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私のマンション購入体験談(中古マンション編(1)新築信仰)

さて、だいぶ間が空いたが、ようやく本題である中古マンション買った話について書こうと思う。

 

そもそもブログを作ったのはこのテーマについて書きたかったためである。経緯をいくつかのポイントにまとめて何回かに分けて書いていこうと思う。

 

なお、私がこう考えて行動したという記事なので、絶対にこれが正解というものではないので、あくまでもケーススタディとして参考にしていただければ。

 

 

さて、最初に中古マンションを検討する上でのハードルとなる新築信仰についてまとめていきたい。

 

日本人は新築信仰と言われるように、歴史的に新築を中心とした住宅市場が形成されてきた。

 

厳しい気候の割に住宅の質が低く、中古流通市場が育たなかったということもあろうし、消費者ニーズが極端だったのかもしれない。

 

不動産市場は先進国では中古市場の方が大きいが、日本では新築市場の方が大きく、新築信仰と呼ばれる。なお、近年のマンション市場は新築が価格高騰であまりにも売れないので、中古市場の方が大きくなった。

 

個人的には、日本人の新築信仰は、女性への処女信仰とか、新入社員への理不尽な処遇とか、大量生産・消費・廃棄などのように、日本特有の偏った文化だと感じる。無意識のうちに、「家を買うなら新築」と刷り込まれている人もいるのではないだろうか。

 

私も実家は新築で戸建てを建てており、無意識にそんな意識が少しあったが、社会人になって寮に住んでいたこともあり、その後も賃貸に住んだが、快適であり、少なくとも賃貸では中古に全く抵抗はなくなった。

 

私の友人で、賃貸でも分譲でも「絶対に新築!」と異常にこだわる人がいるが、個人的にはちょっと偏っていると感じる。

 

昨今、60平米台の3LDK、もっと酷いものだと50平米台の3LDKが増えているが、「絶対に新築!」というニーズに応えるためのものだと思う。

 

普通に考えれば、居住性が低い割に価格が高い新築よりも、広くて多少安い中古の方が良いと思うが、新築じゃないと宗教的に無理という人が一定数いるということだろう。

 

さて、新築マンションのモデルルームを巡っていると、どのマンションでも設備はほとんど同じであることが理解できた。また、多くの場合、オプションをつけないと標準仕様は魅力的ではないことが多い。

 

かといって、新築を買ってオプションをつけまくるのはデフォルトならタダの設備があるなかでもったいない気がする。

 

お金が無限にあればよいが、そうではない場合は、物件購入に予算を重点的に配分しすぎて、気に入らないショボい設備でも我慢して、汚れたり壊れてからリフォームすることになることも多いはずだ。

 

新築は新築プレミアムがあって価格が割高だから、ショボい設備を我慢することになるのかなと考えた。

 

当然ながら、中古マンションの居住性能は新築マンションとほとんど同じである。床暖房、食洗機、ディスポーザーなどの設備は中古でもついている。

 

多少の使用感はあるが、子供がいれば1ヶ月もすれば使用感が出てくるものだ。綺麗なまま使い続けるのはかえって精神衛生上よろしくない。

 

中古マンションは新築マンションよりも価格が安い分、リフォームで新築にはない設備をつければ、居住性能は新築よりも高くなるのではないか。

 

マンションを実用品として考える私としては、このように考えて中古マンションを本格的に検討していくことにした。

 

なお、設備以外の点でも、新築マンションは引き渡しまで時間がかかるが、中古マンションは速やかに引き渡されるため、すぐに住める点も大きなメリットである。

 

引き渡された頃には子供が大きくなっていたでは笑えないし、金銭面でも、家賃が節約できるし、現在の金利に固定できるのもメリットがある。

 

今回、新築信仰という切り口でまとめてみたが、個人的に、まず中古マンションを買おうというマインドセットになるまでに無意識の新築信仰を振り切らなければならないと思うので、まとめてみた。

 

人によっては、信仰心が強く、「それでも新築じゃないとイヤだ」という人もいるだろう。中古マンションは見に行くこともしない人もいる。

 

それはそれで良いと思う。無理して中古に住むと、居住性能は高くとも、精神衛生上よろしくない。夫婦でよく話し合ったり、実物を見に行ったりすると良いと思う。Follow Your Heart.

 

ただ、新築縛りだとエリアや物件がかなり絞られるのは事実で、予算を頑張ったとしても満足する物件選びはかなり難しくなってくる。

 

幸い、我が家は夫婦ともに中古に抵抗はなかったので、中古を検討していくことになる。今考えると、我が家のQOLを高める上で、これはとても良いことだった。

 

 

私のマンション購入体験談(港区港南の保育園事情)

前回まで書いてきたとおり、新築マンションはタイミングが合わなかったり、大規模物件が出なかったり、予算が合わなかったり、保育園がダメだったりして「自分のニーズを満たす物件がない」という結論になってしまった。

 

モデルルーム巡りをしながら、なんとなくこれに気がついたころ、子供の入園申し込みのタイミングになった。ひとまず、今の賃貸に住み続ける前提で保育園を見学に行ったり、情報を集めてみることにした。

 

 

港区港南の保育園事情

 

港区は10年くらい前は待機児童率(人口あたりの待機児童の率)が23区で最悪レベルだったが、関係各位の尽力でどんどん改善してきていたそうだ。賃貸で住み始めた頃はそんなことは全く知らなかった。

 

当時は保育無償化前だったが、港区は「保育料の第二子無料」や「認可保育園と認証保育園の差額助成」などの先進的な取組みを行なっていた。港区が裕福な自治体ということもあるだろうが、これら二つは今見ても素晴らしい政策だと思う。第二子の方が保育料が高いことが多いが、それがタダになる。この政策は現在も存続しているので、0−3歳の第二子(保育無償化の対象外)がいる場合でも保育料はゼロになる。また、差額助成によって、認証保育園(認可外)がフル稼働するので待機児童の解消に貢献している。認証から認可へ移るみたいな不毛なことも少ない。

 

港区(保育課)も、港区の区議会議員も、住民も保育政策について非常に熱心であって、その積み重ねで待機児童を減らしてきたのである。行政の成功事例と言えると思う。金がかかるのでどこにでも真似できるわけではないが。

 

 

さて、区に電話して聞いてみると、認可園の最低入園ポイントを教えてくれた。最低入園ポイントが40点未満なら、保育園の申し込み状況が前年並みであれば、フルタイムで共働き家庭は確実に入れるということになる。なお、現在はこのデータは今はウェブサイトに掲載されている。

 

結論として、我が家の場合は0歳児4月入園であれば、選ばなければ徒歩圏の認可保育園には確実に入れるだろうとのことだった。これに、認証や認可外もあるので、まぁどこかには入れることは確実だと分かった。

