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マンション、投資ネタブログ

実需と投資と半住半投のマンション購入

マンション購入について考えてきて、結局、購入形態は以下のようになるのではないかと考えている。

 

実需、投資、半住半投の定義

 

・実需

自分で住む。自分の収入から住宅ローンを完済する前提。購入時は売却時期未定。ローン完済後も売却しない。

 

・投資

自分で住まない。新築引き渡し即時転売、中古をリフォームして転売、オーナーチェンジで買って入居者が出て行ったら転売など。

 

・半住半投(沖式転売屋)

自分で住むが5年から10年して転売。新築優遇制度を受け切ったところで大規模修繕前に売却。後のことは知らん。

 

※賃貸運用もありえるが、区分マンションの場合、賃貸に出しても利回りが低すぎて儲からないので何年か賃貸で繋いで税率が安くなったり、3000万円控除が使えるようになったタイミングで売却する人が多いと思料。

 

 

それぞれが重視するもの

実需であれば、使用価値とキャッシュフローを最も重視する。南向き、良い眺望、広い間取り(100平米以上)などである。また、リフォームもたくさん行う。リフォームはQOLに直結するが転売価格には繋がらない。でも売らないから関係ない。駅距離よりも環境(小学校近いとか)重視。使用価値重視。

 

投資であれば、リターンを最も重視する。最も利益の取れる購入をする。自分で住まないから悪い環境(前建てあり)でも低仕様でも知ったこっちゃない。新築であれば、タワマン、北向き、低層、2LDKに限る。でかい部屋は売りづらい。南向きは価格が盛られてて利益が取れない。資産価値(正確には資産価値ではなく差益)重視。

 

半住半投は中間だが、欲が出て投資側面が前に出過ぎている人が多いように感じる。「使用価値が高いけどリターンが劣る住戸」と「使用価値が低いけどリターンが高い住戸」があった時、後者を選んで我慢することに躊躇がない。保育園や小学校途中の引っ越しも余裕。お金のかかる水回りリフォームが快適なのは知ってるが、売却価格に繋がらないからしない。極力お金をかけない。

 

このようにして見ると、投資目的というのは明らかに考え方が異なる。自分で住まないから。別にマンション転売じゃなくても良いのだが、銀行の金を使って、お手軽に儲かるからマンションでやっているというだけ。株でも仮想通貨でもなんでもいいんだろう。では、実需と半住半投では何が違うのか?

 

 

実需と半住半投の違い(子育て環境に対する考え方)

実需の場合、使用価値を最も重視するため、マンションの性能以前に、どのように生活できるのか、保育園に入れるかや小学校へのアクセスが非常に重要なファクターになるが、パークタワー勝どきのブロガーマンションレビューでもこのことに触れる人は少なく(というかいない)、半住半投や投資目線なのであろう。半住でも、実際に住むのだが。。

 

 

実需と半住半投の違い(予算に対する考え方)

実需の場合、売却時期は未定であり何もなければ完済前提である。この場合、キャッシュフロー表を作成して、支払いが苦しくなる時期(教育費がもりもりかかる時期)や、一時的な減収(出産や病気など)を加味しながら予算を決定する。住宅ローンが年収10倍なんてとんでもない。5倍でも多いくらい。頭金も多めに入れてキャッシュフローが無理ないようにする必要がある。共働きでも1人分の収入で返済可能にする。したがって、予算は控えめになる。

 

半住半投の場合、売るまでの期間の支払いが回りさえすれば良い。年収1000万円で1億円の住宅ローンを組んでも、5年のキャッシュフローが回れば良い。5年間の返済が1500万円くらいなのでその程度の貯金があれば1億円のローンを組んでも全く問題ない。収入から支払いを全て賄う必要がないからである。教育費や一時的な減収も考えなくて良い。したがって、予算は実需層に比べて高めになる。

 

 

実需と半住半投の違い(マンション管理に対する考え方)

半住半投の場合、数年で売却するのだから管理に対して関心はない。管理を頑張っても資産価値には反映されない。修繕積立金の値上げは利回りが落ちて売却価格が下がるので絶対反対。沖本を読めばわかるが、「修繕積立金が値上がりする前に売り抜けよう。大規模修繕に付き合う奴は情報弱者。」と買いてある。これ、自分がそう思っているのは勝手だが、無責任で恥知らずな行為と感じる。ただし、現在の新築優遇税制がこうした行為を経済合理的にしてしまっている。

 

 

新築価格が高騰している要因

賃金が増えない中でマンションの価格は高騰しているが、これはテクニック的なところが大きい。「共働きによって借り入れられる額が増えた」「低金利によって同じ支払いで借り入れられる額が増えた」ことが主な要因として指摘されているが、もう一つ「投資や半住半投で買う人が増えて、予算が増えた」ということもあるのだろうと考えている。

 

