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資産バブルにどう立ち回ればいいのか

株価と不動産価格にバブルの様相が強まっている。

 

株価バブル

 

上場企業の中間決算は、純利益が前期比で▲37.1%となった。この数字は4−6月期決算の▲56.5%よりは改善しており、業績予想を上方修正する企業も増えているものの、前期比で減益であり、残り2クオーターで増益に転じることはないだろう。

 

市場一部の加重平均PERは2018年末:13.1倍、2019年末:15.9倍に対して、2020年10月末:20.5倍とどんどん上昇している。純利益は2018年末:43兆円、2019年末:41兆円、2020年9月末:30兆円と減益傾向が継続している。

 

11月16日の日経平均は29年ぶりの高値をつけている。減益なのになぜ高値をつけているのか?来期以降の業績見通しも不透明である。再度ロックダウンの可能性もあるし、ワクチンが行き渡り、経済が回復するまでの期間は不明だ。

 

結局、企業業績と関係ない世界で、「日銀が買ってるから買い」「米株が上がってるから買い」「曲げ投資家がインバースETF買ってるから買い」ということである。給与が増えない中で株価だけが上がっているので盛り上がりに欠けるが、ファンダメンタルズと株価が乖離してしまっているということであろう。

 

要因は色々あるが、必ずファンダメンタルズに収束するのが歴史であるため、今の乖離は永遠に続くわけではないと思っていた方が良い。そして、ゆっくり上がって急速に調整するのが過去の歴史である。普通の判断力ではそこで逃げるなんてできない。

 

マンションバブル

 

楽待の投資用不動産のデータでは、投資用一棟マンションの価格は2016年から2019年にかけて低下してわずかだが利回りが上昇している。(表面利回り 2016年ボトム7.25%、2019年6月:8.15%)

 

ところが、投資用区分マンション価格は2016年末から緩やかな上昇基調となり、それにより利回りは低下傾向となっている。(表面利回り 2016年ピーク:8.39%、2019年6月:7.17%)

 

分譲マンションで見ても、価格上昇と利回りの低下は継続している。賃料も上昇しているものの、賃料以上の価格の上昇により利回りが低下している。CBREのアンケート調査でも期待利回りは低下傾向が継続している。ファミリー賃貸マンション(東京城南、城西)で4−4.5%程度とのことだ。

 

中古マンションを見ていても、成約ベースでは利回り4%台がほとんどだと感じる。4%だと収支トントンか赤字になることもある水準であろう。こうなってくると投資家の戦略は二つしかない。一つは値上がり(キャップレート低下や賃料の上昇)期待(自分よりも馬鹿な奴が後から買いにくることを期待)で、利回りを無視して物件を買う。もう一つは、利回りが高い相場と乖離した物件を見つけ出して買うことである。

 

日本は不動産バブルを経験しているのでその反省から派手なバブルには陥らないと期待されるが、どんどん下がっていく利回り、いつまで経っても上がらない賃金、低金利誘導する日銀、簡単に金を貸す金融機関、購買力による価格設定で上がり続けるマンション価格を見ていると、どう見てもファンダメンタルズと乖離している。

 

株価と同様、短期的にはファンダメンタルズを無視したモメンタムが継続することはあり得るが、歴史を見れば、必ずファンダメンタルズに収束するものである。

 

金融緩和バブル

 

株価とマンションのバブルは日本に限らず世界中で発生している。主因はどう考えても金融緩和であろう。ポピュリズム的な政策の中で、コロナ以前から世界中の中央銀行はバランスシートを拡大して、間接的に株価を支え為替を操作してきた。

 

金融緩和をしなければ、自国通貨がどんどん高くなってしまうので付き合いで緩和せざるを得ない。先進国は資産購入を加速、新興国政策金利の引き下げを加速させている。

 

日銀も白川総裁が聞いたら気絶するような非伝統的な金融緩和を行なってきている。特にやばいのはETFREITの買い入れであろう。債券と違ってETFREITは満期まで持ち切っても消えることがないので、ポジションとして残ってしまう。また、ETF(株)もREITも発行済み総数が決まっていて、有限のものである。有限のものが定期的に買い入れられて、在庫(流通株式数)がどんどん減っていく。

 

企業業績が悪化しても金融緩和があるから大丈夫、PERが上昇しても大丈夫。表面利回りがどんどん低下しても金融緩和があるから大丈夫。というチキンレースになっている。

 

バブルの継続

 

バブルはいずれファンダメンタルズに収束するが、一旦定着した上昇のモメンタムがすぐになくなることはないし、むしろバブルが先鋭化してくるとバブル崩壊前に大きく加速する。ビットコインバブルを覚えている人もいるだろうが、レイトマジョリティが参入して過去最高値をつけてから価格が下落した。

 

トレンドの転換を予想して取引するとトレンドが転換せずに死ぬことはインバースファンドで相場に挑んだ人が説明してくれた。短期的にはバブルは継続して、むしろ先鋭化して、それから崩壊すると考えていた方が良い。

 

つまり、株価や不動産価格が前年比で数十%あげたくらいでは崩壊せず、明らかに尋常ではない水準、たとえば2倍3倍になってから崩壊するというものである。

資産価格は上昇か横ばいか下落しかないが、短期的にはモメンタムが継続し上昇であろう。

 

 

バブルにどう立ち回るか(最後まで付き合わない)

 

日本が本格的なバブル崩壊に陥ったのは、不動産バブルの崩壊とリーマンショックによる株価の崩壊の2度であろう。いずれも、利回りやPERを無視した資産価格の上昇によって引き起こされており、現在の相場も似たような危険性を感じる。

 

過去2回のバブル崩壊ではどのように立ち回るのが正解だったか?相場を読める神なら、バブルが崩壊するまでは全力ロング、崩壊したら全力ショートすれば良いがピンポイントでバブル崩壊を読める人は神しかいない。となると、転換点は完全にはわからないという前提での立ち回りになる。

 

ただし、バブル崩壊のメカニズムを見ればバブル崩壊の兆候はなんとなくは分かるという考え方もある。

 

資産価格が上昇していく中では、どんどん買い手が減っていき、最後の買い手が買ったところでバブルが崩壊する。その直前に、「バスに乗り遅れるな」というパンピーが参入して大きく価格が加速する。

