないし、予想しても当たらないから考えても仕方ない。
これから10年でインフレになるかもしれないし、逆に大きな災害がくるかもしれない。
株式投資でも長期投資かは目先の株価の水準とか直近のニュースにそこまでセンシティブにならない。
どうせ長期に積み立てるからあまり関係ない。ボロ株じゃなければ大丈夫程度の考え方である。
そこまで気にしなくてもいい理由(2)次に買う物件も高い(安い)から
また、自宅に評価益があっても、そういう場合は大抵、相場全体が上がっているから、次に買う物件も高い。
買い替え先が同エリア内なら似た動きをしているだろうし、買い替え先が新築なら買い替え組の含み益を吐き出させる価格設定がされるため、更に高い。
したがって、評価益があっても、同時期に売却→購入をする場合、さほど得でもない。
一度賃貸を挟んだり、2戸保有する、再開発エリアをホッピングするなら事情は変わってくるが、普通は面倒だからそんなことしないだろう。
また、自宅に評価損があっても、次に買う物件が安ければさほど問題にならない。
つまり、自物件だけが大きく減価するようなことがなければ、そんなに気にしなくていい。
結論
資産価値は大切だけど、実需層にとって、そこまで気にしなくてもいい。
郊外の戸建てのように減価率が激しいものや、築年数の極端に古い物件を買おうというならともかく、共働き子育てを行うために、通勤利便性の高いエリアで、新築や築浅のタワマンや大規模マンションを買う場合はそんなに経年減価しない。
よって、資産価値を追求して、駅近の狭めの北向き2LDK(転売屋価値が高い物件の例)を買うよりも、家族の使用価値を追求して駅から多少離れても広々した南向きの3LDK(同様に、例)を買った方が、統計的に値上がり率が低くても、居住する長い期間の満足が得られるから良いと思う。
程度の問題ではあるけど、そこまで資産価値追求マンになる必要はない。最低限のポイント(エリア、規模など)を押さえておけばいいだろう。
それよりも、自分の実現したい暮らしを想像して、必要な間取りや設備(LDKの広さ、ディスポーザーの要否などなど)を見極める方が良いと考える。
追記
よく、売り時買い時みたいな議論があり、マンション価格が高い今はどう考えても買い時ではないということになる。
ただし、この記事のとおり、1戸しか持たない人であれば、価格上昇すると住み替え先も高くなり、価格下落すると住み替え先も安くなるため、あまり気にしなくていいと思う。よく言われる「買いたい時が買い時」というのはあながち間違ってはいない。もちろん、無理なく買える支払能力があることが前提だが。