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JUST KEEP BUYINGを日本に当てはめたらどうなるか

JUST KEEP BUYINGという本がTwitterで話題になっていたのでポチった。

 

米国におけるパーソナルファイナンスに関して、過去のデータから、再現性があり真似しやすい資産形成、取り崩し戦略を説明する本である。

その中から要点と日本に当てはめた場合どうなるのかを書いていきたい。

 

JUST KEEP BUYINGの要点(ぼくの理解)

(労働収入を増やしつつ貯蓄を形成)

・若く(20−30歳くらい)で貯蓄が小さい頃は、投資よりも労働収入増加に注力

・一定の貯蓄がないと話にならないが、溜め込みすぎも良くないので計画的に(昇給の一定率を貯蓄とか)

 

(労働収入を資産収入に置換する)

・長期的に価値が上がっている資産(株式インデックスなど)を定期的に買い続ける

・手元にまとまったお金がある場合、時期分散せず一括投資した方が有利になる

・一度買ったら取り崩すまでは基本的には売らない

 

(借金をする)

流動性をあげる、良い借金をする

 

(家を買う)

・買うか買わないかではない。買った方が有利なのは間違いなくいつ買うか(注、アメリカでは住宅価格は上がり続ける)

・頭金をたくさん入れなくてもいいが、手元現金はある方がいい

 

(運の要素)

・過去のデータに基づいて投資をしても、長期的に報われないこともあるが、勝率は高い

 

(メンタル面を重視する)

・投資や借金が不安な場合はリスク許容度を超えているので無理しないべし

・お金を使ったら同額の投資や寄付をして消費の罪悪感を減らすべし

・どれだけ収入があっても相対的に貧しく感じるものであることを理解すべしみ

・完全なリタイヤはメンタルに悪いことが多い

 

日本に当てはめたらどうなるか

一般的な内容(資産形成より収入アップが先など)は、日本においても当てはまるが、いくつか注意が必要であると思う。

 

(日本の特異な転職市場)

・日本は人材の流動性が低く、全体として見ると転職で処遇が落ちるということが多いが、第二新卒非管理職の職種別中途採用など、20代、30代前半くらいの人材ニーズが高いため、若いと有利な条件で転職できることが多い。

・日本においては職種よりも会社で処遇が決まるので、処遇が低い会社にいても報われない。報われるところに移動しなければならない。若く有利なうちに、留学や駐在を狙うのと並行して有利な条件で転職することを目指していくのが合理的。

・この動きは、基本的にはアメリカと同じ。ただ、日本では処遇改善のためにどんどん転職する人は少ないので、こうした意向がある人は競争が少なくて有利とも言える。(一方で、日本は給与がそもそも低い、求人が少ないなどの問題はあり)

 

(日本の特異な株式インデックス)

・世界の株式市場では基本的に常に常に最高値を更新していく。資本主義社会ではGDPが常に過去最高値を更新するものだからだろう。

・一方で、日本は経済政策を誤ったことや、日本企業も戦略を誤ったことから、日本の株式インデックスは過去最高値をいまだに更新できていない。

・日本の上場時価総額は過去最高を超えているが、インデックスがうまく反映できていないので、インデックスファンドを買ってもアメリカや諸外国のようにはなってない。

・過去の実績を見たら、長期的に買い続けるなら、SP500やMSCIコクサイやオルカンが妥当ということになってしまう。最も、アベノミクス以降は日本株も良いが、再現性という観点では不安が残る。

日本株を買う場合、安定的な配当や個人投資家優遇の優待を狙うか、短期取引や中期取引でテーマ株や割安株をとりに行くとか、自分が働いている業界や業務を通じて知った詳しい業界知識、情報で超過リターンをとるみたいな戦略になる。これはこれで有効だが、JUST KEEP BUYINGで主張されている内容には合わない。やりたい人がやれば良い。

 

(日本の特異な住宅ローン)

