konanタワリーマンブログ

マンション、投資ネタブログ

EVが普及すると住宅はどうなるのか?

日本でもEV化が進むのか?

 

世界中の政府や都市がガソリン車の新車販売を段階的に制限していくと発表しており、脱ガソリン車の流れが世界的に進みそうである。

 

一方で、トヨタ社長が軽いノリで追従しそうな政府や東京都に対して、「カーボンニュートラルの実現は支持するが急速なEV化は課題が多い」「製造工程を加味すると、短期的にはEVはハイブリッド車よりも環境負荷が大きい」「発電能力が不足して原発を10基作らないとピーク時には回らなくなる」「エンジンなどのガソリン車の生産に携わる人の雇用が脅かされる」「発電設備の普及に何十兆円とかかるけど誰が負担するのか」などとマジレス。

 

ファッションで、ESG!、脱炭素!、グリーンイノベーション!と言っていた無責任野郎が沈黙。特に、「原発再稼働してまでEV化を進めるのか?再稼働しないなら燃料の輸入で何兆円と貿易赤字でるけど、それでもやるのか?」と問われたら、「それならハイブリッドでいいです」と多くの国民が考えるのではないか。政権交代するくらいの膨大な政治的リソースを突っ込まないと解消できない問題。

 

自動車市場の大きいアメリカと中国は自国に自動車産業を持っており、現時点ではEVで先行しているため、ハイブリッドカーを規制してEVを推進したいという政治的な思惑が強い。欧州はクリーンディーゼルを進めてきたが自動車メーカーの不正が連発し信頼が失墜しているので、EV化を進めてなかったことにしたい。結局は市場が大きい国が規制の主導権を持っているので、彼らが自国利益のためにガソリン車を規制してEV化を促進する場合、そのエリアで商売をするためには不本意であってもその規制に適応しなければならない。

 

となると、なんだかんだ言って日本でもEV化は進んでいくのではないか。日本固有の原発の問題があるので、完全なEV化ではなくハイブリッドなどとの共存という感じだろうか。EVはクリーンディーゼルのように欧州では主流だが日本では全く流行らないという可能性もあるが、まぁEVは単なる電源の話ではなくて、自動運転やらなんやらの話であるため、日本だけEVが普及しないというのはあまりないのでは。

 

消費者目線では課題が多い

 

国のエネルギー政策など知らん、雇用など知らん、商品と価格しか見ない消費者としてはどうなんだ?ということだが、トヨタハイブリッド車は商品として成熟しており、プリウスの最大航続距離は1200キロ、ハリアーなどのハイブリッド車も1000キロ走る。発車時の燃料消費を抑えることで街乗りでもこの程度走る。こうなると1ヶ月に1回しか給油が不要である。

 

EVの場合、最大航続距離は400キロ(電池劣化を防ぐための80ー90%充電時)程度であり、1ヶ月に何度も充電が必要になる。より航続距離の短いコンパクトEVでは1週間に1回以上充電しないと怖い。特に電池性能が低下する冬。また、充電速度も遅いので、ガソリン車のように1分で満タンにはならない。電池を積みまくれば航続距離を伸ばせるが車重は重くなり、充電にも時間がかかり、価格は高くなる。

 

どのようなシーンならEVがハイブリッドの利便性をこえるかというと、田舎の一軒家で近所で、自宅に充電設備があり、往復数十から100キロ圏内の日帰りのみで乗る場合が想定される。ガソリン車との2台持ちであれば、長距離は航続距離の長いガソリン車、短距離はエネルギーコストの安いEVの併用が可能である。また、田舎の場合、最寄りのガソリンスタンドまで数十キロということもあり得るので、短距離移動用に自宅で充電できるEVはこの意味でも利便性が高い。

 

つまり、消費者目線で見て、現状のエネルギー政策、電池の能力、充電インフラでは利活用シーンはかなり限定されてしまう。工夫して使えば使えないこともないが、意識が高くない大半の人は黙って手間のかからないプリウスにしといた方が幸せになれるだろう。特に、首都圏に多いマンション居住の週末ドライバーの場合、週末に遠出をするために前日に充電に行ったり、道中の充電設備を気にしていなければならず、だるすぎる。

 

EVが普及すると住宅はどうなるのか?

 

政策的にも使い勝手的にも様々な課題があるがそれらが解決され、EVが普及したら戸建てには全て充電器が整備されるだろうが、マンションの場合はどうか。

 

そもそも、タワーパーキングでは車を置いておく場所がないので充電器を設置できる数が限られる。また、EVが増えてくると皆が充電したい時間帯は充電渋滞が発生してしまう。充電能力の向上で、1分でフル充電できる用になれば良いが、30分、60分とかかると集合住宅ではなかなか厳しい。

 

充電設備の整備、維持保守にかかるコストについて、車に乗らない住人の負担になると揉める(1F住民がエレベーター保守費用出しなくない問題と同じ)ため、導入時だけ補助金あるよと言っても、数台分だけ導入して終わりというマンションが多いだろう。維持管理の責任は管理組合にある。

 

集合住宅とEVは相性が悪いので基本的にはEVを持ちたいなら戸建てということだろう。現在は黎明期なので都心でも充電スポットが空いていたり、EV充電区画の駐車場が空いていたりするが、マス消費者が利用するようになってくると都市部では常に混雑する。

 

自動運転機能がさらに高度化され、非接触充電が可能になれば、EVの充電待ち列に車を置いておけば勝手に充電されて駐車場に格納されているという未来もあり得るので、絶望とまではいかないが、集合住宅とEVは難しい組み合わせであり、EVの台数が増えてくると問題が顕在化してくる。

 

「よほど意識が高くない限りは、EVをストレスなく乗りたければ、充電器付きの戸建てにしとけ」ということである。

 

マンションか戸建てかという話では、規格化されておりスケールメリットがあるマンションの方が資産価値や利便性の点で有利だよという話になることが多いが、趣味を充実させるというQOLの観点では戸建て(注文住宅)が最強であるのは言うまでもない。

 

現状、グランドピアノを複数置きたいとか、大きな犬を複数飼いたいとか、家庭で庭園、菜園を作りたいとか、そういう趣味がある方は戸建てを選ぶが、同じようにEVは、戸建てを積極的に選ぶ理由の一つになるのではないか。