 

このパンピーの参入を契機に資産を段階的に現金化していき、リスクを減らしていくという戦略があり得る。ビットコインであれば例の「寝てるだけでお金が増えていく」という姉ちゃんが出てきたところである。

 

マンションの場合、「マンションは買ったら上がるもの」とみんなが考えだしているのは危険な兆候ではあるが、一方でペアローンの利用率はまだ高くないのではないかと考える。

 

ぼくの場合もペアローンには抵抗感がある。転売目的でない場合、ペアローンにより長期に渡ってキャッシュフローが拘束されることは重い。これを、現在の変動金利に対する考え方「金利は上がらないから、変動金利で借りるのが常識」のように、「マンションは価格が上がるから、ペアローンで買うのが常識」となってきたらやばい。逆に言えば、こうなるまでは価格上昇余地があると考える。

 

パンピーが参入すると大きく価格が上がるのだが、欲をかくとそのごのバブル崩壊に巻き込まれるので、ここの利益は捨てる覚悟でバブルに最後まで付き合わずに、リスク管理をするのが一つの立ち回りであろう。

 

バブルにどう立ち回るか(致命傷を負わない)

 

不動産バブルで死んだ人を見ていると、地方やリゾートの物件を買って、その後売れなくなったケースが多いようだ。都心の物件も半額以下になったが、一応処分はできるし、何十年も粘れば回復する。地方の物件は待っても回復しない。

 

大きな借金で買う以上、価格が暴落したら大きなダメージを受ける可能性がある。これを避けて、致命傷を負わないためには、利回りや流動性が確保された物件を買うことであろう。マンションバブルの昨今、利回りは低下しているが、妥協せずに探せば5%、6%のものも見つかる。利回りが低くても流動性が確保されれば一撃で致命傷になることはない。

 

バブルにどう立ち回るか(気にしない)

 

タイミングでリスクを減らすとか、致命傷を負わないとか難しいからできそうにない、という人はリスクを負いすぎずに、バブルなんて気にしないという立ちまわりもあり得る。郊外の2000万円の戸建ては価値がゼロになっても気にならない。JKKや URで相場より安く賃貸で借りている人もバブルなんて関係ない。

 

信用取引や住宅ローンなどの借金がなく現物で株を積み立てている人も、別にバブル崩壊しても持ち続ければいいし、なんなら平均取得単価がどんどん切り下がっていくのでバブル崩壊したほうがありがたいくらいである。

 

まとめ

 

金融資産の場合、リスクを減らすとか現金化するとかは容易であるので、自分の好みによってバブル崩壊まで付き合うもよし、逃げるのもよし、気にせずに積み立てていくのも良い。自分のメンタルと資金需要、投資期間を考えながら最適なものを選択すれば良い。

 

不動産、特に居住用のマンションの場合、このような柔軟な対応ができないし、仮にバブル崩壊を予見できたとしても生活があるので売り抜けることはできない。したがって、バブル崩壊まで付き合わないということは難しい。バブル崩壊したとしても致命傷にならないよう厳選した物件を余裕を持って買おうということになる。

 

 

 

 

 

 

 

ユニクロ×ジル・サンダー祭り参戦記

+Jプロジェクト

 

9年ぶりとなるユニクロジル・サンダーのコラボレーションのプロジェクト、+Jが2020年AWから復活すると聞いて、迷わず買いに行った。

 

最近は、欲しいものを1品決めてからそれを買いに行くことが多いので、一連の商品群を見て判断する能力が弱っていたが、ファッション系Youtuberたちが「この商品は即完間違いない」「この商品は使いやすい、使いにくい」「これを重ね着するべきだ」「この商品はメインラインのこれとサイズ感が同じだ」「この商品は転売屋が殺到する」と解説していた。今の時代、どんな世界にも素人向けに解説してくれる人がいるものだ。

 

ユニクロ系Youtuberは激戦区なので、人気の人、生き残っている人の説得力、プレゼン力は高いと感じた。ファッション村だけではなく、一般人がスッと理解できる言葉でマニアックなことを解説してくれる。

 

ぼくは昔、+Jのシャツを買ったことがあり、良い印象を持っていた。尖りすぎないが細部に拘ったデザイン、安心の品質と価格、サポート(返品など)。ユニクロは今までも著名なデザイナーとのコラボを行ってきているが、あまり大失敗というものはなく、上手であると思う。ロゴつけて価格上げて終わりとかじゃない。実際に、デザイナーがどこまで関与しているのかはわからないが、まぁデザイナーとしても爪痕を残したいだろうし、独自色があってなかなか楽しい。

 

+Jのプロダクトはベーシックかつトレンドらしいフォーマルなものが多かったが、LOOK BOOKを見ると、カジュアルダウンして着ることを提案しているようだった。スーツとして買いに行くという人もいるだろうが、多くの客は私服としてフォーマルなジャケットを着ることを想定しているようだった。オシャレだねぇ。

 

お祭り騒ぎ

 

昨今のテレワークや服装のカジュアル化で、服を買う機会はどんどん減っており、なんとなく盛り上がらないなと感じていたところに、この+J祭りが開催され、ぼくは久しぶりにネットで色々調べて、開店前から店舗に並んで買いに行った。どれが良いか考えたり、買えるかハラハラしたり、服を買うだけなのにワクワクした。久しくこんな感じはなかった。

 

店舗には大行列ができており、感染対策のために整理入場をしてはいるが熱気が凄かった。服好きな人も多かったようで、ジル・サンダー(風)の全身ブラックやモノトーンの服装の人がたくさん並んでいた。確かに、服を買いに行く時はおしゃれして行くし、スーツを買うときはスーツを着て行くものだ。久々にそんなことを思い出した。

 

店舗の盛り上がりかたは異常で、冷静に考えるとオーバーなものであった。普段から買ってない人も参戦しただろう。+Jのプロダクトは安いが、それでもセットアップスーツを2着買えば6万円だし、話題のロングダウンやブルゾン、シャツ、小物類も買えば10万円コースの人も多かったと思う。普段、そんなにお金を使わない人もガンガン課金していた。熱狂である。

 