 

問題はどこの園かということだが、第一子の場合はそんなに気にならない。そこでのんびり保育園を見学しながら申し込みをして、希望の園に入れることができた。育児休業中にハラハラしなくて良いのは精神衛生上大変良かった。子供を育てるだけで精一杯なので、保育園のことに頭を回している余裕はなかった。

 

その後も保育園の供給は続いており、港区の保育園事情はどんどん改善している。大規模なマンションが建つとどうしても待機児童は発生するが、豊洲や勝どきのように断続的にマンションが供給されるわけではないため、大抵の場合は数年で解消する(白金は建てすぎなので少し心配)。

 

特に、港南エリアでは2005年〜2008年頃に大規模なマンションが一気に供給されたため、当時の保育園事情は大変厳しかったそうだが、新築供給がない中で保育園が毎年オープンしていったので、開発終了から概ね10年で待機児童は解消され、現在は保育園が余っている状態になった。ただ、少し気を抜くと待機児童が増えるのでまだまだ供給を考えているそうだ。

 

共働き子育て家庭にとって、保育園は必要不可欠なものであり、保育園が足りなければどんなに他の要素が優れていても即落第である。最低限の足切り要素だ。

 

この経験から、住民の暮らしやすさ、暮らしの安心感という点では、マンションがどんどん供給されているエリアではなく、供給が少ないエリアの方が良いのかもしれないと考えるようになった。前年に40点未満の人が入れても、大規模マンションが一つできるといきなりハードルが上がってしまうことがよくある。これにより、兄弟で別の園になるとかなり負担が大きくなる。

 

マンション転売屋的な発想だと、次から次へとマンションが供給される方が相場が底上げされるので良いだろうが、住民の目線では供給は少ない(都市計画とのバランスを見ながら秩序がある供給ペースである)方が良い。少なくとも、待機児童問題を解消するまでは大規模マンションの供給を促進するべきではないと思う。

 

 

 

保育園の登園自粛はガチでヤバい

緊急事態宣言が行われ外出自粛が要請される中で、23区の保育園は登園自粛を呼びかけている。

 

緊急事態宣言前は、休校は行われていても保育園や学童は運営されていたため、親は子供を預けて働き続けることができた。在宅勤務をしている親は、子供を保育園に預けて在宅で集中して仕事ができたため、むしろ普段よりも仕事が捗るくらいだった。

 

防疫の観点からは、本来は保育園も閉めるのが望ましいが、そんなこと言ったら電車も止めるべきだし、スペインのように全ての会社を閉めるべきである。日本では国として経済活動を急停止しないことを優先するのだから、保育園や学童は当然継続するものと考えられていた。

 

私も、保育園は3密そのものなので気持ち悪さはあるが、子供の有病率は低いことや、それでも学校に比べると人数が少なく、クラスター化しても隔離しやすいので仕方ないのではないかと考えていた。理想は分かるが現実は完全な対応なんてできない。

 

 

渋谷区の対応

 

ところが、緊急事態宣言の翌日、渋谷区が「原則休園」を通知して大騒ぎとなった。

 

渋谷区は緊急事態宣言前から登園自粛を要請してきたが、在宅勤務のできる家庭を除き、親たちは基本的には保育園に預けて働き続けていた。緊急事態宣言を受けて強硬手段として保育園を休園することにした。なお、世帯全員が警察官、消防官及び医療従事者の家庭に限って例外対応をするという。

 

緊急事態宣言、東京23区の保育園はほぼ全て「休園」か「自粛要請」に【新型コロナ】 | ハフポスト

 

この対応は、親たちからすれば衝撃である。保育園は共働きのインフラであり、趣味で預けているわけではない。家で子供を見られるのに預けれている人もいるが少数であろう。保育園がなければ仕事の継続ができないのである。会社全体を休みにしてくれるならまだいいが、自分だけが休みになってしまうのはよろしくない。しかも区によって対応が違う。

 

 

他の区の追従

 

渋谷区の保育園休園は踏み込んだ対応であり、他の区は「登園自粛」を呼びかけるにとどまっていた。それが、数日して対応を変更してきた。原則休園に追従する区や、登園自粛でも強硬な自粛(実質的に休園と同じ)を呼びかける区が増えた。これは、東京都の要請なのか国の要請なのか、隣の区がやってる手前、人命保護の観点から追従しなければならなかったのか。

 

 

 

港区は登園自粛(テレワークできる人は自粛)だったが、1日後には、登園自粛(警察、消防、医療関係者以外は原則自粛)に変更された。一応、休園にはなっていないので、登園させ続けている親もいるようだが、近くの保育園では定員100人の園でも今は子供が10〜15人程度しかいないとのことだ。

 

私はテレワークができるので、当初から登園を自粛させていたが、テレワークのできない親も多い。この場合、仕事を休んで面倒を見るか、シッターをお願いするか、親に手伝ってもらうくらいしか短期的には打ち手がない。親が近くに住んでいて、日頃から接触していればば良いが、わざわざ呼び寄せるのは防疫の観点からいかにもまずい。

 

 

会社の対応

 

仕事の種類によっては、テレワークができない仕事もあるだろう。たまたま両親ともそのような仕事であったら、保育園が休園したらどうしようもない。

 

会社の中には特別休暇(有給休暇)を無制限に付与しているところもあるそうだが、この措置が数ヶ月継続する可能性を考えると、ずっと休ませておくわけにもいかない。

 

また、テレワークを活用する会社も多い。本来、テレワークは仕事に集中するために、子供の面倒を見ながらテレワークすることは禁止されているが、緊急事態の現在、ケチなことを言っている場合ではない。それを禁止したら業務継続ができなくなる。

 

大企業は監督官庁から出社の7割減を要請されている。7割はハードな目標であるため、会社側としてはテレワークできる人は全員テレワークして欲しい。できない人は休みをとって欲しい。会社によっては、オフィスを完全に封鎖しているところもあるし、出社する場合には事前承認が求められることもある。

 

特に世間から注目される大企業では、多くの社員を出社させることに恐怖感がある。業務継続の観点からもよろしくないし、「あの会社はコロナのクラスター化したらしい」「あの会社は緊急事態宣言下でも社員全員を出社させているらしい」という噂がたつと、レピュテーションも最悪である。

 

 

テレワークしている家庭の状況

 

テレワークをしていると保育園の登園は自粛することになるが、子供の世話とテレワークの両立はかなりハードである。保育園が担っていてくれた、子供を遊ばせて、学ばせて、運動させて、昼寝させて、食事を作って、食事させて、片付けて、・・・という機能を全て親がやらなければならない。

