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マンション、投資ネタブログ

築50年のマンションって出口あるの?

Twitterで、築50年のマンションの出口あるの?というテーマがちょっとした話題になっていた。

 

近年、新築や築浅マンションが高騰しすぎたため、築古リノベーション物件を選択する人も増えていると思う。

 

私の友人も何人かそうした物件を買っていた。服飾系のちょっと意識高い系の人とかそいういう感じ。

こうした物件は転売することはなく住み続けることが前提になるが、そこで気になるのが、「マンションの終期ってどうなるの?」ということである。

 

 

 

築古マンションの3つの選択肢

 

築古マンションの出口について、選択肢は3つである。

 

・建物を壊して、土地として売却する。(再開発など)

・建物を壊して、建て替える。

・建物は壊さずに、工事を施す、設備を更新するなどして建物を延命させる。

 

マンションの建替えについて、賢者たちの意見をまとめると、以下のような感じであった。

 

・マンションは築40年くらいになると建替えの話が検討される。

容積率にゆとりがあれば、建替えは可能(建て替えの事例も増えてきているが、ほぼ東京)

・建替えは不可能ではないが難しい。住民も高齢化しており、持ち出しが生じると合意形成が難しい。

・合意形成できた場合でも建て替え完了までは5年〜10年といったレベルで時間がかかる。

 

つまり、建替えの可能性はあるものの、マンション全体で見れば建替え以外の選択肢が取られる場合の方が多いと考えるべきだろう。

 

 

タワーマンションの建替え

 

 

容積率を使い切っているタワーマンションの場合、建て替えると住民の持ち出しが大きくなるので、住民の合意形成は実質不可能である。

 

つまり、出口の選択肢が「取り壊す」か「延命させる」しかなくなる。取り壊すにしても、住む場所を失う人が出るので住民の合意形成は極めて難しい。

となると、消極的な選択として「延命させる」ということが多いだろう。

 

実際、管理組合が「極力安価に設備を維持する」ことだけに注力しているマンションも多い。

ただし、どんなに延命してもいずれ寿命はくる。設備の更新費用が巨額になれば、負担できずに管理不全に陥る恐れもある。

 

「建替えもされず、取壊しもされない多くのマンションを管理不全にしないこと」は日本全体の課題であるが、まだ明確な打ち手はできていないように見える。これは、基本的には所有者の責任において対応すべきものだが、住民の高齢化で適切な管理ができなくなれば、廃墟化して行政負担が増えてしまう。

 

政策(税金や助成金を使ったアメムチや合意形成のハードルを下げるなど)やイノベーション(建て替えずに設備を更新して寿命をのばす)で、対応がなされる可能性はあるが、今のところタワーマンションの出口は不明確である。まぁなんとかなるような気もするし、どうにもならない気もする。

 

 

定期借地権マンション

 

現時点で、タワーマンションの出口について明確にイメージを持てるのが、「定期借地権マンション」である。

定期借地権マンションは、建物を取り壊して土地を返却することを約束した上で購入するマンションである。

 

最近では、パークコート渋谷など、一等地に定期借地権マンションが作られ、70年の借地期間が設定されることが多い。

価格は、所有権マンションに比べて1割〜2割程度安いが、購入者は地代や解体工事の積立金を負担する必要がある。

 

借地期間の延長はできないので、住民が希望しようとしまいと、期限が到来したら建物を取り壊して土地を返却しなければならない。

 

個人的には、これは建物の管理問題や都市計画を考えると、良いパッケージであると思う。

というより、建て替えや取り壊しができない、全ての大規模マンションやタワーマンションは原則として、定期借地権にすべきだと思う。

 

所有権のタワーマンションの建替え、取壊し、延命について、住民間で合意形成するのは大変(というか実質不可能)である。

住民が高齢化して持ち出しが不可能な人もいるだろうし、築古リノベーション物件として取得したばかりの若者もいる。

将来、住民間で不毛な議論が生じないように、最初から終期について定めて、合意の上で取得してもらうということだ。

 

ただ、定期借地権マンションも管理問題がないわけではない。

・70年もきちんと維持管理されるのか?例えば50年で管理不全に陥ったら、その後20年どうするのか?

・借地の期限に近づくほど、管理がテキトーになって居住性能が劣化しないか?

・借地期間満了時には、本当に計画どおり全ての住民が出ていくのか?

・定期借地権マンションにきちんと融資がつくのか?

などなど

 

定期借地権マンションは、理論上は良さそうだが、実際に終了させた事例がないので、事例はこれから。

所有権マンションは、管理不全になったものもあるし、延命しているものもあるし、取り壊したものもあるし、建て替えたものもある。

 

つまり、現状は、出口が不透明なタワーマンションと、出口は明確だが本当に実現できるか不透明な定期借地権タワーマンションということだ。