転売制限のためか店舗では1人5点まで。ネットでは1人1商品までの購入制限がなされたが、この制約も盛り上がりを加速させた。5点縛りの中でどれを買うと最も幸せになれるのか?と議論が盛り上がり、すでに術中である。ただ、それもわかっている。わかっていてあえて踊らされたいのである。自粛続きでこのような盛り上がりは久しぶりだ。

 

ぼくは普段は並ぶのは嫌いだし、混んでいる場所は好きではない。ただ、今回の+J祭りは大いに楽しませてもらった。なお、+Jは男性の方が女性よりも人気だったらしい。男性は使いやすい品が多かったからだろうか。

 

冷静になると、黒い服ばっかりの商品群でよくあんなにお客さんが殺到するものだと思う。ユニクロだから品質に対する安心感はあるが、超高品質というわけではないから、デザインに対してお金を払いたい人が多いんだろうか。ジル・サンダーという名前に惹かれているのだろうか。

 

買ったもの

 

結局、ぼくはセットアップのジャケットパンツ、バナナシルエットのチノパン、スーピマコットンシャツ、タートルネックニットを買った。店舗とネット合計で10万円コースである。オーバーサイズの商品は試着したが、着こなしが難しい感じがしたので買わなかった。買ってたら+5万円コースだっただろう。コートもいろいろ持っているので買わなかったが、買ってたら+5万円コース。

 

家に帰ってから着てみても満足度が極めて高い。特にスーピマコットンシャツは着心地が良いしデザインも良くて毎日着られるので3着くらいかっておけば良かった。安いからガンガン着れるし、在宅勤務でカジュアル一辺倒になってしまうところ、シャツ、ジャケット、パンツを日常的に着るのも、服装のレベルを引き上げてくれるので良い。

 

シャツはまた入荷したらポチるかもしれない。店舗の人は追加入荷はしない予定と言っていたが、こんなに爆発的に売れるならベーシックな商品は多少足してくれるのではないか。

 

セットアップのジャケットは2万円なので流石に10万円とかするものには劣るが、世のほとんどのオッサンが着ているものより上質に見えた。下手な装飾をせず、細すぎない太すぎないサイズで、シワなどなくパリッと着ることが大事なのだろう。また、価格が不相応に高すぎないことも大事なのだろう。スーツをきちんと着こなしている人は少ないように思える。スーツがユニフォーム化してしまっていて、イヤイヤ着ているからではないか。それならダサいから着ない方が良いと思う。

 

買えなかったもの

 

試着したかったが店舗になかったものは、ミリタリー風のブルゾン(黒)とダブルジップのニット(マルジェラ風のやつ)、ベルト類である。これは本当に瞬殺で、朝一に並んだ人以外は買えなかったんじゃないだろうか。こう考えると買いたくなってしまい、他ブランドで似たようなのをポチった。

 

祭りの後の寂しさ

 

冷静になると、+Jの商品と似たような商品はセレクトショップや他のブランドでも入手可能なものが多い。フォーマルなものだから似てくるのと、定番品のパクリみたいなものも含まれている。

 

著名なデザイナーとのコラボだから多少尖ったものを買っても失敗はあるまいという期待感、ユニクロだから品質と価格に問題はないだろうという安心感があり、昨今の自粛があるので、リベンジ消費的に爆発的な祭りとして盛り上がった。

 

前述のとおり、踊らされているというより、踊らされられたい人たちが集って、みんなでみんなを盛り上げていた。これが今回の+J祭りの実態であると思う。

 

祭りが終わって寂しいが、戦利品が残った。クレーンゲームで取る人形と同じで、実は楽しいのはプロセスではないかと思う。なんとなく店舗で見つけた商品ではなくて、自ら事前に調べて、苦労して手に入れたものは愛着が湧く。

 

ユニクロは自社商品はライフウェアであると自称している。今回の+Jの商品はまさにそのような商品で、低価格ながらちょっと気の利いた素材やデザインを多くの人に安い価格で提供することで、ファッションガチ勢ではない普通の人の日常的なファッションレベルを底上げするものだと感じた。

 

今回の+Jはある種の熱狂、祭りなので、冷静に服が欲しい人は他のブランドも含めて比較検討するのが良いと思うが、祭りに参加したい人にとってはワクワクするイベントであった。ぼくは十分楽しませてもらったので、また祭りがあれば参加したい。服を買うだけならネットでポチればいい。プロセスでワクワクしたいのだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

住宅ローンの目的外利用はキモい

某ブログで、住宅ローン3本借りるスキームについて載っていた。

 

曰く、

・まず、メガバンクで借りる。何年か住んだ後、銀行に適当な理由をつけて(またはダマで)貸し出す。

・次に、住宅ローンで貸してる場合には残債を見ない銀行(楽天銀行)で借りる。何年か住んだ後、銀行に適当な理由をつけて(またはダマで)貸し出す。

・次に、民間ローンの残債を見ないフラット35で借りる。銀行に適当な理由をつけて(またはダマで)貸し出す。

・貸してる3軒のキャッシュフローで賃貸を借りる。なお、夫婦で同じことをやれば投資用マンションを6軒買える。しかも賃貸が回れば手出しはゼロ。

・賃貸が空いたらそこに住民票を移してから、3000万延控除を使って売却して利殖する。(賃貸のキャッシュフローに加えて、残債の減少ペースが経年減価を下回ればお金が返ってくる。)

 

フラットスキームは、フラット35の不正によって一応潰されたが、住宅ローンで貸してる場合には実質残債を見ない銀行はまだあるので、2軒はいけると思う。さらに、残債を見ない銀行を探せば3軒行けると思う。グレーなのは、住宅ローンで借りながら賃貸に出すことだが、これもコロナを理由に銀行に説明すれば余裕と転売屋が言っていた。

 

さて、これを見てどう感じるだろうか?やってみたいと思うだろうか?ぼくは気持ち悪い点が3つある。

 

・銀行に嘘をついて(またはダマで)、住宅ローンで賃貸に出すことが気持ち悪い。

・住宅ローンの目的外(投資目的)利用であり、気持ち悪い。

・残債を見ない制度のバグを悪用して利殖するのが気持ち悪い。

 

