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マンション、投資ネタブログ

世帯年収XXX万円でXXXX万円の物件を買うのはあり?なし?

ぼくの質問箱にいただく質問には、「30歳、世帯年収1000万円で、7000万円の物件を買うのはありですか?」という感じの質問が多い。付加情報として、勤務地、年齢、共働きか否か、子供の有無、昇給見込みなどを書く方もいる。

 

年収と購入するマンション価格には相関関係があるだろう(年収が高ければ購入価格も高いだろう)が、住居にお金をかけずに他のことにかけたい人もいるだろうから、単一の正解というものはない。

 

可処分所得の中でどの程度を住宅に使うのかはあなたのライフスタイル次第です。年収と価格だけではなく子供や親の状況など様々な要因が関係します。」という事だが、そんな事は質問者の聞きたいことではなく、「マンション価格が高騰する中で、70平米買ったら8000万円とかになる。周りにそんな高額のマンションを買った人もいなくて相談できない。ただ、銀行の審査は通ってしまった。マンション価格高騰維持を唱える評論家は業者の回し者っぽくて信頼できない。本当に大丈夫だろうか?」と不安を抱えてらっしゃるんだと思うので、参考として幾つかのデータを示しながら、年収と購入物件の関係を考えていきたい。

 

 

購入できる物件の上限価格

 

住宅ローンを使ってマンションを購入する場合、予算の上限は、「頭金+最大借入可能額」となる。

頭金はあなたの預金なり有価証券なりの蓄えと親からの贈与である。

最大借入可能額は基本的には過去の年収と年齢から決まる。(他に債務がない前提)

 

実際には、借りられる金額と返せる金額は違うが、まず、最大でいくらまで借りられるのかは把握しておくと良い。

楽天銀行のシミュレーターによると、以下のとおり。(金利選択型ローン、35年返済、元利金等)

 

世帯年収500万円:4713万円

世帯年収800万円:7540万円

世帯年収1000万円:9246万円

 

上限としては更に高い金額が出る銀行もあるが、まぁこの程度だと思っておけば良いと思う。年収倍率で9倍強程度。

金利が低いため、上限の年収負担率で、以前より多くの借入が可能になっている。

 

住宅ローンの上限は1億円であることが多いが、ペアローンならさらに行けるので、湾岸でよく見る共働き世帯年収1500万円なら1.5億円まで借りられそうだ。

なお、住宅ローンの年収とは世帯年収で見るべきか、返済をする個人の年収で見るべきかという事だが、家計全体を夫婦の合計収入で回しているなら、世帯年収で見て良いと思う。一方で、短期的に夫や妻が無収入になる(留学するとか専業主婦になるとか)予定があれば個人年収で見るべきだろう。

 

なお、物件価格とは諸費用も含めた総額で見ると良いと思う。諸費用は払わなければならないものなので。

 

 

返済比率

 

借りられる上限は分かったが、次に、返せるのか?という確認をするために返済比率に着目する。収入の何%をローン返済に当てるのか?という事である。

昔は、「若い頃は返済比率は30%程度に抑えて家を買えば、年齢上昇とともに収入が増加して20%以下になって余裕がでてくる」という説があったそうだ。

 

返済比率とは年収(税引き前、額面)に対しての返済額の割合なので、20%と言っても手取りベースではもっと高くなってしまう。また、賞与を含む年収に対する比率なので月収に対する比率はさらに高くなる。それでも、20%くらいなら大丈夫っしょという相場である。

 

年収1000万円のケースで見ていくとこうなる。

 

・返済比率20% → 月返済16.6万円程度 → 借入額5000万円程度

・返済比率30% → 月返済25万円程度 → 借入額7500万円程度

楽天銀行の借入可能上限9246万円 → 月返済28万円程度、返済比率は33.6%(40%上限の銀行もあるそうだが・・・)

 

外部サイトによると、年収1000万円の手取り収入(社会保険料及び所得税、住民税控除後)は722万円程度とのことである。

賞与を月収にならして、月の手取りが60万円とすると、返済比率20%は手取りベースでは27.6%であり、返済比率30%は手取りベースでは41.6%である。

 

残りの収入で、残りの住宅費(管理費等、税金)、水道光熱費、携帯やネット代、生活費、教育費、旅費、交際費等を支出できるか、また、貯蓄が形成できるか考えてみて欲しい。生活費の水準は家庭によって違うだろう。車を持つのか?海外旅行に行くのか?

 

ここで、住宅費はいくらぐらいなら余裕が持てるのでその範囲で借り入れようと考えるのが自然である。その相場が返済比率20%程度ということだ。

 

良く、住宅ローンの年収倍率というデータが公表されているが、年収が個人の年収であり世帯年収ではないようで、あまり意味がない。

 

なお、返済比率20%ということは、年収倍率は7倍であり、返済比率30%ということは、年収倍率は10.5倍である。

 

 

収入の増減の考慮

 

収入の増減をどのように計算に考慮すれば良いだろうか?

