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「住宅ローンは「変動」で借りなさい」の感想

住宅ローン業界の賢者であるモゲチェック塩澤さんが本を出すというので、速攻で購入しました。

 

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一期一次で買いました

 

ぼくはマンション購入にあたってペアローンを使う予定であり、妻に住宅ローンの組み方について説明する必要がある中で、参考になるかなと思い購入。

 

・表現も平易で図(ポンチ絵)も多いため、よくわかってない人でも理解しやすい内容

・住宅ローンを中心とした本なので、どんな物件を買うべきか、物件価格はどう変化しているかなどはほとんど触れていない

・全体的に主張に対してシミュレーションデータで補足しているので説得力がある(著者の主張は低金利+緩やかな金利上昇が継続というものだが、そうでないシミュレーションも示しているので、わかりやすい)

 

ということで、資産運用や住宅購入に興味のある人はポチるべき良本であると思う。投資テクではないが、住宅のソリューションも含めた家計の金融戦略を考える上で有益。

なんとなく理解しているが説明が難しいテーマについて、わかりやすいデータで説明しているので人に説明するのが楽という感じで、本を買ってよかったと思う。

 

<感想>

ぼくが重要なメッセージだなと思ったのは以下2つ。

 

1.住宅購入や投資に関する親世代の常識から脱却しろ!

現代の環境は親世代の環境から大きく変化したので、親世代の常識から脱却することが必要という主張には賛同できる。

親世代の常識=呪縛に囚われて住宅取得が遅れたり、お金を預金にしているとアベノミクス以降は損が膨らむ構図になっている。

 

親世代の常識→現代の環境を踏まえて、とるべき行動

「現金を手元に置くべき」→「インフレ時代は現金の価値は目減りしていくので、現金の保有はできる限り減らす」

「投資はせず貯蓄すべき」→「SP500やオルカンなど長期的に経済成長の恩恵を得られる投資先へ長期投資するべき」

「借金は最小限にするべき」→「有利な条件で借りられる借金(住宅ローンを含む長期で低金利で貸していくれるローン)なら最大限活用するべき」

 

この他にも、そもそも、不動産を買うということに対して、バブル後の不況を見てきた世代からすると、「不動産は買った瞬間に値下がりして、その後も経年減価していくので、ずっと住む前提で買うか、賃貸した方がいい」という経験則からの思いこみが強いと思うが、アベノミクス以降の東京の新築マンションは買った瞬間値上がり(引き渡しまでの期間にインフレ)し、その後も経年増価していく(従来の下落率よりも、資産インフレ率が高いため、値下がりしない)というものに変わっている。

 

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そこで、有利な借金である住宅ローンで、値上がりしやすい資産である東京の都心部に極力近い駅近の大規模マンションを買おうぜということになっている。今後、短期的なショックや不景気でマンション価格が下がることもあるだろうが、世界の動向を見ると、都市部の不動産価格は長期的に上昇して常に最高値になっている。これは、不動産がインフレになると値上がりしやすい資産だからだろう。(中国の不動産価格は日本のバブル崩壊時のようになってしまっているが、あれは別要因)

 

また、個人の投資環境についても、ETFREITや投信が充実し、ネット証券で簡単に海外市場にもアクセスできるようになり、NISAなどの制度も整備され、10年前に比べて格段にやりやすくなりコストも下がったので、住宅ローン+証券投資というのは現代の常識となると思う。

 

特に一次取得の場合、あまり詳しくない場合、親に助言を求めたり、親が親心で無用なアドバイスをしてしまい、親ブロックになってしまうことが多いが、まず、購入を考えるのであれば自分がしっかりとした理解を持たなければならないが、全てを整理して学ぶのは難しいのでこの本は一助になるように思う。

 

2.住宅ローンは変動金利でフルローンで借り入れて、頭金は入れず繰上げ返済せず、手元資金は運用しろ!