会社都合転勤ならわかるが、ずっと近いエリアに住みながら住宅ローンで賃貸に出す場合、嘘の転勤をでっち上げるか、介護だ転校だなんだと言うか、コロナで減収しそうというか、要は嘘の理由をつけて銀行を納得させる必要がある。銀行側も一括返済されてしまうと収入がゼロになるので甘く見ることがある。

 

不動産業界ではその他の業界(例えば証券業界)に比べて規制が緩かったり、グレーなものが多い。これに味をしめて不正ギリギリ(アウト)なことをする人もいる。調査さえ入らなければ、ほぼノーリスクで儲かるからである。また、「ルールの粗を探して儲けて何が悪い!」という人がいるが、ぼくは真似してはいけないと思う。これは倫理感の問題であろう。

 

投資がしたければ投資用ローンでやるべきである。自宅買い替えの時に一時的に残債を見ない制度を悪用して、無期限で貸し出して利殖するとか、さらにフラットでもう一軒買うとか、どういう神経なのだろうか。良くわからない。

 

また、銀行と借り手の相対契約なんだから、双方合意してりゃいいじゃんというが、その感覚も「ルールの粗を探して儲けて何が悪い!」論と同じで共感できない。住宅ローンの目的外利用はキモいのである。

オレのタブレット論

ぼくはタブレット老人会なので、iPadが日本に入ってきた頃から何かしらのタブレットを使っている。

 

初代iPad の衝撃

 

ジョブスのiPad のプレゼンテーションは衝撃的で、iPadというネーミングも相まって、大きなブームとなった。「ノートPCは時代遅れだ。これからはタブレットだ」という特集が組まれたり、ノートPCを排除したという会社が話題になり、テレビが取材していたりしていた。また、書籍を電子化することがブームとなり、裁断機やスキャナーが売れたりしていた。

 

「どのように使えるのかわからないが、とにかく買おう、使いながら使い方を考えよう」という興奮っぷりであった。iPhoneはジョブスのプレゼンでもあった通り、革新的な電話として用途が想像できるものだが、iPad は新しいジャンルであり、使い方がわからないことにワクワクしていた。

 

初期のアプリは劣悪で、コンテンツはなく、ただの板だったのだが、それでも、ノートPC以上の軽快さでキビキビ動く美しい端末で、写真を見ることに興奮したことを覚えている。その後も、iPad2で正当に進化を遂げて、どんどん洗練されてきた。Androidタブレットが出てきたが、iPadに比べると一世代遅れているという感じで、ユーザーエクスペリエンスに大きな差があった。

 

多種多様なタブレット

 

初期のタブレット市場は夢があり、多くの会社がタブレットを投入していた。印象に残っているのが、ソニーである。ユニークな形状、サイズでタブレットを出してきた。ハードウェアとしては魅力的だったが、ソフトウェアがイマイチでiPadに比べてしまうとイマイチという感じだった。造形の美しさは飾っておくだけなら良いのだが。

 

タブレットPCは板なのでどのメーカーも似てきてしまう。iPadが強すぎる中で差別化を考えるため、7、8インチのサイズのタブレットが投入されていた。NexusAmazonタブレットが印象的だった。また、書店もiPadに客を奪われないように独自のタブレットを販売していた。黎明期の活気があった。

 

クソ端末もいくつか生まれた。最も酷いのはWindowsタブレットであった。Windowsはそもそもタッチ操作に適していないが、強引にOSを少しカスタマイズしたものをタブレットとして出していた。これは使用感や独自仕様が苦痛すぎて話題になっていた。

 

この頃、ガジェットのレビューをYouTubeにアップする人たちが生まれた。YouTubeは有償プランはなかったため、完全に趣味である。今のように商業商業した臭い場所ではなく、純粋に趣味の人が集ってきていた。

 

スマホタブレットもクソ端末が多い時代だったので、地雷避けとして有益であったし、逆にクソ端末を集めてもり上がっていた。今のように、すぐに転売するなんてこともなく、タブレットを何台もコレクトして比較するのが誇りであった。

 

洗練されていくタブレット

 

混沌とした初代が終わり、タブレットPCの使い方、限界が見えてきた。タブレットPCは作業するには適さず、コンテンツを消費するためのものであった。このため、こうした用途に特化する端末が2代目、3台目として登場した。特に洗練されていたのはソニーXperia tabletであり、防水と軽量、美しい画面で、iPadを上回っていた。素晴らしい端末だったがあまり売れなかったようで、その後自然消滅してしまったのは悲しい。

 

iPadのソフトも充実してきて、商品として洗練されてきた。ただし、スマホと異なり、進化のスピードはそれほど早くなかったため、比較的早く成長限界に到達してしまった。満足のいく商品に仕上がってしまい、買い換える意欲が湧かなくなったのだ。

 

iPad  Proの衝撃

 

iPadの登場時に比べると地味だが、iPadProの登場は衝撃であった。タブレットPCなのにキーボードを連結して使用するもので、「ノートPCとスマホの間のノートPC寄り」の存在である。また、多くの会社がタブレットは儲からないから撤退したり、7、8インチのお手頃な端末に注力する中で、11、13インチとサイズアップしたことも衝撃であった。

 

ぼくは初代iPad Proは見送ったのだが、使用している人の満足度は高かったようだった。iPad ProはタブレットPC本体よりも、実はキーボードが革新的であった。Bluetoothのキーボードは多く出ていたが、ダサかったり、充電やペアリングが必要で使用感が苦痛であった。また、カチャカチャうるさくて使用に耐えないものも多かった。そんな中で、薄くて軽くてタイプ音が小さいキーボードは差別化されていた。

 

また、タイプC充電に対応したことも衝撃だった。もはや、iPad Proに不満はほとんどない。強いて言えばiOSの限界で、細かな設定がしづらいためAndroidタブレットの存在意義はあるが、iPad  Proは価格は高いが満足度は高いアップルの良心と言える。

 

これからのタブレット

 

残念ながらタブレットPCは成熟とともに買い替え周期が長くなり、iPadが強すぎることから他のメーカーがあまり投入せずに市場が盛り上がらない。特に、華為が制裁で沈んでしまうと、Androidのハイエンドタブレットはほぼサムスンしか選択肢がない。サムスンも日本国内ではあまり売れないからか、キーボードを日本では投入しないようだし、日本語キーボードも販売しないようだ。この状態から状況を覆すのは難しいが、AndroidiPad Proに対抗できるハイエンドな機種が出てくることを期待している。