実際、投資家が多くなる3Aなどのエリアでは価格上昇が激しい。希少であるため3LDKや100平米でも値上がりすることが多い。ばかばかしくなる低い利回り(借りた方がマシ)だが、キャピタルゲインが得られるなら利回り低くても買いたい投資家が集まっているのであろう。

 

湾岸は投資家はそこまで多くないが、これは都心と違って3LDKや100平米など金額が大きな部屋があまり儲からないからであろう。2LDKの北向きとかで歪みがある住戸が投資家に人気だが、3LDKや100平米などの部屋は儲からないので居住前提で買われていることが多いと感じる。(ソースないけど、市場を見ている限り多分そう。)

 

 

実需にとって投資や半住半投は迷惑な存在

ここまで見ていけばわかるように、投資家や転売屋は実需層にとっては迷惑な存在である。まず、短期売却前提なので予算が大きく、デベロッパが投資目線で売れるギリギリの価格に釣り上げるので実需の手の届かない価格になってしまう。管理についても、投資や半住半投の居住者が多いマンションは利益相反が起こるためまとまりづらい。連絡がつかなかったり、無関心だったり。

 

他の例で考えてみるとわかりやすい。ニンテンドースイッチは転売屋が買い占めるものだから、実需である子供達(というか親)が定価で買えなくなってしまい、割高な転売価格で買うか、抽選に並ぶしか無くなってしまった。迷惑な話である。

 

メーカーや量販店は転売が増えるとブランドイメージを毀損するので、あらゆる手で転売を制限しようと努力している。一方で、マンションの場合は投資や半住半投もあってよろしいという考え方であるため、買ってくれれば属性は問わない。デベロッパーも長期的な建物の管理やコミュニティの形成なんかに興味ないんだろう。売れれば良いし、転売してくれた方が次を買ってくれる。

 

しかし、実需の人たちから見れば投資家はもとより、数年で新築マンションを点々としている人は地域に貢献しないし、子供のお友達になってもすぐに引っ越して行ってしまう。半住半投が多いエリアが歴史を作って、子供が地域に愛着を持って、成熟していくのか心配である。新築供給が終わったらオワコンにならないか?

 

 

新築優遇のクソ制度たち

何度も書いて来ているが、日本の住宅の新築優遇制度はクソであると思う。住宅ローン減税、固定資産税の当初減免、フラット35の当初金利優遇、デベロッパー保証、修繕積立金の段階値上げ方式。などなど。

 

新築優遇の諸制度は業界がロビー活動で勝ち取ってきた供給者都合のものであると感じる。しかも、寡占市場の中では、優遇策で購買力が増えれば、そのままデベロッパーは値上げして懐に入れるので意義はないと思う。競争が機能しない市場においては、デベロッパーに税金で補助金を出しているのと同じである。

 

 

実需優遇か投資規制か

実需を優遇するか(転売を規制するか)どうかは政府や自治体がどのような方向を目指したいかによるが、放っておくとデベロッパーは自社利益の追求のために合理的な行動をとる。ある地域では土地が切り刻まれて狭小住宅が量産され、ある地域では投資家向けに希少住戸が実需に買えない価格で供給される。そして、沖式転売屋のように無責任、無関心な住人が増える。

 

ワンルーム規制や容積率など、街としての魅力を保つ規制があるが、野放しにしていると長期的に建物の維持管理も怪しくなり、街の魅力も落ちる。韓国では不動産投資で住宅の価格が上がりすぎて、投資購入(2戸以上の所有)に超絶重税をかけるというが、放っておくとこうなる。

 

本来はデベロッパー側がブランドを守るために自主規制して欲しいところ(実需を優先して、売れ残ったのを投資家に売るとか、転売期間制限を設けるとか)だが、投資家がごった返しているマンション(北仲とか)で、引き渡した瞬間50戸が売りに出たり賃貸に出てもなんとも思ってないようなので、政府による介入が必要なんじゃないかと感じる。

 

ここまで書いてきたように、投資や半住半投前提が増えると、予算が増えるのでデベロッパーは値上げして、マンションは実需では買えない価格になる。これが新築優遇のクソ制度たちと寡占市場でさらに加速している。スガノミクスで携帯電話を数千円値下げしてる場合ではない。共働き化の中で結婚や出産を後押ししたいのであれば、都市部で働いていて、実家の支援のない共働き家庭が実需でマンションを買えて、子育てできるようにするべきではないか。さもなければ、強烈な投資規制を入れるか金融引き締めに追い込まれる。

 

最後に

マンションを買おうという方で、ぼくのブログを読んでいる方は自分がどの目的でマンションを買うのか考えて欲しい。実需であれば、半住半住前提のマンションクラスタの言説、沖本、のらえ本の記述を鵜呑みにしてはいけない。前提によって、予算も物件選びも全く変わってくるのである。