この本のテーマでもある、変動金利か固定金利かということだが、日本の経済環境を考えれば、バブル期並みの超好景気にならない限りは、変動金利の方が利払いが少なくなるため、経済合理的には変動金利が有利である。この主張は多くの識者がしているところだが、この本ではその理由(前提条件)が色々と書いてあるので、気になる人は読むべし。

 

また、変動金利と固定金利の差は大きく、月次の支払額も差が大きいので固定金利で返済できる能力があるなら、変動金利との支払いの差額を長期で株式投資して運用するだけで、むしろ、変動金利金利をゼロにできる。これは計算したことがなかったのだが、なかなか面白い主張であった。

 

住宅ローンに頭金を入れたり繰上げ返済しても、0.5%の金利の節約にしかならないが、長期投資すれば年平均で数%のリターンはあるよねということ。これは株式投資をしている人なら、そりゃそうよという実感があるだろう。特に、数年では株式のリターンはマイナスになることもあるが、35年ならまずプラスにはなるだろう。また、頭金を入れると物件を売却しないと引き出せないが、株にしておけば数日で現金化できることも家計のショック耐性を高め、破綻リスクを下げると思う。

 

ちなみに、ぼくもこのとおり、フルローンで借りて、団体信用生命保険と住宅ローン減税の効果を最大化させつつ、手元資金は運用(NISAも最大活用)しようと考えている。ただ、運用で大損したら意味がないので、通常の余ったお金でやる運用よりは保守的な運用(バランス運用)が良いだろうか。これはよく考えたいと思う。個人的に、投資は授業料を払って学ばないと自分に合ったものが見つからないと思うので、家を買う前に投資で爆損する経験があった方が、安心できる感はある。

 

その他、なるほどなと思ったのは以下。

 

・生命保険や医療保険は健康に不安がある人が入ることが多いが、団体生命信用保険は家を買う若い人が中心なのでリスクが低く、保障内容に対する保険料が激安なので活用すべき

・住宅ローン金利が低いのは日本人の住宅ローンの延滞率が低いから(先人たちが借金は返すものという意識で、何があろうとしっかり返してきたから)

・日本人の賃金カーブで見ると、40−45歳くらいの借入可能額(=与信)が最大になる

・60歳以降は年収が落ちるので、60歳以降が返済期間になると余裕が減るので若いうちに借りるほうが将来の余裕につながる

・マイナス金利解除でも低金利が継続するので変動金利の住宅ローンが急上昇(年あたり1%(利上げ4回ペース)とか)することはないだろう

・日本は人手不足ではあるものの人口減少の悪影響を緩和するため、低金利を継続するインセンティブがあるので、海外に比べれば低金利が継続するだろう

・日本で金利が上昇する場合には、賃金が大きく上昇すると思われるので、異常な金利上昇じゃなければ、むしろ返済が楽になるだろう

 

<より詳しく知りたい点>

こちらの本は長々と説明せず、ポイントを絞っているためか、触れられていない(あるいは説明がサラっとしているか、暗黙の前提として省略されている)点があると感じる。

ややマニアックな内容もあるので続編とかで触れて欲しいところ。

 

例えば、

・住宅価格はどうなる前提なのか(今のような経年増価が継続する前提で考えていいのか、住宅価格は持続可能なのかなのか、資産も含めたトータル費用の計算)

・どのような住宅を買ったらいいのか(東京の大規模マンなら価格上がるから買うべし、地方の戸建ては価格下がるからやめとけなど)

・買い替え時の住宅ローンや投資についての考え方(保有期間が10年未満でも頭金いれないで投資しろでいいのか、買い替え時のまとまった現金はどうするのか)

・短期保有(10年など)の場合の住宅ローン選び(固定手数料が有利、不利となるケース(計算すればわかるけど)

・短期保有(10年など)の場合の住宅ローンの借り換えメリット

 

近年の常識として、マンションオタクでなくても、マンションはライフスタイル変化とともに住み替えるもの(狭くても職場に近いマンションから、子供できたら実家近くやちょい郊外の広い家へ・・・など)になってきているので、買って35年返済し続ける前提での計算はリアルでない(35年ローンの返済期間は35年より短い。繰上げ返済もあるが、途中売却があるため。)ため、その前提での住宅ローンや投資のシミュレーションがあると面白いかなと。

 

まぁ、ぼくがそういう立場(買い替え勢)だからですが。

 

以上