オレのスマホ論

ぼくはスマートフォン老人会なので、iPhoneが日本に入ってきた頃から知っている。

 

ソフトバンク一択時代

 

iPhone3GS時代、格安SIMなんてものはなく、iPhoneソフトバンクでしか使えなかったから、ぼくはソフトバンクを使っていた。

 

当時のソフトバンクは回線の品質がとにかく低く、旅行で田舎に行くとすぐ圏外になるし、スキー場は圏外だし、都市部でも地下鉄や人が多いところは通信が途切れる。それでも、iPhoneを使えたければソフトバンクしか選択肢がなかったから、ソフトバンクを使っていた。当然、テザリングなんてものはない。

 

当時、Androidは明らかにiOSに劣っていて、端末もイマイチなのが多かった。尖った端末は多かったが、iPhoneはさらに尖っていてイノベーションを牽引していた。昨今、多くの機能はAndroidが先行しており、iPhoneがパクっていることが多いが、この時代はiPhoneが意欲的な機能を追加して、Androidがパクっていた。AndroidiOS劣化コピーのようなものが多かった。

 

この頃はジョブスが健在だったし、iPhoneiPadが出てきて、アップルはチャレンジャーであり明らかに輝いていた。ぼくはiPadのプレゼンテーションを見て感動して、1番最初に予約しにいったのを覚えているし、iPhoneの新型が出ると行列が起こっており、輝いていた。iPhoneも今ほどダサくなかった。デザインへのこだわりが異常だった。ジョブス後は出っぱった背面カメラ、前面のM字ハゲ、オタクっぽいい背面の複眼カメラと、機能と引き換えにどんどんダサくなってしまい、初期のiPhoneのファンには耐えられないものがある。

 

MNP時代

 

ソフトバンクiPhone に全経営資源を投入しており、強引な値引きをしていた。コスト的にもソフトバンクiPhoneを買い替えていくのが合理的であった。その後、KDDIもドコモもiPhoneを出してきたり、端末のリリース期間が短期化、高価格化していった。

 

各キャリアの地獄の値引き合戦で、最も安くiPhoneを使う場合、キャリアをMNPで切り替えていくのが合理的となった。あまりにも強引なキャンペーンが多いので、MNP乞食が生まれた。今で言う転売屋とかマイル乞食とかGoTo乞食のハシリである。ぼくはそうした行為はしたことはないが、割賦がなくなり、解約料が掛からなくなったタイミングで他のキャリアに乗り換えたりしていた。

 

さて、この頃、ぼくは海外に行っていたのでキャリアを解約した。割賦と解約料金を払った。帰国後、ドコモに行ったらMNP価格に比べて新規契約の価格は信じられないほどの高さだった。(なお、機種変更はさらに高い)

 

SIMフリー時代

 

馬鹿馬鹿しくなり、ぼくはキャリアを使うのをやめてSIMフリーの端末を買って、格安SIMを契約することにした。この時の判断は正解だったと思っている。総務省はキャリアの複雑怪奇な料金体系や過剰なインセンティブを是正させようとしたが、その度にキャリアはさらに複雑な料金体系や顧客利益を損なうプランを次々と考案して利益を確保した。ぼくはキャリアが「イノベーション」と言っても一ミリも共感しない。クソ料金プランを生み出すのに全エネルギーを使っていて、イノベーションはない。土管屋としては良いが。

 

なお、SIMフリーを一度経験すると、それ以外は不自由なゴミに感じられる。SIMを差し替えればすぐに使えるので、挑戦的な端末をさっと試して、ダメだったら元に戻すとか、そういったこともできるのである。お金が高くてもSIMフリーが至高である。

 

キャリアのプランを利用(悪用)して、MNPで最も利益の出る方法で乗り換えていけば最もコストが安くiPhoneを使うことができたが、「どうすれば最も得に使えるか」とを考えている時間が無駄だった。また、iPhoneにも飽きた。イノベーションが停滞してほとんど変化を感じなくなった。iPhoneは素人向けの退屈で使いやすい端末になった。らくらくスマホの一種であった。

 

Androidサムスン一強だったが、サムスンイノベーションを牽引していた。例えば、画面のサイドにディスプレイを配置して機能を持たせたりしていた。これは使い勝手としてはイマイチであったが、見た目はカッコよく、こうした挑戦的な機能をフラッグシップ機に載せるなど明らかに攻めていた。防水にも対応してお風呂でも使えるという強みがあった。

 

さて、SIMフリーの中でもIIJを選んだのだが、通話の品質はイマイチだった。一方で、通信はほとんど不満はなかった。安いプランだと通信容量が足りなくなったことがあったが、最上位のプラン(月額3000円くらい)に変えてからは上限に達することはなく、通信速度も問題ない。しかも何故か同じ料金なのにどんどんサービスがリッチになっていった。通信容量の上限がどんどん引き上げられ、使えるSIMの枚数が増え、手数料や解約料が無くなった。

 

キャリアが自社利益のことしか考えないサービス改悪、複雑化を繰り返している中で、IIJはサービスのシンプル化、顧客志向のサービス強化を繰り返していた。これは利用者としては心地よいものであった。料金が変わらず、「ここを変えて欲しいんだよな」ということがスピーディに改善されていく。なお、MVNOに参入したが、安いだけの業者はイマイチであった。

 

この頃、キャリアの安回線(電話)とMVNOの通信回線(通信)に切り分けるなどして使う人もいたが、管理が面倒だったので、ぼくはIIJに全て寄せた。メインとして使えるほどサービスが成熟してきたということだろう。

 

中華スマホの台頭

 

スマホiPhoneとGALAXYに集約されてきた中で、一気に切り込んできたのがファーウェイである。複眼のスマホを投入し、その後もベゼルレス、ミッドレンジなど意欲的な端末を短期間に投入しまくっていた。GALAXYはiPhoneに比べれば面白い端末であったが、価格がiPhone並みに高くなり手を出しづらくなった。そこにまぁまぁ低価格で高機能なファーウェイの端末はコアなスマホファンから称賛された。