・日本では超低金利な上、頭金が必要ない特異な住宅ローンが一般化している。これは、有利なので極力住宅ローンを最大活用するのが資産形成の上、重要となる。

・例えば、資金繰りで考えたときに手元に1000万円あったら、それは一部を貯蓄・一部を運用しつつ、1000万円分余計にローンを組んだほうが良いであろう。

・極力、長期にわたって恩恵を受けた方が有利になるので、購入できる経済状況になったら速攻で買うのがローンの活用という点では良いことになる。

・また、低利な借金は金額が大きいほど恩恵が大きいので、ペアローンなど活用して借り入れられるだけ借りた方が良いということになる。

・もちろん、何を買うのかが重要で、価値が下がるものを買ったらせっかく低利で借りても仕方ないが。ケチって価値が低いものを買うよりは、高くても価値があるものを買って問題ないということ。

 

(日本の特異な住宅価格)

・日本の住宅市場はバブル期の高値を更新できておらず、日本の株式と同じく、世界的にみて特異な状態にある。

・米国では住宅価格は常に最高値を更新するものだが、日本ではそうではない。

アベノミクス前までは、住宅は新築時価格から経年減価していくものだったし、今でも戸建ては結構なペースで減価する。

・今後、日本の住宅も諸外国並みに上がる可能性はあるが、過去にはなっていないので、JUST  KEEP  BUYING的に考えたら、積極的に買いたいものではない。

・日本で住宅を買う場合、長期的に値上がりする(または値下がりしない、経年後も価値を保持する)少数の物件を買うべしということになってしまう。

・つまり、希少立地、大規模、100平米以上など、長期的に値上がりしていく物件を住宅ローンMAX活用で買うべしということで、郊外物件や戸建てを買いたい場合は、減価と賃貸を比較するとか、コストが低い分、しっかりと運用をすることが必要になってくる。

 

(メンタル面は大事)

・JUST KEEP BUYINGにおいても経済的合理性だけではなくメンタル面の重要性が説かれている。

株式投資はついつい短期でやりたくなるものだし、実際に株を持つとメンタルが影響を受けるので、若いうちから自分に適した運用方法を試してみた方が良いというのがぼくの意見。

・住宅も、いくつか見て知識を蓄えつつ、自分に必要な要件を決めておかなければ買えないので、素振りが大事。

・真似しやすく再現性がある正しい戦略、適切なメンタル管理、適切な知識があれば、まぁ大体は成功すると思う。

・運の要素はあるが、投資せず現金を溜め込み、賃貸で過ごすよりは、住宅ローンを活用してインデックス積み上げる方が経済的に有利になると思われる。

・ただし、借金や投資がメンタル的に不安という人はQOLを悪化させてまでやる必要はない。

 

まとめ

・日本においてもJUST KEEP BUYING的な考え方は有効、むしろ住宅ローンが頭金不要で低利な分、ハードルが低いとも言える。

・基本的な動きとしては、「労働収入を増やしつつ、一定の貯蓄や支払い余力を形成する」→「住宅ローンを最大活用し、(高くても)長期的に価値が上がる住宅を買う」→「住宅ローンの頭金を入れず流動性を確保しつつ、長期的に価値が上がるインデックスを買い続ける、途中で売らない」となる。

・ライフステージ変化によって住み替えるので、長期的にといっても10年後くらいに価値が上がる(または安定して下がらない)ことが期待される物件(=駅近大規模物件や再開発が予定されるエリアの物件)を買うのが真似しやすい戦術かと思われる。

・戸建てに住む場合は、管理費等や駐車場代がない分、キャッシュフローが浮くので、しっかり投資をしておくことで減価をカバーできると思う。また、経済的に損してもQOLが高められる(公園隣接の良い環境、家の中で飛び回れるとか、すぐ車に乗れるとか、トイレ2つとか)なら、それはそれで有意義なお金の使い方であるので、何を優先したいのかはよく考える必要がある。