 

しかも仕事をしながら。まぁ不可能である。小池知事は軽いノリで、「テレワークできる方は、登園を自粛してお家で子供をみてください。テレワーク推進☆」と言っているが、どれだけ大変なことを言っているか、意味は理解できてないと思う。とはいえ責められるものでもない。新生児の育児の大変さと同じで、実際にはやったことがなければわからないだろう。

 

国家の緊急事態なので毎日必死にこなすが、これをずっと継続するのは不可能である。特に、1人親家庭や、夫婦の片方が出社必須の仕事の場合で、親1人がこれを担うのは厳しい。夫婦仲が悪くなるとか以前に、物理的に厳しい。

 

安倍総理は、「テレワークを行い、保育園の登園自粛をしていただいている方に感謝する。」と謝意を示していたが、スピーチライターはよく分かっているなという感じである。

テレワークできる人はたしかに、通勤が必要な人に比べれば柔軟に対応できるが、テレワークは休みではない。育児も仕事もするのだから相当なブラックっぷりである。出社するほうが何倍も楽。マルチタスクは疲れる。

 

 

保育園休園の個人消費への影響

 

保育園が休園し、自宅で面倒をみないとならなくなると、生活パターンが変わる。子供の食事を作らなければならないし、子供は家に引きこもっているのは不可能なので、運動させなければならない。つまり、可処分時間がどんどんなくなる。

 

通勤時間や保育園の準備の時間はなくなるが、それでも時間がなくなる。とにかく、コスパ(時間的な意味で)を追求しまくらなければ、生活を回すことができない。

 

スーパーからレトルト食品が消えたが、これは当然である。買い物に行っている余裕もないし、1日3食食べるのでレトルト食品は必須である。

 

出社しなくなるので、高額消費はしなくなる。しようという意欲も出ないし、時間もない。

 

子供を毎日散歩させたり公園に連れて行くので、汚れても良い靴や服が必要になる。毎日の生活と仕事を回して行くだけで精一杯である。そもそも、共働き子育ては大変で疲れるが、保育園のおかげで家事やちょっとした趣味、勉強、休息の時間が捻出できていた。これがなくなったのだからガチでヤバい。

 

とにかく、手間や時間が取られることはやりたくないし、やってる余裕もない。以前、不況になるとマンション価格は下がるかもと書いたが、このような超多忙な状態で、マンションを買おうとかモデルルーム行こうとか、内見しようなんて考える人はほぼいないと思う。妻に全ての家事育児を丸投げしている昭和な家庭や大家族とか、お手伝いさんがいる家庭とかくらいじゃないか。

 

「モデルルームは3密だから行きたくない」とかのレベルじゃなくて、保育園が閉まったからとにかく時間がない。休日も翌週に備えて食料品を買い出しておく必要があるし、平日に体を動かしづらい分、子供も親もたくさん運動しておく必要がある。しかも、できれば人が少ないところに連れて行く必要もある。

 

共働きで子育て中の家庭はしばらく引越しも購入もしないだろう。共働き子育て世帯は、通勤利便の良い都心にそこそこ広めのマンションを買うので良い客だったと思うが、彼らの購入意欲が一気に萎縮する。

 

現在、狭い家に住んでいる人は外出自粛で引越ししたいという意欲が高まっているかもしれないが、それでも緊急事態中に引っ越すこともないし、リフォームも納期が見えないと言うから、よほどの理由がなければ引越ししないだろう。コロナ前から転居を検討してきた人は継続検討するかもしれないが、新規で検討開始する人はいないだろう。

 

以前、「コロナ不況で購入意欲が萎縮するから、消費者は借り入れを抑制しがちで購買力が下がってマンション価格下がるかも〜」という記事を書いたが、まさか保育園が閉まって購買意欲が強制的にゼロになるとは思わなかった。

 

将来予想というものは、その時点では予想できない要因によって大きく影響されるのだなと思う。まぁ保育園はいずれ復旧する(しないと親が死ぬ)と思うが、その頃にはまた予想もしない事が起こっていて、何かしら影響を受けているのだろう。

 

 

 

マンション価格の下落局面では、どう行動すべきか?

緊急事態宣言が出て不要不急の外出自粛が強く呼びかけられる中で、マンション価格が下落する公算が強まっている。

 

 

不動産投資用ローンの新規申込み停止

 

金融機関のテレワークや業務縮退の中で、不動産投資用ローンの新規受付を止めている銀行が増えてきている。日本の銀行は金融庁の意向を非常に気にするが、金融庁は取引先の事業継続のため、ゆるゆるの審査で無利子融資をしろ!と圧力をかけている。

 

外出自粛で支店に出社できる人員数が減少する中で、緊急融資の仕事が増えており、銀行は業務を縮退させながら優先順をつけさせられる。優先順位は、「事業継続融資>住宅ローン>不動産投資用ローン」になるのは明らかであり、事業継続融資で取りこぼしを生じさせながら不動産投資用ローンを受け付けていたことが金融庁にバレたら、後からキレられる。

 

強欲な米国の銀行でさえ、自社株買いや配当を取りやめ(株主リターンを高めることで、取締役の報酬を上げることを取りやめ)、事業継続融資に全力で取組むと発表している。

 

実際には、担当が違うので不動産投資用ローンの新規受付を行っていても良いと思うが、そんな説明は通らない。緊急事態なのに不要不急の業務をやるために出社させるな!そんな余裕があれば1人でも出社人数を減らせ!と言われてしまう。

 

確かに多くの会社が泣く泣く休業しているなかで、特別に出社を公認してもらっているのに、社員を出社させて投資用ローンなんて受け付けていたら、社会的なバッシングも凄そうである。金融庁も銀行もそれは絶対に避けたい。

 

金融機関の営業は緊急事態宣言の下でも行われるが、事前に金融庁とネゴしている。その中で、出社人数を削ること、業務を縮退してやるべき仕事を選別することを約束させられる。このなかで、不動産投資ローンは不要不急業務として、縮退の対象になる。

 

また、銀行の経営判断としてもコロナ不況によって不動産価格が下落する可能性がある中で、不良債権化を防ぐために今までの融資姿勢を見直すことは当然であろう。特にオリックスリーマンショックの時に不動産への傾倒が危険視され、海外投資家に株が売りまくられたトラウマがある。ただでさえ、投資用ローンの審査が厳しくなってきていた中で、新規受付をとりやめて様子をみるのは自然な流れである。

 

なお、現在のところ住宅ローンについては新規で申し込みが可能ということで、緊急事態宣言の下でも業務縮退の対象から外れているようだが、窓口人員が縮小していることから、レスポンスに時間を要する状態になっているそうだ。今後、外出制限が強化されれば、住宅ローンの申し込みも停止することがありえるのだろうか。

 

 

今、売りたい人はどうすべきか?