 

ファーウェイの端末は荒削りで、GALAXYに比べると完成度が低く、防水などはなかったが、iPhoneやGALAXYにはないユニークな機能を次々と投入しており、中国のイノベーション力の強さを感じさせられた。中国国内では次々とスマホメーカーが生まれて、その中で生き残ったメーカーは世界最先端の実力を持っていた。

 

その後、華為のみならず、Xiaomi、OPPOなど、グローバルなスマホメーカーがどんどん台頭してきた。最初はiPhoneやGALAXYのパクリだろうと笑われたが、パクる速度が速すぎて、あっという間に追い越した。今や、イノベーションはほとんど中華スマホメーカーが生み出し、中国国内でそれをパクりまくってブラッシュアップして、それを国外に持ち出すという形になっている。それからiPhoneやGALAXYがパクる。

 

例えば、Xiaomiはベゼルレス化の中で、自撮りカメラを画面の下の角に配置したMi Mix2という端末を出したが、スマホの上部にある目障りなカメラをなくすことでストレスがなくなり、デザインの先進性は素晴らしいものがあった。実は自撮りが使いづらかったがロマンがあった。中華スマホメーカーたちは速攻でパクリ、 ○○Mix2という名前の端末を出した。Mix1がないのに。

 

画面内指紋認証、ポップアップカメラによる顔認証など、画面内からカメラを追い出す仕組みをたくさん考案していった。精度が低かったり、荒削りの機能も多いが、とにかく挑戦的で新しいものが好きな人にとってはたまらないものだった。一方、iPhone、GALAXYは停滞しており、音声案内などの要らない機能が追加され、設定は副複雑化し、見た目はダサくなり、価格は高くなった。

 

中華スマホはバンドが対応していると言いながら対応してなかったり、上級者向けであったがコアなファンは香港や上海まで行って買ってきたり、Gearbestなどの通販で買ったりしていた。黎明期の市場の面白さ、エネルギーを感じた。買ってすぐ使えなくなったボロいやつもあったし、iPhoneやGALXYを上回る使い勝手のスマホもあった。混沌としていた。

 

グローバル化

 

以前は、海外で携帯を使うとキャリアのスマホの海外ローミングという超絶割高なサービスを利用するしかなかったが、現地でSIMを買って指すというのが一般的になってきた。言語が苦手ならAmazon渡航前に買っておくこともできる。

 

これを経験した人ならわかると思うが、海外ローミングよりも非常に快適である。安いし、通話もできるし、LINEも使えるし、Googleマップも使える。こうなってくるとキャリアのロックされたスマホはクソすぎるということに気がつく。海外に頻繁にいく場合、SIMフリーじゃない端末はゴミである。普段使ってない端末を持っていくのも面倒だし、SIMフリー化の手続きをするのも面倒。

 

この流れに乗って、グローバルなスマホメーカーは「グローバル版」として多くのバンドに対応したSIMフリースマホを出しまくった。日本からでも通販サイトで簡単に購入できるようになった。中華スマホの品質も上がり、故障することがほとんどなくなり、修理交換ができる業者もあるため、以前より安心して購入することができる。

 

国内キャリアがSIMロック、2年拘束というクソ慣行だったうちに、どんどん世界が変わってきた。もちろん、アメリカでもSIMロックが条件の割引プランはあったが、割引の幅はそんなに大きくなかった。日本市場は明らかに化石であり、キャリアの利益最大化のための市場だった。これが日本のスマホメーカーの海外展開を遅らせたというが、まぁそれだけが理由ではないと思う。

 

これからのスマホ

 

トランプの華為制裁で、ファーウェイのスマホではGoogleのサービスが使えなくなっていく。これはさすがに厳しく、ファーウェイのスマホを買うことは無くなっていくだろう。一方で、引き続き、イノベーションは中国が起こすことは変わらないだろう。

 

iPhoneやGALAXYは安定的に高品質、高価格の退屈な端末を出していく。今ぼくは、iPhoneを通話やLINE用に、中華スマホ(ONE PLUS)をそれ以外用に持っているのだが、当面はこんな感じでいくのかなと思っている。iPhoneだけだとすぐ電池が切れるので心配ということもある。

 

ダブルSIMダブルスタンバイのスマホも増えてきたが、そもそも、オールインワンのスマホがないので、2種類持つと最強である。一方で、MVNOの品質向上、キャリアはもう存在意義が無くなっていると感じる。

 

中華スマホのスペック番長はiPhoneをはるかに上回る性能を持っている。使っている中で、動作の安定性はiPhoneが高いのだが、スペック番長スマホは重いページを開いたり重い動作をしたときにスペックの高さでゴリ押ししてくれる安心感がある。また、Android特有の細やかな点まで設定ができる気持ちよさもある。

 

よって、多くの場面においてはAndroidを使いたいのだが、一方で、AndoriodはOSをメーカーがカスタマイズして使っているためなぜか設定しても、通知がオフになったり、変な動きをすることがある。誰でも簡単に使えるのはiPhoneであろう。

 

GALAXYは品質が高く、折り畳みできるスマホにも挑戦するなど面白いが、さすがに20万円となってくると買う人はかなり限られる。ファーウェイが厳しくなったので、Xiaomi、OPPOあたりにイノベーションを期待している。

 

 

 

 

 

半住半投の転売屋目線でのマンション購入のポイント

マンション高騰の中で、完済前提では買えなくなった人が転売前提で購入することが増えているように感じる。

 

頭金を極力入れないことが善のような議論も聞くし、住宅ローン減税ではなく3000万円控除を取るべきのような議論も聞く。

 

以前、アップルタワーの登記簿を全部取って分析する雑誌の企画があり、「新築時に購入して10年以上ずっと住んでいる人がほとんどであり、意外と転売屋や投資家は少ない」ということであったが、その後の激しい価格上昇の中で、「転売前提じゃなければ買えない」人が増えて、結果的に転売屋が増えているのではないかと考えている。ぼくも坪400万円の物件を掴んだらいずれかのタイミングで売却することが前提になってしまう。

 

