イーモビリティパワーの充電網だが、致命的な問題は以下3つに集約される。
・充電速度が遅い(50kW以下)うえに30分制限があり、必要な量の充電ができない(=パワーが弱すぎる)
・一箇所あたりの基数が少ない(1、2基)ため、充電待ちが発生しやすい(=一箇所あたりの基数が少なすぎる)
・認証問題、相性問題、充電放置問題、故障放置問題などで利用できないことがある(=信頼性が低い)
これら3つに共通するのは、「必要な時に必要な電力量の充電ができるか不明で、頼りにならない」ということである。
一方で、世界最高クラスの充電インフラと評価されるテスラスーパーチャージャーは全く異なり、頼りになる。
その理由は、
・充電速度が速く(大半は150kWから240kW)、時間制限なし
・一箇所あたりに4基以上設置
・故障しても速攻で修理され、充電放置は高額課金のため放置がない、認証不要で挿すだけで充電開始
だからである。
スーパーチャージャーは全てテスラが設置し、メンテナンスしている。
チャデモが小規模事業者の連合体であるのに対して、スーパーチャージャーは車のメーカーが運営しているネットワークなわけである。
正確にはチャデモはイーモビリティパワーが管理するものとしないものがあり、イーモビリティパワーが管理するものはネットワークと呼べるが、これもイーモビリティパワーの意志に反して設置者の都合が優先される。金を出してるからである。
このため、せっかく充電網なのに認証や料金やハードがバラバラになって統一感がない。
これにより諸問題が発生している。不便な場所に非力かつ30分制限のある充電器が一基だけ設置され、認証の問題も多く、故障したらなかなか復旧せず、充電放置車両も多い。
さて、残念な気持ちになったが、ある意味で問題点とその理由は明確化されており、復活プランを考えてみたい。
1、リストラ、集中配置
まず、補助金で設置されたニーズのない場所の充電器は全て廃止する。残したければそこそこ高出力の普通充電に置き換える。
急速充電器は採算が取れる少数の場所だけに設置場所を厳選する。一箇所に4基以上設置する。
ついてこれない設置者とは契約更新しないで充電網から外す。
現実的には力関係で無理かもしれないが、
時代遅れで稼働の低い充電器のリストラと集中配置は絶対に必要。充電器は設置しやすい場所(供給者都合)ではなく、ニーズのある場所(利用者都合)に設置しなければならない。
2、ハイパワー化
50kW以下の充電器は全て廃止して高出力の普通充電器に置き換える。
高速道路上の充電器は150kw以上、一般道は90kWを下限にする。
高速道路上はハイエンドの充電器だけを集中配備する。
3、30分制限を廃止し料金を値上げ
急速な充電器ほど料金を高く設定する。現在の倍から3倍程度に設定。
混雑している充電場所での充電放置は高額な罰金とする。
高速道路上の充電器は高額でも使用されるので料金を高くするなど、料金を適正化。
4、ハードを統一
認証問題やメンテの手間を削減するため充電器のハードは統一する。
認証はナンバープレートを画像認識。充電終了後の放置も課金。
故障時間は最小化するよう中央監視して駆けつける。
だいたいこんな感じで、充電ネットワークとしての品質を高めて、ユーザー起点でサービスを作り直す。そのかわり料金も上げる。
電気料金ガーとか、既存の契約ガーとか難しい理由はいくらでもあるが、これをやらなければいつまでも、チャデモは「たまたま使えたらラッキー」程度の、頼りにならない充電器のままであり、「充電インフラが問題だからテスラ以外は買えない」となってしまう。
また、日本は外車が売れない市場である。少数しか売れないのに日本独自規格のチャデモにわざわざ対応したら、コストを回収できない。ヒョンデが4億円かかかるから無理と言ってたが、海外の良い車が日本に入ってこなくなってしまう。
EV黎明期は、とにかく数や増やすということで、設置しやすい場所に設置したのはわかる。今、EVシフトに乗り遅れないためには、この供給者都合全開のサービスをユーザーを起点にしたものに作り変えなからばならない。