 

不動産価格にとって融資の重要性はいうまでもなく、融資が止まって買い手が消えれば価格は落ちる。更に、不況になれば価格は落ちていくことが予想される。とはいえ、2月頃まで中古価格は高止まりしており、このモメンタムから強気のビューを持っている買い手もまだいる。この状況を踏まえて、今家を売りたい人はどうすべきか。

 

(1)少し値下げして一刻もはやく売る

 

今すぐに売却すれば、まだ時勢に疎い買い手や強気な買い手がコロナ前価格で買ってくれる可能性がある。不動産価格の下落には時間がかかるから売り逃げする猶予がある。

 

実際、湾岸エリアでも新規の売出しは直近成約額よりも数百万円下で出してきたりしている。有明などでは坪200万円台の安い単価、安いグロスの成約が増えている。

 

この状況下ですみやかに成約させている売り手は、相場を見極めるのが上手だと思う。株価の下落を見てから急いで対応したのだろう。コロナ前価格から多少値下げしても、今なら買い手がいるから売れる。それでもアベノミクス前に比べれば高価格だから御の字である。

 

緊急事態が長引き、経済への悪影響が拡大していけば、数百万円ではなく1000万円単位で引かなければ売れなくなるおそれがある。もちろん、世界経済がソフトランディングする、金融緩和で逆に資産インフレになる可能性もあるが、下落を予想するなら利益確定や損切りは早ければ早いほど良い。

 

もし、住み替えの場合は、先売りにした方が有利になる可能性が高い。上級者なら買い増しという方法もあるが、普通はやらないだろう。

 

 

(2)最悪期が去るまで粘る

 

もし、売却時期をコントロールできるなら、売り出しを止めるのも選択肢であろう。実際に、高値でスケベ売り出しをしていた人が売出しを取りやめ始めている。先高感が消えて、売り手も買い手も消える現象である。

 

また、売却ではなく賃貸に出せるなら出したほうが良いと思われる。不況に突入することが見えているなかで、賃貸でも安くなければ借りる人はいないだろうが、物件価格の下落よりも賃料の下落の方が小さいことが多い。

 

不動産価格の底値は株価のクラッシュから半年から一年先であることが多いから、少なくとも最悪期を過ぎるまで売却は見送った方が良いだろう。

 

ただ、今回のコロナショックは史上最悪の不景気に繋がる可能性が高いため、過去の経験則が通用するのかは不明だ。

待てば待つほど状況が悪くなる可能性もある。(一方で、史上最大の経済対策と金融緩和が行われており、株価は楽観しているように見える。どうなるのかは不明で、誰も自信を持ったことは言えないだろう。外出制限がいつどのように解除されるのか、その後またかかることがあるのかも見えていない。)

 

永遠に上がり続ける相場がないように、永遠に下がり続ける相場もないため、粘る、先送りするというのは有効な選択肢である。

 

 

今、買いたい人はどうすべきか?

 

(1)様子を見る

外出制限が出ているなかで買い急ぐ必要はない。好条件で買えるならリスクを取る意味もあるかもしれないが、価格が高いので急ぐ必要が全くない。

このタイミングで資金繰りや3Dなどの売り急ぎが出れば、有利な条件で買えるのかもしれないが、素人がそんな好条件をタイミングよく拾えるとも思えない。

 

アフターコロナの経済見通しは混沌としている。今、価格がちょっと下がったからと言って飛びつく必要はないだろう。

株式なら分割投資が可能だが、住宅購入はどうしても一括投資である。先行きが混沌としている中で無理して買う必要はない。

 

半年から一年くらいは様子を見るべきだと思う。買う場合は、物件の価値(利回り)や自分の返済能力から買い付け条件を決めておき、そこまで価格が下がってきたら買う方が良い。価格が下がっていく局面では、価格が下がればもっともっと下がる気がして恐ろしくて買うことができないが、妥当な条件を自分で設定することができれば、勇気を持って買うことができるはずだ。

 

相場の世界でも、「売る・買う・休む」という言葉がある。よくわからないときに無理して売る、買う必要はない。

 

なお、良く言われることだが、強い個人的な理由(結婚、転勤、出産など)があれば、相場がどうのと言ってないでさっさと買う方が良い。

この場合、資産価値はどうなるかわからないが住宅の使用価値が高いことは確定しているからである。ただ、この場合も買わずに借りるという選択肢はある。

 

 

(2)旧価格の新築は極力買わない

気を付けたいのは、コロナ前に価格決定された旧価格の新築マンションに手を出さないことであろう。

 

湾岸エリアの新築マンションは坪400万円、グロス8000−9000万円程度で売られている物件があるが、この価格は、オリンピックが予定どおり行われ、インバウンドが絶好調、ホテルが足りない、商業施設は大混雑、ダウが史上最高値を連日更新している等を前提とした価格である。今後の経済状況がどうなるのかは不明だが、この状態よりも良くなることは考えづらい。

 

新築価格は原価積算で決まることが多いため、今後も急には下がらないと言われており、中の人が言っているんだからこれは事実であろう。

原価(地価)が下がるのを待っていたら何年かかかる。

 

一方で、中古価格は不況を反映する。高い新築を買うと、買った値段は高く、売るときには安くなってしまうおそれがある。

買うなら妥当な価格に価格改定された新築(気持ち下げたとかではないレベル)か、コロナ不況を前提に値下げされた中古である。

 

価格が落ち着くまで新築はやめておいた方がいいと思うが、それでも、宗教的な理由で、どうしても新築が欲しい人もいるだろう。

その場合、旧価格であっても鉄板ならば買っても大丈夫だろう。

 

アベノミクス相場で、新築マンションの価格設定は高騰しており、湾岸エリアでは坪400万円などという水準の物件もあるが、中古になったときに価格を維持するであろう物件と、暴落するであろう物件が混ざっている。郊外なら尚更。

 

マンマニさんのブログで十年後に売却した場合の価格目処が載っているが、あれはコロナ前の経済状況が継続することを前提としているので、あそこから10〜20%程度の下落を想定して、それでも買う価値(利用価値)があるかどうか判断すると良いと思う。

 

立地や利回りを確認して、リスクバッファーをとっても鉄板だと思える物件であれば、旧価格で掴んでも残債割れはせずに済む可能性がある。

一方で、買った瞬間残債割れになる可能性のある物件が多いため、冷静に判断するべきである。

 

 

羽田新ルートでマンション価格は下がるのか?