この現象が、湾岸タワマンの住人が近年、異常に資産価値、資産価値とうるさくなった原因ではないかと考えている。以前は、眺望が良いとか、街が広々しているとか、地域イベントが行われたとか、そういった生活面の話が中心だったが、近年は何があってもすぐ「BRTができた!資産価値上がる!、高級車が止まってた!金持ちが住むようになった!アップサイドある!花火が上がった!花火が見える部屋の賃料が上がる!」であり、気持ち悪いし、うんざりである。

 

同じマンションに10年、15年住む前提であれば、目先の資産価値など些事だが、数年先に売る予定であれば気になる。また、居住期間が短期化すれば、地域のイベントや長期間かけて取り組むプロジェクト(保育政策、大規模修繕など)に関心がなくなる。

 

以前の記事で、実需と転売と投資の立場からマンション購入のポイントについて書いたが、より転売屋目線でのマンション購入について掘り下げてみたい。

 

 

転売屋と投資家の違い

 

この記事の中で、転売屋という言葉は、半住半投の前提の人、住宅ローンを完済する前提ではない人を指している。投資家は自らが居住せず、即転又は数年賃貸に出してから売却する人のことを指している。当然ながら、転売屋と投資家は似ているようで大きな違いがある。自分でその物件に住むかどうかということである。

 

自分で住まないのであれば、住宅の場所、広さ、品質は関係なく、最も儲かる物件を購入することになる。必ずしも優れた物件である必要はない。儲かる物件であれば良い。転売屋の場合、短期間とはいえ実際に居住するため、住宅のサイズや品質に制約がある。60平米2LDKが儲かると思っても、4人家族で60平米は厳しいであろうし、物件の場所についても通勤や通学に制約を受ける。

 

 

転売屋の保有期間

 

5年以上同じ物件に住んだことがないと豪語する人もいて、実需層からすればドン引きであるが、これは転売屋界隈では一般的であろう。転売屋から見た保有期間は、3年、5年、10年が一つの区切りになる。3年の場合、3000万円控除を使って転売、5年の場合、固定資産税の当初優遇が終わり、譲渡益課税の税率が下がったところで転売、10年の場合、住宅ローン減税を受け切ってから転売である。

 

保有期間が3年となってくると、住み始めたと思ったら(あるいは住み始める前から)次の物件を探していないといけないので、常に自分の物件がいくらで売れるのか気になって仕方ない。その結果、「常に資産価値、アップサイドばかり言ってるキモいおじさん」になってしまうのであろう。

 

 

転売屋目線での購入のポイント

 

新築マンションの場合、転売益の源泉は、相場の値上がりと価格設定の歪みである。相場の値上がりは環境次第だが、一般的に再開発だと上がりやすい。歪みはデベロッパーの社内の論理でつけた価格と中古になった際の価格の差である。

 

相場の値上がりについては、デベロッパーが設定する価格に織り込まれていることが多いが、「出来上がってみたら思ったより良かった」ということで値上がりすることが多いので、再開発の一発目案件や住商一帯開発などは転売屋から見れば収益のチャンスが残されている。こうした物件には転売屋が集ってきてしまうので実需層が買いづらくなる。本当にそこに住みたい人からすれば迷惑な話である。

 

価格設定の歪みについては、不人気な方角(前建てあり、日当たり悪いなど)は大幅にディスカウントされた価格になっているが、中古になると方角による価格差は小さくなるので、坪単価でもグロスでも最安のものを買っておくと値上がりする可能性が高い。それ以外にも、ランドマークが見えるかどうか(見えるのに価格差が小さければ買う)、前たてを抜けてくるか(抜けるのに価格差が小さければ買う)、階数差による価格差の大小(小さければ上を買う、大きければ下を買う)、中古との価格差(価格差が小さければ買う)など様々なポイントがある。

 

 

使用価値と資産価値

 

転売屋とはいえ、実際に居住するため使用価値はある程度重要になる。

 

使用価値を高めるためにオプションに数百万円かけても中古になると評価されない。評価ゼロではないが、例えば500万円オプションを追加しても、売値が200万円高くなるかどうかといったレベルである。方角や広さや眺望の影響の方が大きい。となると、転売屋としてはどの程度のオプションを追加するのかは迷うところであろう。実際、転売される住戸を見ていると、ほとんどオプションをつけてない住戸が多いように感じる。コンロとか異常にしょぼい。

 

眺望についても中古になったときには問題ないものでも、自分が気になるものをどう考えるかなど、使用価値と資産価値の間で揺れることになる。まぁでも、居住期間が3年なら、仕様や眺望もそんなに気にならないのではないか。それよりも、いくらで売れるのかが気になってくる。居住期間が10年なら、仕様や眺望に拘ろうと考えるのが普通だろう。

 

 

実需層にとっての資産価値

 

転売屋でなくとも、資産価値は重要なものだが、転売屋とは着眼点が異なる。10年以上住む場合、目先の価格設定の歪みはあまり重要ではなく、高くともQOLを高められるか?が最も重要になる。実需にとっての資産価値とは「差益が取れるか」ではなく、「良いものが正当に評価されるか」である。

 

株式投資で、「中長期のインベストメントか短期のトレーディングか」という言葉がある。中長期の場合、会社が生み出す利益や配当が利益の源泉になる。短期の場合、市場の需給、感情、割安さなどが利益の源泉になる。似たような概念で、実需層にとっての資産価値は、その物件のファンダメンタルズが中長期的に高いかどうかであり、転売屋にとっての資産価値はその物件に価格設定の歪みがあるか(=割安か)ということである。

 

近年、価格高騰の中で完済前提では買うのが難しくなり、半住半投前提で考えなければならなくなった人も多いのではないかと思うが、3年、5年で売却するわけでないのなら、割安さではなく、ファンダメンタルズに着目して真に価値があるかという点に注目すべきであろう。築15年から20年くらいの物件の相場を調べて、どういったものが真に価値があるとして評価されているか見てみると、築3年、5年に評価される物件とは要件が変わってくるはずである。

 

割安かどうかと言ったノイズに惑わされずに、自分のライフスタイルと想定居住期間に合わせて、中長期的なQOLとファンダメンタルズを両立する物件を選んでいくべきである。また、転勤や駐在や留学で短期間での売却が予想される場合は、まぁあまりQOLなんて言ってないで割安さに注目する方が長期間でのQOLを高めることになるんじゃないかな。

テレワークって定着するの?

