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日銀が利上げ(0.1%→0.25%)を決定

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日銀が事前の予想に反して、そして、事前のリークどおりに0.15%の利上げを決定した。

 

金融市場調節方針の変更および長期国債買入れの減額計画の決定について

https://www.boj.or.jp/mopo/mpmdeci/mpr_2024/k240731a.pdf

 

事前予想では、9月にFRBが利下げをするのを待つのではないかとか、賃金や消費関連のデータを見極めるのではないかとか言われていたが、スパッと決定。

また、一回だけでなく、継続的な利上げを匂わせた。この潔さと会見でのタカ派発言に市場はビビって、会見後は一旦円高が進んでいる。

 

(賃金は大丈夫か?)

 

賃金については実質賃金はマイナスが継続しているが、2024年4月の春闘でぶち上げられた賃上げ計画が2024年度、着実に実施されていることを確認し、今後も上がっていきマイナス状態から脱却する(とはいえ、大きなプラスにならない)との予想から、利上げしても大丈夫という判断ということで、やや拙速感はあるものの、弱気と見られて円売りを誘発していた植田日銀がなぜかタカ派に変貌したということで円高が進んでいる。

 

政府としても賃上げに全力で取り組んでいるし、最低賃金も上げたということで、賃金は無理矢理にでも上げ続けるということ。ただ、JTCはケチであらゆる環境変化を賃下げに利用するデフレ根性が染み付いているので、「利上げでコスト増えるから過去最高益だけど賃下げしたろ」とならないかは心配されるところ。

 

今まで、JTCは生産性の伸びを賃金の伸びに反映させないこと、派遣を増やして賞与を出さないことで、目先の利益を確保してきたが、それでデフレと内需の縮小を招いてしまったし、持続可能でないし、本来軽蔑される行為であるという認識が必要。足元の課題は、すでに上がった生産性、利益を賃金に反映させること。

 

日本の場合、春闘での団体交渉が賃金決定要因の主因になっており、労働組合は不動産価格が高騰しているから賃上げしろとは要求できないが(出社を求めるなら要求してもいいと思うが)、食料品、電気料金、そして、金利が上昇することは賃金要求の正当な理由になるだろう。金利が上がった以上、来年度の賃上げは今年度以上の水準にすることが求められる。組合も経営も政府も今年以上に気合いを入れる必要があるし、政府は最低賃金の引き上げや賃金からの控除を減らす努力をするべきだし、岸田政権ならするだろう。実際やってる。

 

(住宅ローンは大丈夫か?)

 

短期金利の話をすると必ず話題になるのが、住宅ローンの変動金利の話である。これについて、植田総裁の会見では以下のような説明であった。

 

短期金利が上昇すると、短期プライムレートが多少上がる可能性がある。

・変動金利型住宅ローンは短期プライムレートを基準としていることから、変動金利が上昇する可能性がある。

・ただし、日銀は強い賃金上昇が継続していることを予想している。

・また、住宅ローンは5年ルールなどで支払額を固定されるものがあり、支払いは急には増えない。

・固定されている期間に賃金が大きく上昇するため、金利上昇に伴う家計への負担は軽減される。

 

既存のローンについて、短期プライムレートが上昇すると利上げされるが、金利引き上げ幅はわずかなことに加えて5年ルールもあり支払いは増えず、破綻はほとんど発生しないだろう。家計の実質的な負担を考えると、返済が変わらない期間に賃上げがどの程度行われるかが勝負どころ。この点でも、社会的に賃上げが何より大事であることを共有して、必死に賃金を引き上げていく必要がある。

 

新規のローンについて、0.3%程度の金利が0.5%程度に上昇する可能性があり、ゆるゆるの審査も厳しくなれば、住宅ローンが借りづらくなる(金額が減る、頭金が求められる、金利が上がる等)可能性があるが、銀行間の過当競争は変わっていないため、住宅事業者はローンが組みやすい銀行を必死に探してくるわけなので影響は限定的と思われる。また、一度ローンを組んでしまえば、名目賃金が上がっていく環境では、支払いはどんどん楽になっていく。

 

今後の利上げが気になるところだが、金利が上がっていくなら、あなたの賃金はさらに上がっていく。そして、利上げを心配している暇があれば、賃上げを実現すれば良い。手段は団体交渉でも転職でもいい。

 

(不動産価格は大丈夫か?)

 

住宅ローン金利が上がることの影響は、賃金上昇が継続している限りは限定的であるが、実はもっと影響が大きいのが不動産価格への影響である。

 

金利の先高感がある状態では、マンション購入予算を保守的にしたくなる。お金を借りられる人が借りないことで、購買力が落ちて購買力ベースで値段がついているマンションでは価格が下がる可能性がある。

 

ただ、これはどちらかというとカツカツで買っている郊外ではありえる話だが金が唸りまくっている都心ではあまり影響なさそう。現金で買う人も3割とか5割いる世界。

 

また、新築マンションも人気で20倍とかのマンションでは、買う人が少し減ったとしても売れ残って価格が下がるレベルにはならないだろう。

 

そもそも、新築マンションは高値で土地を仕込んで、高い資材価格、工賃で建ててしまっているので、急には価格は下げられない。不動産価格は優勝劣敗がはっきりして来るという感じだろうと思う。

 

もっとも、金利の上昇は不動産価格にプラスかマイナスかで言えばマイナスなのは間違いない。ただ、アメリカの例など見れば利上げの中で価格が上がっていくことも、あり得るわけで、価格に反映されるまでは時差もあるわけで、どこまで影響があるのかはわからない。株価のクラッシュによる影響のほうが大きいかもしれない。

 

(もはやデフレではない)

 

株価が史上最高値を更新し、賃金は大きく上がり、物価も上がり、もはや日本経済はデフレではないとずっと言われてきたが、ついに、金利もプラスになり、本格的にデフレを脱却したことが印象づけられた。

 

実質賃金がマイナスな中ではデフレ脱却宣言がしづらいが、今年後半にインフレ率が低下する中で実質賃金が若干プラスになり、デフレ脱却宣言がなされるのだろうと思う。

 

日本経済は強いわけではなく、コストプッシュでインフレしているだけだがそれでも賃金が上がったのは事実だし、今までになかった変化が起こってきている。

 

金利が低い状態は消費にも不動産価格にも良いが、足元の異常な円安を誘引してしまったわけだから、ずっとゼロ金利でインチキということにもいかない。

 

マイナス金利の解除から一歩前進したわけだが、この一歩は歴史的で非常に大きい一歩である。コストプッシュから、賃金主導、内需主導型のインフレに繋げていくことができるかどうか、ここ1、2年はとても大事になってくる。

 

ぼくたちは日本の歴史上の転換点、変化の起点、ワクワクする場所にいる。