羽田新ルートの運用開始

 

2020年3月29日から都心上空を飛ぶ羽田新ルートの運用が開始された。

 

羽田新ルートは日本を観光立国化させるため、直近ではオリンピックに伴う訪日外国人の増加に対応するため、羽田空港の国際線の発着数を増加させるための打ち手である。

 

オリンピックが延期され、JALANAの国際線が8割減便されている現在、最悪のこのタイミングで運用開始する必要があるのか?と思うだろうが、役所では「決められたことをスケジュールどおりに実施する」ことが何よりも大切である。

 

民間企業なら、いくらなんでもこのタイミングは最悪だから延期しようとなるはずだが、似たような話に、JR東が高輪GW駅を外出自粛中に予定どおりオープンさせて鉄道ファンが大行列して濃厚接触した例がある。国交省もJR東もセンスがないし、組織内のことしか考えていないのだ。

 

自治体の反応

 

国交省のウェブサイト「羽田空港のこれから」において、羽田新ルートの詳細が載っているが、羽田新ルートは都心上空を通過するルートである。

豊島区、新宿区、渋谷区、港区、目黒区、品川区、大田区などの上空を通過する。

 

マン点さんが再三まとめられているが、各区長は本件について強く反発していない。港区長のコメントを見ると他人事のようである。

 

>区はこれまで国に対して、区民に対する教室型説明会の開催や安全対策、騒音対策等の様々な取組について要請してまいりました。

>その結果、区内各地区で教室型説明会が開催されたほか、新聞広告等のマスメディアを活用した広範囲な情報提供、落下物防止対策基準の義務付けや駐機中の機体チェックの強化等の安全対策、飛行高度の引き上げによる騒音軽減等の方策が講じられました。

>一方で、区民からは、依然として落下物や騒音等に対する不安の声が寄せられており、区としては、新飛行経路案に関する情報等の周知が十分ではないと考えております。

>このため、区は、区民の安全安心と生活環境を守る立場から、引き続き、国の責任において、区民の不安や疑問の払しょくに向けたきめ細かな情報提供や丁寧な説明を行うとともに、さらなる安全対策や騒音対策等に積極的に取り組むよう、国に対して強く求めてまいります。

 

 

最後の文章なんて、「国の責任」と言いたいだけでなにも言ってないのと同じ。良いことを言っているようで内容がない演説である。なぜこんなにやる気がないか。

 

区議会議員さんの話では、「羽田新ルートは観光立国の前提として政府が決定したもの(自民党公明党が公認する政策)であるため、自民党との関係性を重視する各区長は反発しづらい」ということである。たしかに、議員レベルでも反発しているのは、共産党都民ファースト一部の無所属議員ぐらいで、要は自民党と関係が薄い勢力だけが反発している状況。

 

各区長は区民の手前、(選挙対策として)何もしないわけにはいかないので、「撤回は求めない(自民党への配慮)」が「国になんらかの対応を求める(区民への配慮)」というポーズをとる。そして対応しなかったのは国だから、と自らの責任になることを避ける。

 

区民がなにかを求めており、区長が代表として国に要望を伝える場合、交渉の結果ゼロ回答なら、区長の責任もゼロではないだろうが、そうならないように細心の注意を払って言葉を選んでいる。

 

これは区長が独自に判断して行動しているわけではなく、事前に調整がついている状態で、自民党の調整力の高さと、国と地方の議論が発生することさえ許容しないという姿勢。

 

港区民として、港区長の官僚答弁っぷりには呆れる。「引き続き要望を伝えていきます(区が独自に何かやる気は一ミリもありませーん)」では、まるで存在意義がない。

 

政策として羽田空港の発着枠を増やす必要があるのは理解できるし、仕方ないと思う。ただし、音の感じ方は個人差があるのだから、希望者には二重サッシなどの防音リフォーム代金を一部補助するなどをすべきではないかと思う。もともと、省エネリフォームで補助があるので、これを多少強化すれば良い。新ルートが通過する区の区長は国にこの予算を求めるべきだと考える。羽田空港の増便で税収は伸びるのだから、原資は十分にある。

 

国交省が開催してきた説明会も、「説明しました」という事実を作る以外、何の意義もないしやる気もない内容であった。たしかに、撤回を求める人の対応には苦慮したのだろうが、パブリックコメント自治体との公開討論など、もう少しやり方は工夫できなかったのだろうか。自分の正統性だけを主張して、異なる意見に対しては全く聞く耳持たずの人の話を誰が聞くのだろうか。

 

 

懸念点

 

羽田新ルートについて、いくつかの懸念が指摘されている。

 

主なものは、

 

・落下物などの危険性

・騒音による健康問題

・不動産価格の下落

 

である。国交省はこれらについてQA形式で回答している。さて、これで納得いく人いるのだろうか?以下は、QAから抜粋。

 

・落下物の危険性

>部品や機内又は空中由来の氷の塊が航空機から落下する恐れが指摘されています。これらの落下物は、点検や整備が不十分である場合に発生すると言われています。落下物が発生しないよう、航空会社への点検・整備徹底の指導、航空機メーカーへの設計・製造・整備マニュアルへの反映の働きかけなどの対策に取り組んでいます。

 

要約:(チッウッセーな)がんばりまーす。

(規制強化できれば省益も広がって一石二鳥!なお、航空会社の規制対応コストは空港利用者が負担するスキームだから役所にとってノーリスク)

 

 

・騒音による健康問題

>航空機が新飛行経路を飛行するのは南風時の15時から19時であり、義務教育の時間が概ね終了した後で夜間にお休みになるまでの時間帯に限定する予定です。また、建物の中では屋外に比べ音が大きく低減されます。健康への影響は考えにくいものと考えています。

 

要約:音がうるさい?室内入れば音小さくなるよ?w

 

・不動産価格の下落

>航空機の飛行経路と不動産価値の変動との間に直接的な因果関係を見出すことは難しいと考えています。成田、伊丹、福岡を対象に調査したところ、飛行経路が地価の下落につながることを示す因果関係を見出すことはできませんでした。

 

要約:不動産価格下がっても、新ルートのせいだと証明できないから知らんがなw

 

 

羽田新ルートでマンション価格は下がるのか?