緊急事態も終わり、GoToキャンペーンもスタートして、出張や出社を再開する会社も増えてきているようだ。

 

外資系では年内100%在宅勤務としているようだが、日系は対面文化が根強いのだろうか、電車の混雑が戻ってきている。いくつかの会社が推計しているデータによると、コロナ以前と比較するとピーク時の通勤者数は2割程度減少しているとのことだ。

 

企業向けのセミナーを見ていても、「コロナ対応のために、一刻も早くテレワークを導入しましょう!」というフェーズは終わり、「導入したテレワークをどのように深化させて定着させるのか?」というテーマに変わってきている。

 

出社しないと仕事ができないと思い込んでいた人にとっては、テレワークはショックだったろうが、ぼくはコロナ以前からたまにテレワークをしていたので、大きなショックはなかった。むしろ、オンラインコミュニケーションツールが整備されたり、他社もテレワークが前提になったことで、仕事がやりやすくなった。

 

テレワークだろうがやる仕事も変わらないのだから、別に特別視することはない。特に絶対出社したいオッサンとテレワーク業者は特別視しすぎているように感じる。

 

 

テレワークのメリデメ

 

結局のところ、テレワークのメリデメは以下のとおりである。

 

メリット

・通勤時間、移動時間の削減による効果(疲れない、時間の無駄がない)

・邪魔が入らないので集中できて生産性が向上する(仕事がある)

 

デメリット

・対面コミュニケーションが取れないので生産性が落ちる(仕事がある)

 

これだけである。テレワークだと生産性落ちるおじさんがいて、ポジショントークが見苦しいのだが、多くの仕事ではテレワークでも生産性は「ほとんど変わらない」が実態であろう。正確には、「テレワークだと生産性が上がる仕事と落ちる仕事があり、多くの場合はほとんど変わらない」である。やることが決まっており、期日も決まっているのだから。また、悪天候の時は出社しないほうが明らかに生産性が上がるであろうし、対面コミュニケーションを取る必要があれば出社すれば良いだろう。

 

 

テレワークを特別視したがるオッサンたち

 

「テレワークだと創造的な仕事ができない」、逆に「テレワークだと仕事の効率が大きく上がる」という人はどちらも思考が極論すぎる。

 

また、「テレワークで都心の価値が落ちてオワコンになり郊外へ人口が移動する」というのも極端だし、逆に「テレワークで移動時間の無駄に気がついた(なんだその理屈?)ので都心の価値が上がる」というのも極端であろう。ほとんどテレワークは関係ない話である。

 

もともと、都内のマンション価格高騰の中で、予算制約によって狭いマンションになるのが嫌な人は広々とした郊外や、近郊で便利なところを選好するようになっていたし、都心への集住も別に今に始まった話でもない。

 

「テレワークは特別なものだから、これで地方への人口移動が起こるぞ!」というのは大袈裟である。テレワーク以前からそういった需要はあり、仕事を続けながら移住できる仕事が増えれば、多少はハードル下がるかもね、という程度。

 

絶対に出社したいド昭和おじさんと、絶対にテレワーク普及させたい業者と、絶対に東京から地方や郊外へ人を引っ張ってきたい自治体と、絶対に都心に人を集住させたい不動産業者がポジショントークをしているだけである。カオス。

 

 

テレワークは定着するか

 

Yahooや富士通のような思い切った決断をする会社は少数だから、多くの会社においてはテレワークは定着するものの出社は必須となるだろう。となると、テレワークの頻度が週1日なのか4日なのかといった程度問題はあるとしても、そんなものである。

 

なお、弊社では週2、3日程度のテレワークが定着しそうな議論になっている。従前は育児介護の人を除くとほとんど利用者はいなかったので、本当に全社員が週2日テレワークするようになったら大きな変化ではある。が、週3日出社するのだから、あまり大きい変化はないとも言える。

 

多くの大企業ではテレワーク制度はあったが育児介護などのやむを得ない事情がある人のみというケチっぷりであったが、コロナを機に、事由を問わずに実施できるようになっていくだろう。今更、育児介護だけというわけには普通はならないだろう。また、オンラインの会議も定着して、出張が減ることもあり得る話。

 

一方で、テレワークを利用して業務やビジネスをデジタル化しよう!とか、グローバルに人材を採用しよう!という志の高い話はハードルが高いのでごく一部の企業を除き無理であろう。

 

現実的に、テレワークは定着する。育児介護に限定しない形で。ただし、頻度は会社や仕事によってまちまち、という程度であろう。

 

 

オフィスの役割

 

現在はオフィスは「自宅に業務に適した環境のない人のための場所」、「出社しないとできないような、場所に縛られる業務を行うための場所」になっているが、たまにオフィスに行くと、オフィスの役割は業務電子化でどんどん減っていて、今や「溜まり場」としての機能しかないのではないかと感じる。正式なコミュニケーションはオンラインでも十分に取れる。各種ツールはどんどん進化するので、対面以上の効率でブレストや会議もできる。

 

溜まり場とは業務に関係しない非公式なコミュニケーションをとって関係性を作ったり、業務に関係するがわざわざ会議設定するほどではない意見交換をしたりする場所である。しかし、これはある程度出社していることが前提になってくる。人がいなければ溜まり場にはならない。

 

テレワークを推進するとオフィスに人がいなくなるので、溜まり場としての価値が下がり、「じゃあ行かなくていいや」となってしまう。したがって、こうした機能を持たせたければ、多くの社員を出社をさせるしかなくなるが、大した理由でもなく、大義名分がないのでなかなか厳しい。社内で対面で交流させるのもコロナの中で望ましくない。

 

少なくともオリンピックが終わり、コロナの脅威が去る(ワクチンができるか、なくても感染者数が極めて少なくなる)まではオフィスはイマイチ行きたくない場所として存続して、その後、出社を原則とするか、テレワークを原則にするか、なんとなく両方を継続するか、いずれかになり、多くの場合、ポリシーのない大企業はなんとなく両方を継続することになるのだろうと思う。なお、サテライトオフィスの整備については、よほど大きな会社でないと効率が悪いので進まないと考える。