 

短期的に出産や退職が見込まれる場合、年次昇格が見込まれる場合は考慮すべきである。

一方で、5年先、10年先となってくると不確実であるので考えても仕方ない。

 

育休や産休をとっても、給付金だの社会保険料の免除などがあって、手取り収入があまり減らないようになっている(賞与は減る)ので、

復職予定であれば一時的な収入減少を耐えられる貯蓄があれば良い。退職してしまうと影響が大きいが。ま、いざとなったら物件を売ればいい。

 

数年以内に見えている収入の増減は反映するものの、返済比率が上限ギリギリな場合を除き、そこまで保守的に計算しなくてもいいと思う。

 

 

子供の有無の考慮

 

子供ができると生活費は増えるが、実は未就学児時代はそれほどでもない。保育料は安くなったし、教育費もかからない。(小学校受験したり、インターにいかせたら別だが)

子供が1人いて、あと何人か欲しいといった場合に予算を抑えるべきかということについて、個人的にはあまり考慮する必要はないと思う。むしろ広い家が必要になるので、そちらを考えたがほうがいいかもしれない。

 

もちろん、将来的には生活費は大きく増えることが見込まれるので、FPにキャッシュフロー表を作ってもらうなどして、長期的な家計の状況を見える化しておくと良いと思う。予定どおりにはならないが、見える化されると安心するものだ。

 

ぼくの場合、スーモの無料FP相談を利用させてもらって、キャッシュフロー表を作ってもらった。「全然余裕ですね」という結果だった。なお、ぼくの場合、今回の記事のようなことをいろいろ考えておらず、たまたま買った物件が自分の貯蓄や支払い能力に対して余裕があったというだけ。正直なところ、全然、ちゃんと考えてなかった。

 

 

年齢の考慮

 

年齢は重要なファクターである。35年ローンを利用できなくなり、月返済額が大きくなるためである。

一般的に、45歳を超えると35年ローンが組めなくなるそうだ。(80歳での完済が上限)

 

ただし、基本的に住宅ローンは60歳までに完済する計画で考えると良いと思う。普通は60歳で収入が大きく落ちるし、退職金をローン返済のあてにするのは良くない。退職金は老後の生活保障という役割があるため、住宅に全て使うようでは心配。再雇用時の収入は年金と合わせてギリギリ生活が維持(現役時代の収入の6割程度になる)できるように設定されていることが多いので、あまり当てにならない。

 

はるぶー先生によると、(退職年齢ー現在の年齢)×年収×20%で予算を考えるのが合理的ということであった。これは年収が退職時まで維持できることを前提に、退職金をローン返済に用いず、収入の中から無理のない範囲で(=年収負担率20%で)返済できる最大額にすべしという考え方であると理解した。

 

例えば、35歳で年収1000万円の人は、25年×1000万円×20%=5000万円ということ。加齢とともに予算が減っていくので、若いうちにローンを組んだ方が予算が増えていいぞ(収入が激増しない限りは)ということ。

 

 

貯蓄や贈与の重要性

 

今まで収入(フロー)と物件価格についてみて来たが、貯蓄や贈与(ストック)も重要である。頭金に入れて予算を膨らませることもできるし、手元流動性を確保することもできる。

 

手元流動性については、生活費の6ヶ月分とか12カ月分を確保することで、働けなくなった時に物件を売却するまでに余裕を持つことができる。

贈与は受けられるなら受けたほうがいいし、マンションを買うならいざというときの予備費くらいの貯蓄は頑張ったほうがいい。

予備費のない状態でギリギリのローンを組む(貯金ができずにギリギリ生活が回るくらいのローン)のは簡単な収入減少ですぐに支払い不能に陥るのでやめたほうがいいと思う。頭金がなくてもマンションは買えるが、貯金がなくても良いという意味ではない。

 

 

短期売却の場合

 

ペアローンで住宅ローン減税を最大にとり、各種優遇措置が切れてから転売する場合は無理めなローンでもいいか?

 

支払い不能に陥らない範囲で自己責任で好きにすればいいと思うが、何年か住んでから転売しようと思ったけど現居に生活が最適化(学校、習い事、友人関係等)されてしまい、転居できなくなる(転居により大きくQOLが下がる)こともあるので、あんま無理しないほうがいいんちゃう?という感想。

 

 

売買益の考慮

 

マンションを10年くらいで売却する場合、売却益によって住宅費が安くなることがある。価格が下がりづらいタワマンなら下がりやすい物件に比べて予算を膨らませても大丈夫だという考え方がある。これについて、昨今の高値で新築マンションを掴んだら、タワマンでも普通に減価するだろうから、あまりこうした要因を考慮して予算を膨らませても仕方ないと思う。転売屋でもなければ、自宅購入は貯蓄(頭金、貯蓄)と収入(支払い能力)とライフスタイル(生活費)から順当に予算を考えていくべきだろう。

 

 

まとめ

 

予算は貯蓄、年収、ライフスタイルから考えていくべきであり、物件ありきだと逆になってしまう。

 

とはいえ、昨今のマンション高騰だと、例えば8000万円くらいないと70平米が買えないし、みんな多額のローンを組んで買ってるし、ずっと価格が上がってきたから大丈夫な気がするという人が多いだろうが、冷静に返済比率やライフスタイルを確認して欲しい。

 

本来は予算を計算してから物件を見に行くのが正しいが、実際には物件を見てから、「これ買って大丈夫かな?」という方が多いのではないか?その場合は、自分の適正予算がいくらなのか、この記事を活用して計算してみて欲しい。

 

いざというときの余剰資金を手元に残しつつ、頭金を含めて無理のない返済額でローンを組むべきであって、返済比率が高すぎるとか手元に全くお金が残らないということであれば、買うべきではない。

 

マンション価格がどんどん上がっていっているので、「バスに乗り遅れるな」「いま買わないと買えなくなる」と焦る人もいるだろうが、それはご縁がなかったということだと理解したほうがいい。収入や貯蓄が万全の状況になってから買うか、予算内で買える物件に妥協するべきである。

 

もちろん、無理目なローンで突撃するのも自由だが、短期売却を念頭においたギャンブルであるから、そういうのが嫌な人はそうした行動をとるべきではない。