 

国交省は羽田新ルートによる不動産価格への因果関係を見出すことはできなかった(キリッ)と言っているが、実際に運用開始された感想として、私はあると考える。

 

ネガティブな変化だからネガティブな影響があると考えるのが自然であって、影響が全くないと考える方が異常であろう。ネガティブな影響があるというと補償問題になるので、国交省は「影響はない(ある)」としか言えないのだ。嫌な仕事だと思う。

 

マンションの価格は需要と供給で決まる。羽田新ルートは需要にマイナスの影響を与えるであろうから、普通に考えればマンション価格にもマイナスに作用するだろう。いずれは慣れてしまうとしても、短期的にはマイナスになるだろう。人は変化に対して反応するものだ。

 

まず、品川駅の付近では、グォーという大きな音が聞こえてくる。事情を知らない人はなにごとかとキョロキョロしている。段々音が大きくなり、駅の上から巨大な機影が見える。肉眼だとかなり大きく見える。これが数分おきにくり返される。飛行機は全て同じ経路を通るわけではなく、風の状況によってズレるので、音の大小や飛行機の見え方も変わってくる。

 

実際に通過する機体を見ると、巨大なターミナル駅の品川駅の上を通るのは異常だと思う。

 

特に気になるのは音である。上空を通過する時の音は近くをバスが通ったときいくらい〜近くで人が大声で叫んだくらいの音(会話が聞こえなくなる程度)だとは思うが、目に見えない状態から広域に音が鳴り響くため、驚く人が多いだろう。港南エリアは、モノレール、新幹線など、音がする交通機関が通っているの音には慣れているが、航空機の騒音は今までとは違うものである。

 

昨今のマンション価格の高騰で、羽田新ルートが通過する、新宿区、渋谷区、港区、目黒区などのマンションは高騰している。低金利を前提条件に、大きな借金をして無理して買うレベルの水準になっている。

 

そうなったときに、ネガティブな要素、不安要素というものは気になる。なぜ、8000万円、9000万円もするのに騒音が気になる物件を買うのか。それなら違う場所にするかと考える人もいるのではないか。

 

特に、静かなエリアから来た人はそう考えるのではないか。また、港区の高級なエリアの上を通過するが、居住環境を重視する層、引退後、長くそこに居住しようとする層も敬遠するのではないか。

 

自分や家族が住むのに大丈夫か?また、いずれ貸したり売ったりするときに大丈夫か?

 

羽田新ルートによって羽田空港の利便性が向上すれば、空港へのアクセスの良いエリアは逆にプラスの効果もあるだろう。しかし、多くの人にとって、空港を使う頻度は月に数回程度。騒音は毎日ではないが、騒音の頻度の方が高い。

 

物件価格が10%下がったとして、コロナショックで下がったのか、羽田新ルートで下がったのか分析するのは難しいが、「全く影響がない」と考えるのは不自然であると思う。

 

羽田新ルート下にマンションを買おうとする場合、屋外ではどのように聞こえるか、室内からはどうか、窓を開けたときはどうか、確認してから買うべきであると考える。物件の場所と防音性能、個人の敏感さによりかなり差が出てくる。

 

 

 

 

 

千代田区長への新築マンションの未販売住戸優先販売問題

コロナの大騒ぎで風化気味だが、界隈でちょっとした話題になった本件についてまとめてみた。

 

NHKの報道

 

3月6日、NHKが「高級人気マンションの一般販売ない部屋千代田区長が所有」と報じた。

 

千代田区の石川区長が三井不動産のパークコート三番町ヒルトップレジデンスの一般未販売の部屋(事業協力者住戸)を抽選なしで購入していたことが明らかとなった。また、石川区長はこれまでに新築の高級マンションを5軒取得し、3軒を転売して利益を得ているという。要はマンション転売屋である。

 

取得した物件のデベロッパーは住友不動産三菱地所レジデンス、大京などであったと報じられている。

当然、これらの物件についても似たようなことが行われていたのではないか?との疑惑がある。

 

実はNHKの報道前から共産党が本件を追及してきており、千代田区長は「失礼だ!」などと逆ギレしたり、はぐらかしたりしてきたが、

NHKが報道したことで一気に注目が集まり逃げられなくなった。また、共産党以外の議員も対応せずにはいられなくなった。

 

共産党は百条委員会の設置を提案し、共産党自民党、立憲系会派などの賛成多数で設置が可決された。百条委員会とは、猪瀬知事などが追求された人民裁判のようなもので、真相究明が目的というよりも、千代田区長を徹底的に攻撃して政治生命を終わらせるものであると思う。

 

なお、石川区長を支持してきた都民ファーストの会は百条委員会の設置の議決を退席。おそらく、本件は区長と都民ファ潰しのために共産党自民党がマスコミにリークしたのだろう。

 

 

本件の問題点

 

デベロッパーが一般未販売住戸を設けることや、事業協力者でなくても、お得意様に優先販売すること自体は商慣習として問題がない。

問題は、「千代田区長が購入したマンションが千代田区の許可を受けて高さ制限が緩和されており、その決裁権者が千代田区長だった」ことである。

 

 

つまり、千代田区長は自らの職権を利用して、私的利益を得たのではないか?という疑惑が持たれる。

また、デベロッパーは千代田区長に利益を供与した見返りに便宜供与(容積率緩和=戸数増加による売上増加)を得たのではないか?という疑惑が持たれる。

しかも、区長は5軒も取得しては転売していることから、他のデベロッパーに対しても同じようなことを行っていたのではないか?という疑惑が持たれる。

 

なお、千代田区長は現在のところ以下のように述べている。

・マンション購入の資金は出したが、マンション購入は家族が行ったから経緯は知らない。

・マンション購入はデベロッパーから打診されたから自分から売ってくれと頼んだわけでは無い。

・価格は妥当だった。(不当に安く買ったわけではない)

・未抽選とは知らなかった。

 

少しマンションに詳しい人なら、『未抽選とは知らなかった』というのはまぁ嘘だとわかるだろう。

 

 

デベロッパー側の問題点

 

職務上、公務員の付き合いがある人は、「公務員に対しては一般企業の人と同じような付き合い方をしてはならない」と学んだことがあるだろう。

宴会をやれば必ず折半しなければならないし、お歳暮など贈答品を贈ってはいけない。お車代などを支給してはいけない。

ゴルフや旅行はダメ、出版の監修をしてもらうのもダメ、謝礼を渡すのはダメなど、細かい取り扱いがある。

商品のサンプルやノベルティ(カレンダーなど)はギリギリ良いと言われるが、お弁当やお菓子は駄目な場合もあるなど、公務員との付き合いはとにかく気を使うのである。

 

 

収賄罪に該当しないよう、民間企業は公務員の職務行為に対して金品などの対価を払ってはいけない。

また、職務と密接に関連する行為(口利き等)についても対価を払うことが禁止されている。

ここで、「対価」とは金銭のみならず、公務員が「対価」と感じるあらゆるものである。

一般的には価値がないような行為であっても、公務員が対価と感じれば、見返りを求めることができるからである。

特に、公務員の許認可が大きな利益につながる不動産業については、より厳格にコンプライアンスの遵守を求められており、担当者レベルでは適切に運用されていると思う。

 

 

さて、コンプライアンス研修で質問を受けたとして答えを考えてみる。

 

『マンション転売屋として有名な千代田区長に対して、倍率がつく人気マンションの一般未販売住戸を、無抽選で販売する行為は、

収賄罪で禁止されている「対価」と判断されるか?』

 

 

・・・外形的には確実に対価と判断されるであろう。マンション転売屋に聞いてみたら良いが、利益供与もよいところ。垂涎の条件である。定価販売であっても。

 

確かにそもそもこれが『贈収賄罪』に当たるのかどうかは判断が分かれるところであろう。タダでマンションを贈答したわけではなく、定価で販売しただけである。

 

ただし、転売して数千万円の利益を得ているのであれば、未公開株を渡すのと経済的な効果は似ている。

定価で渡したから賄賂ではないと言っても、通用しないのではないか。

逆に、これが問題ないと判断されるならこのスキームでいくらでも許認可権者に堂々と利益供与でき、便宜供与を引き出すことができてしまう。

 

本件に関して、三井不動産は、千代田区長やその親族から購入したいと打診されても、千代田区長が容積率を緩和した物件だけは、キッパリと購入をお断りするべきであった。

千代田区長は、「デベロッパー側から購入を打診された」と主張しているが、事実なら最悪である。

 

外形的に便宜供与の対価に利益供与を行ったと疑われるような行為であり、デベロッパー自身だけなく、千代田区長の立場も危うくする行為である。

デベロッパーはアホではないので、組織としての判断で、容積率緩和を受けた物件の容積率を緩和した当事者に販売したわけである。

しかも、一般未販売住戸を無抽選で。

 

三井不動産グループのコンプライアンスのページを見ると、以下のように書いてあった。

 

腐敗防止

(1) 贈収賄の禁止および接待・贈答
公務員などに対し、不正な利益供与を禁止しています。また、取引先や関係先などとの間であっても、節度を超えた接待や贈答などを行ったり、受けてはいけないこともルール化しています。また、贈賄防止にかかる取り組み体制や遵守すべきルールを定め、贈賄行為を未然に防止することを目的に「贈賄防止に関する規程」を制定し、実行しています。

 

・・・本件のポイントは、三井不動産は『不正な利益供与』をどのように定義するのかということ、それが社外で通用するか?ということであろう。

 

百条委員会では、真相究明にはあまり関心がなく、千代田区長に恥をかかせて首をとることに全力投球するのであろうが、そんなことしなくても千代田区長の政治生命はとっくに終わっている。

 

マンションファンとしては、『不正な利益供与とは何か?』という定義をぜひ確認してもらいたい。許認可を受けた物件の未販売住戸を販売することは不正な利益供与なのか?ギリギリセーフなのか?

 

 

千代田区長側の問題点

 

当然ながら、デベロッパーのみならず千代田区長側にも問題がある。

 

国家公務員の場合は、(国家公務員ではないが同様であると思料)倫理規定、倫理行動基準の中に、利害関係者に対する禁止行為が明記されており、その中で、「利害関係者から無償で役務の提供を受けることを禁止する」と書かれている。

 

「無償で役務の提供を受ける」とは、通常であれば送迎や自分の仕事を手伝わせるなどの行為であるが、「自然な状態であれば無償では行わない特別なサービスを相手に行わせること」であると考えられる。

 

つまり、定義が曖昧であり疑惑を持たれやすい。通常、許認可の相手から高額なモノを買うなどということは、疑惑を持たれないよう厳に慎むべきであろう。知らないうちに通常行われないサービスをうけるリスクがある。

 

そんな中で、許認可を行った物件自体を買うなどというのは、脇が甘すぎて呆れてしまう。千代田区長は元公務員であるから、このような規制には精通していたであろう。

 

百条委員会はこのへんを指摘して、千代田区長がいかに非常識なことをやったのかを徹底的に追及して吊し上げるのであろうが、正直なところ千代田区長の政治生命はもう終わっているし、年齢も高齢だから放っておいても次はなかったと思うのでどうでもいい。

 

それよりも、本気で本件を追及していくとデベロッパーと許認可を与える者の不適切な利益供与、便宜供与の実態が明らかになってしまうおそれがある。リークをしたと思われる自民党自体が一番やっていそうなので、かなり思い切ったことをやったなと感じる。

 

本件について、通常の不動産のVIP販売だから問題ないのではないか?という意見を見たが、おそらく民間企業で対公務員の対応をやったことがない人なのであろう。

 

許認可権を持つ国家公務員に対する付き合い方の規制の厳しさを知らないのだろう。千代田区長はそのへんにいる金持ち爺さんではないのだ。

 

なお、千代田区は「区職員」が事業協力者住戸を購入していた場合、「倫理規定違反に該当する」と議会で説明したのことである。

 

区長だから組織内から指摘されていなかっただけで、千代田区の職員は、千代田区長による権力私物化、マンション転売には迷惑していていたのであろう。

 

外形的にどう見てもアウトな行為を行う区長を部下として必死に庇わなければならない役人の身になると、同情してしまう。

 

(以下は7月29日追記)

百条委員会委員会と刑事告発

 

百条委員会では、区長は「事業協力者優先住戸として、無抽選と知りながら購入したのか」について追求されている。

つまり、デベロッパーから特別扱い(利益供与)を受けていることを認識しながら購入したのか、ということだ。

 

区長は、「知らなかった。事業協力者でないことは知人経由でデベロッパの販売会社に確認した。」と回答した。

ところが、議会がデベロッパに確認したところ、「そのような事実はない」という回答だったという。

また、知人とは誰なのかについて区長は黙秘。これによって、区長は偽証を行ったと批判されている。

 

千代田区議会は7月27日、百条委員会での偽証について、区長を東京地検刑事告発する議案を賛成多数で可決した。

 

 

12万円のバラマキ提案

 

区長は、このタイミングでなぜかコロナ対策として区民一人当たり12万円をバラまくことを議会に提案した。

議会が反発すれば、先決処分で独断先行することも仄かした。

従前、区長は「このようなバラマキは効果が薄く、一時的なものでしかない」として批判的だったため、なんらかの意図が感じられる。

議会は政策を審議することとなったが、「疑惑隠しではないか」「どのような正当性があるのか」など議論紛糾してすぐに休憩になってしまった。

 

 

法的根拠がない解散通知書

 

区長は、予算委員会の休憩中に突然「議会の解散通知書」を議長に提出したが、法的根拠がないとして受け取りを拒否された。

(議会を解散できれば、12万円のバラマキを人質に面倒な自民党区議を一掃できると考えたのだろうが、受取拒否)

 

そもそも、区長は議会に不信任案を可決された場合、解散をすることができるが、不信任案は決議されていない。

また、不信任議決とは重く、議員数の3分の2以上の出席、4分の3以上の賛成などの厳しい要件がある。

 

区長は、「百条委員会での偽証に関する刑事告発の決議は、実質的に不信任案みたいなもんだから解散」「これで百条委員会も解散」というロジックだが、そんなものは通るはずがないし、そもそも、自分が刑事告発されていることを利用して解散しようなんてイカれてるとしか思えないが、傲慢で利己的に考えると、このように法令解釈できてしまうらしい(本人的には。役所の中の人は呆れているだろう。)。

 

 

本件の真の問題点

 

区長が12万円バラマキや権限ないのに解散通知など、墓穴を掘りまくり、場を荒らしているので、本件の問題点がぶれてしまっているのだが、本質的には、「許認可権を持つ公務員に対して、利益供与(本人が利益と受け取るような通常行わないような特別扱い)をすることは妥当なのか」という議論であった。

 

仮に、デベロッパが許認可権者をVIP扱いして事業協力者住戸を無抽選販売することが妥当ということになると、未公開株を買わせて実質的に賄賂を送る行為が合法になってしまう。

 

お墨付きがとれれば、デベロッパ容積率の緩和を勝ち取るため、このスキームを使って賄賂を送りまくるだろう。容積率緩和による経済効果は数億円から数十億円、数千万円の賄賂など安いものである。これについて、セーフ・アウトの線引きをしっかりして、区長とデベロッパに責任を取らせることが肝要である。

 

収賄罪の線引きがはっきりしないので、区長はじめ、デベロッパにタカりたい人たちがVIP販売を求めてきても、デベロッパは断れない。また、デベロッパ自身が自社の利益のために購入を持ちかけることも制限できない。

 

個人的には、デベロッパが許認可権者及びその家族に許認可を受けた物件を取得させるなどあり得ない行為であると思う。どう見ても、外形的に贈収賄罪を疑われる恐れがある。

 

千代田区長なんて年齢的にもどうせ次はないし、今回のスキャンダルで政治生命は終わっているからどうでもいい(でも、千代田区民のためにはしがみつかずにさっさと逮捕投獄されて欲しい)。

 

それよりも、デベロッパによるVIP販売の商慣行が妥当なものか、贈収賄罪の回避(実質的な賄賂)に使われていないのか、実態解明に興味がある。

 

本件は千代田区議会が主導して追及をしている。都民F系の区長に対して、自民党が追及する形である。ただ、議員は調査のプロではないので、本来は監督官庁や特捜マターであるように思える。

 

 

更なる疑惑

 

容積率緩和の見返りにマンションを優先購入したのが事実として、なぜ区長はこうしたことを始めたのだろうか。

普通に考えて、区長になってはじめて開始した訳ではないのではないか?どこにその最初のきっかけがあったのか?

これについて、デイリー新潮が興味深い記事を書いている。

 

<ミッドタウン日比谷を巡る区の所有地の無償貸与問題>

・今後、火を吹きそうなのが東京ミッドタウン日比谷を巡る問題である。

・18年に三井不動産が開発したこの複合施設では敷地内に区道が通っており、そこを広場として整備している。

・土地は今も区の所有だが、維持管理を担う一般社団法人日比谷エリアマネジメントに無償で提供していた。

・区長は三井不動産とも親しいと言われており、この社団法人の代表は三井不動産執行役員である。

・その広場は2千平方メートルと広大にもかかわらず、向こう20年もの間、無償で区から貸す契約になっている。

 

<都庁職員時代からデベロッパーと癒着疑惑>

・区長は都庁で港湾局長を務めていた当時、1996年の世界都市博準備のため、都市開発の仕事に関与していた。

・当時から不動産業者との繋がりがあった。高級マンションの売買を繰り返していた。

・2001年に区長に就任した後、5件のマンションを取得、3件を転売して利益を得ている。

 

 

つまり、都庁職員時代からデベロッパーと関係があり、職務権限を利用してデベロッパーに便宜を図る代わりに、マンションの優先購入などの利益供与を受けていたのではないか?という疑惑である。となると、都庁職員の問題にもなってくる。

 

百条委員会では、区長の優先購入がどうというよりも、東京都や千代田区の職員とデベロッパーの癒着についても切り込んで欲しいところである。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

湾岸タワマンの適正価格(ネタ)

※ネタです。考案はうなぎ先生(@ohayounagihiro)

 

リーマン・ショック後に分譲された湾岸(江東区中央区)の名作タワマンの新築時の平均坪単価(第一期一次の平均)を調べると、販売開始時の日経平均÷50くらいになっている。

 

新築マンションの販売価格は基本的には原価積算で決定されるため、株価は関係ないはずだが、株価が高いと地価が高くなって原価が上がるためか、デベロッパーが景気や消費者の購買力を見ながら価格を決めているためか、株価と新築マンションの坪単価はそれなりにリンクしている。それなりに、だが。

 

それでは、株価がどのくらいの水準のときに投資家が絶望したり、逆に、調子に乗ってくるか。目安はこんな感じ。

日経平均20000円→オリンピックが決まり、企業業績は過去最高。超強気な状態

日経平均15000円→企業業績は回復が続いているが、不況転落への恐怖も残る懐疑(冷静)な状態

日経平均10000円→リーマン後や震災後など、投資家は総悲観で絶望している状態

 

日経平均は10000円〜20000円で推移することが多いから、新築マンションの妥当な坪単価は200〜400万円となる。

坪単価400万円掴んでしまうと、日経が20000円くらいにならないと、価格を正当化できなくなるので、

日経がそれ以下のときに売ると大きな売却損が出るおそれがある。

 

レンジの真ん中、日経15000円の時のマンション価格が適正価格とすると、新築の湾岸タワマンの適正価格は坪300万円。

 

なお、コロナ前の日経が20000円を超えていた時、築10年程度の湾岸タワマンは坪300万円強程度で取引されていたが、コロナ不況による下落(10〜20%くらい)を考慮すれば、新築時に坪300万円くらいのフェアバリューで買えれば、不況下で売らなければならなくなっても損しないんじゃないか。

 

信 じ る か 信 じ な い か は あ な た 次 第。

 

なお、日銀がETFを鬼買いして株価を支えている(インチキしている)から今までの日経平均20000円と、今の20000円は中身が違うのではないかという議論もあるだろうが、私は株価は基本的に正しいと思っている。中央銀行だって完全無欠では無いからあまりにも隙の多いことをやると、売りあびせられて却って株価が落ちる。インチキくさい株価であっても、一応、その価格ならまぁ仕方ないかなと市場参加者が判断しているってことだ。

 

たぶんね。